屋根勾配とは、屋根の傾きの角度や程度を指します。屋根によって角度が違うなぁ、と思っている方はいても、詳しくは知らない方が多いのではないでしょうか。
今回の記事では、屋根勾配に関する説明や、勾配ごとの特徴やメリット、デメリットなどについてお伝えしていきます。
屋根勾配に興味がある方は、ぜひご一読ください。
- 屋根勾配とは?
- 急勾配・並勾配・緩勾配の違いについて
- 急勾配のメリット・デメリット
- 並勾配のメリット・デメリット
- 緩勾配のメリット・デメリット
- 屋根材ごとに最適な勾配が異なる
- 目的に合った屋根勾配の選び方とは
- 太陽光パネルに向いている設置角度は?
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目次
そもそも屋根勾配とは?
屋根勾配とは何を意味する建築用語なのでしょうか。
ここでは、屋根勾配という用語の意味をお伝えしていきます。
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屋根勾配とは
屋根勾配とは、ひとことで言うと屋根の傾き度合のことです。屋根の角度によって勾配の値が変わります。
勾配の状態によって、屋根の特徴や向いている屋根材などが変わってくるので、屋根を設計するときは用途に合った勾配にすることが大切です。
屋根の勾配数の表し方
屋根勾配の値は「寸」、「分数」、「角度」という3種類の表現で表します。
「寸」は10寸(約303mm)の水平方向に対する高さについての値です。例えば、10寸で高さが3寸上がる場合は3寸勾配となります。屋根勾配の値は、基本的にこの「寸」で表されます。
次に「分数」は、10寸の水平方向に対する高さを分数で表します。例えば、10寸で高さが5寸上がる場合は5/10勾配または1/2勾配です。
「角度」は屋根の角度を「°」数で表します。15度傾いている屋根は15°勾配です。基本的に少数が入るような細かい勾配で使われます。
寸 | 10寸(約303mm)の水平方向に対する高さを表す。 |
分数 | 10寸の水平方向に対する高さを分数で表す。 |
角度 | 屋根の角度を°で表す。 |
- 屋根勾配とは、屋根の傾きの度合を示す言葉
- 屋根勾配は「寸」「分数」「角度」を使って表す
- 一般的には「寸」で表される
急勾配・並勾配・緩勾配とは?
勾配には急勾配・並勾配・緩勾配という表現もよく使われます。厳密な規定はありませんが、一般的には以下のように分類となっています。
- 急勾配:6寸以上の勾配
- 並勾配:3~6寸弱の勾配
- 並勾配:3寸未満の勾配
急勾配屋根のメリット
急勾配屋根とは、勾配が急な屋根のことです。急勾配屋根には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、急勾配屋根のメリットについてお伝えしていきます。
並勾配や緩勾配よりも劣化しにくい
並勾配や緩勾配よりも、雨が重力で排出されやすい構造なので、雨などに汚れによる劣化が抑えられます。
デザイン性が高い
屋根の傾斜が急だと、デザインに重厚感が出るので見栄えが良い屋根になります。
収納スペースが作りやすい
屋根の三角部分が広くなるので、屋根裏スペースを確保できます。収納スペースを屋根裏部分に取りたい場合などに便利です。
- 雨や雪、汚れなどが重力で落ちるので他の勾配よりも劣化しにくい
- 急勾配の屋根は見た目がスタイリッシュなのでデザイン性が高い屋根にできる
- 屋根裏ができるので収納スペースが作りやすい
急勾配屋根のデメリット
急勾配屋根にはメリットもある一方、デメリットもあります。
ここでは、急勾配屋根のデメリットについてお伝えしていきます。
風を受けやすい
急勾配の屋根にすると、風を横から受ける面積が増えるために破損しやすくなります。
費用が高くなりやすい
急勾配屋根は屋根を作るときに、足場を設置しなければいけないので他の勾配に比べて工事費用が増えます。
- 横からの風を受ける面積が広くなるので暴風の被害を受けやすい
- 足場を屋根に設置する必要があるなど費用が余分にかかりやすい
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並勾配のメリット
並勾配屋根は一般的な屋根の傾斜ですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、並勾配屋根のメリットをお伝えしていきます。
緩勾配よりも劣化しにくい
並勾配は急勾配屋根よりも水が排出される勢いは弱まります。しかし緩勾配屋根に比べれば、排出される勢いは強いです。
屋根の劣化する度合は、急勾配屋根と緩勾配屋根の中間ぐらいとなります。
どんな屋根材でも基本的に施工できる
並勾配は、一般的な基準なので使用できない屋根材はほぼありません。基本的にどのような建材も使える角度なので、幅広い屋根材を使うことができます。
普及率が高くデザインが豊富
普及率が高い勾配なので、幅広い建材や塗料が使用できます。デザイン性の高い屋根材や塗料を選ぶこともできるので、デザインにこだわりたい人にも向いている勾配です。
- 劣化しやすさは急勾配と緩勾配の中間ぐらい
- 普及している勾配なのでほとんどの屋根材が使用できる
- 普及率が高いので豊富なデザインから選べる
並勾配のデメリット
並勾配にもデメリットがあります。どのようなデメリットがあるのでしょうか。
ここでは、並勾配の主なデメリットについてお伝えしていきます。
没個性になりやすい
並勾配の屋根は一般的な屋根なので、個性的になりにくいというデメリットもあります。
デザイン性やオリジナリティにこだわった屋根にしたい場合には不向きな場合もあるでしょう。
- 普及率が高いだけに没個性になりやすい
緩勾配のメリット
緩勾配にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、緩勾配屋根の主なメリットをお伝えしていきます。
費用を抑えられる
緩勾配の屋根は、急勾配や並勾配の屋根よりも面積が狭いので屋根足場が不要です。そのため工事費用を他の勾配よりも低く抑えることができます。
風の影響を受けにくい
風を受ける面積が少ないので、他の勾配に比べて風の影響を受けにくい構造です。風による破損を抑えることができるので、暴風雨による被害が心配される地域に向いています。
落雷を避けやすい
緩勾配の屋根は、平らに近いので避雷針になりにくい構造をしています。落雷被害を避けやすい屋根なので、雷による被害を軽減したい場合にもおすすめの勾配です。
- 屋根用の足場を組む必要がないので工事費を抑えられる
- 横からの風を受けにくいので暴風で破損しにくい
- 避雷針になる場所がないので落雷を避けやすい
緩勾配のデメリット
メリットもある一方で、緩勾配にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。
ここでは、緩勾配のデメリットをお伝えしていきます。
雨漏りしやすい
屋根に落ちる雨が流れにくいため、雨水が屋根にたまることがあります。雨による劣化や雨漏りの被害は、他の勾配に比べると起こりやすいです。
劣化しやすい
雨風のほか、汚れやゴミが屋根に落ちても角度がないため、自然に落下していきません。そのため汚れやゴミが屋根にたまりやすく、その汚れによって劣化が早まるというデメリットも。
施工できない屋根材がある
屋根の勾配が緩いと、設置できない屋根材が多くなります。一部の金属屋根は緩勾配でも設置できますが、設置できる屋根材が少ないため選択肢が限られます。
屋根の熱が伝わりやすい
平らに近い屋根構造なので、屋根裏のスペースが取りにくく、屋根からの熱が室内に伝わりやすいという特徴もあります。熱が室内に多く伝わることで、冷房効率が悪くなります。
- 雨が屋根にとどまりやすいので雨漏りも起こりやすく劣化も早い
- 勾配の角度が少ないので設置できない屋根材が多い
- 屋根裏のスペースを取りにくいので屋根からの熱が直接室内に伝わる
屋根材別の最低勾配とは?
屋根材によって設置できる勾配が異なります。金属屋根の場合は、1寸以上の勾配が必要です。平葺きと横葺きの場合は3寸位以上必要になります。
なお、スレート屋根の場合は3寸以上、瓦屋根の場合は4寸以上の勾配が必要です。
金属屋根 | 1寸以上。平葺きと横葺きの場合は3寸以上 |
スレート屋根 | 3寸以上 |
瓦屋根 | 4寸以上 |
屋根勾配はどれを選ぶべき?
勾配には複数の種類がありますが、どの勾配を選べば良いのでしょうか。
ここでは、状況別のおすすめの屋根勾配をご紹介していきます。
屋根勾配は「4寸」がおすすめ
一般的には、屋根の勾配は「4寸」がおすすめです。普及率の高い屋根材である金属やスレート、瓦がすべて使用できます。
また、屋根足場が不要なので工事費用を足場設置費用分抑えることができます。
降雪地帯の屋根勾配は急勾配か緩勾配で
雪国で屋根に雪が多く降り積もる地域では、急勾配もしくは緩勾配の屋根がおすすめです。
急勾配の屋根は雪を重力によって自然に落とせる一方、落雪の危険があります。なお急勾配の屋根は豪雪地帯で多く見られます。
緩勾配の屋根は落雪の危険は少ないですが、雪下ろしが必要です。豪雪地方のように頻繁に雪は降らないものの、一定の積雪がある場合や、屋根の雪を溶かす機能をつけられる場合に向いています。
なお、緩勾配の屋根の一般的な積雪対策は、雪止めの設置です。
急勾配、緩勾配ともに一長一短があるので状況に応じて勾配を決めることが大切です。
- 使用できる建材も多く、足場を組む必要もないので、屋根の勾配は「4寸」がおすすめ
- 豪雪地帯では急勾配か緩勾配がおすすめ
太陽光パネルは勾配で発電量が変わる?
太陽光パネルは、角度によって発電量が変わります。なお、太陽光パネルの最適な設置角度は30度と言われています。
太陽光パネルを設置するときは、地域による太陽の南中高度が異なるので注意が必要です。例として、北海道は34度、鹿児島は27度、沖縄だと17度が適した角度とされています。
- 太陽光パネルは設置角度によって発電量に差が出る
- 地域によって南中角度が異なるので注意が必要
- 北海道は34度、鹿児島は27度、沖縄は17度が最適な角度と言われている
屋根勾配は環境や目的に合った角度で
屋根の勾配は急なものから平らに近いものまで様々です。角度によって屋根の持つ特徴や、使用できる屋根材が異なるので地域の気候や目的に合った角度に設定することが大切です。
豪雪地帯や雪の降る地域では、雪への対策は欠かせませんので積雪量や雪下ろしの頻度などを踏まえて勾配を決めていくのが良いでしょう。
並勾配は、幅広い建材やデザインから選べるので雪はあまり降らないなど状況的にも問題ない場合はおすすめです。
目的や状況にあった勾配を選んで、満足度の高い屋根にしていきましょう。
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