「コーキング」と「シーリング」。リフォームについて調べていくと、頻繁に出てくる言葉ですよね。それぞれどのような意味かご存知ですか?
今回は、「コーキング」「シーリング」とは一体どんなものなのか、種類・材質などの基礎知識から自分で「コーキング」「シーリング」を行う場合の注意点まで、たっぷりとご紹介します。
業者に「コーキング」「シーリング」を勧められたけど何のことかわからない、DIYで「コーキング」「シーリング」にチャレンジしたい!という方は是非ご覧ください。
- 「コーキング」「シーリング」とは?
- コーキング材・シーリング材の種類や材質
- コーキング材・シーリング材の選び方
- DIYでコーキング・シーリングを行う場合のポイント
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目次
「コーキング」と「シーリング」の違いとは?
「コーキング」と「シーリング」の違いって、実はあまり分かっていない、という人も多いのではないでしょうか。
「コーキング」と「シーリング」の意味や違いについてご説明します。
「コーキング」と「シーリング」に違いはない?
「コーキング」と「シーリング」には、どんな違いがあるのでしょうか。
「コーキング」「シーリング」とは、建材の隙間をうめる作業や工程を指します。外壁、サッシ、ベランダなどの外回りから、キッチン、お風呂などの水回りまであらゆるところで行われている作業です。
直訳すると、
- caulking=隙間をうめる 詰め物をする
- sealing=密閉する
という意味になります。
結論から言うと、建築用語としての「コーキング」「シーリング」は同義語と考えてもらってかまいません。
また、「コーキング」「シーリング」で使用する液体をコーキング材(シーリング材)と呼びます。
コーキング・シーリングの厳密な違い
コーキング・シーリングの厳密な違いについては、実は、JIS(日本工業規格)では次のように規定されています。
油性コーキング材:展色材(天然油脂,合成油脂,アルキド樹脂など)と鉱物質充てん(填)剤(石綿,炭酸カルシウムなど)を混合して製造したペースト状のシーリング材。相対変位の小さな目地のシールに使用される。
このことから、厳密にいえばペースト状のシーリング材のことを「コーキング材」と呼んでいることがわかります。
コーキング・シーリング以外の呼び方
コーキング・シーリング以外の呼び方もあります。コーキングやシーリングについて調べていくと、「シリコンシーラント」という言葉が出てくることがあります。実はこれ、コーキング材(シーリング材)の種類の1つです。
詳細は後述しますが、別名というよりは具体的な種類を指しています。
コーキング(シーリング)の役割
コーキング(シーリング)には、次のような役割があります。
①建材を固定する
コーキング(シーリング)の一番重要な役割は、建材を固定するためのいわば接着剤としての役割です。
たとえばサイディングであれば、サイディング板と板の間の目地にコーキングを施すことで、サイディング板同士をしっかりと接合し、固定します。
屋根では、板金を取り付ける際や屋根材の一部が欠けた場合などにも接着剤として使われます。また、コロニアルやアスファルトシングルが強風の影響によって浮いたりめくれたりした場合は、コーキングで浮きやめくれを補修します。
②建材を保護する
サイディングなどの建材を隙間なくぴったりと張り合わせると、雨風や地震などの揺れ・気温・気圧などの自然環境の影響により、建材が欠けたりひびが入りやすくなります。
そこでサイディングの目地にコーキングを使うことによって緩衝材となり、目地が建物の動きに追従します。コーキングの存在がクッションの役割を果たすことにより、サイディングへの負担を減らし、建材の欠けやひび割れ、破損などを防ぐのです。
③建物の防水性や気密性を高める
コーキング材(シーリング材)を建材の間に隙間なく埋め込むことにより雨水の浸入を防ぎ、また、建物自体の防水性や気密性が高まります。
さらにコーキングは、雨漏りの応急処置などに使われることも多いようです。外壁や屋根からの雨の浸入経路にコーキングを充填することで、一時的に雨漏りを防ぐことができます。
サッシや天窓の隙間などからの雨漏り対策にも使用されます。
- 「コーキング」と「シーリング」はほぼ同一の意味
- 厳密な意味はJISで規定されている
- 建物の強度を高めるために重要な役割を果たしている
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コーキング材・シーリング材の種類
定形シーリング材or不定形シーリング材
定形シーリング材と不定形シーリング材の2種類に分けることができます。
定形シーリング材とは、工場で所定の形や大きさに成形したもので、0(オー)リングやガスケットなどがこれに当たります。
一方、形状があらかじめ定まっておらず、ペースト状で、使用後しばらくたつとゴム状に変化するものを不定形シーリング材といいます。
一般にシーリング材というと、この不定形シーリング材のことを指します。
1液型or 2液型
シーリング材には1液型と2液型があります。
性能にさほど大きな差はありませんが、1液型は単体で使用するのに対し、2液型は硬化剤を混ぜて使うのが特徴です。また、2液型では必ずプライマーと呼ばれる下塗り用の接着剤を使用しますが、1液型はプライマーを使用しなくてもある程度接着させることができます。
主な特徴には以下のようなものがあります。
特徴 | |
1液型 | ・自然に硬化するタイプ。 ・ホームセンターで購入可能。 ・素人でも扱いやすい。 ・主に小面積の箇所の補修で使用される。 |
2液型 | ・主剤と硬化剤を専用の攪拌機で混ぜて使用する。 ・ある程度の知識が必要。 ・素人では扱いにくい。 ・施工箇所が大きいときに使用される。 |
硬化するor硬化しない
硬化する・硬化しないの観点でシーリング材を分けると、5つのタイプに分類できます。
- 湿気硬化型…空気中の水分と反応して硬化する
- 酸素硬化型…空気中の酸素と反応して硬化する
- 乾燥硬化型…乾燥により硬化する
- 反応硬化型…化学反応により硬化する
- 非硬化型…硬化しない
湿気硬化型,酸素硬化型,乾燥硬化型は1液型で、反応硬化型,非硬化型は2液型です。
反応硬化型は、主剤と硬化剤を混ぜ合わせることで起こる化学反応により硬化させる方法です。
非硬化型は、「非硬化」とはいっても、全く硬化しないのではなく、内部が硬化しないシーリング材です。空気中の酸素と反応し、表面に膜を作ります。
- 不定形シーリング材の中にはそのまま使用できるものと、硬化剤を撹拌させて使用するものがある
- 施工箇所,使用する人の熟練度により、使い分けが必要
コーキング材・シーリング材の材質
用途や建材により適切なコーキング材・シーリング材が違ってきます。それぞれの特徴や特性を細かく見ていきましょう。
油性コーキング
油性コーキングの特徴は、空気中の酸素と反応し、表面に膜を作る非硬化型であるということです。
表面に埃やゴミがつきにくいため、取扱いが簡単ですが、建材との密着性が低いです。
1950年代に海外から輸入され、日本で最初に使用されたコーキング材で、1970年代ごろまでは不定形シーリング材の主流でしたが、現在では使用量が減少しています。
用途と価格を表にまとめました。
項目 | 詳細 |
用途 | ・窓、ドアなどの枠 ・ボード及びパネルの継ぎ目 など |
価格 | 600~1,800円/330ml |
アクリル系
アクリル系は水性で、湿った面にも使用できるため、作業が容易なことが特徴です。
それに加え比較的安価で、硬化後、塗装も可能です。
しかし、耐久性・耐候性が低いため、新築時に使用されることはありますがリフォーム時に使用されることはほとんどありません。
項目 | 詳細 |
用途 | ・ALCパネルの目地 ・内装・壁紙の目地 など |
価格 | 500円~900円/330ml |
ウレタン系
ウレタン系は耐久性の高さが最大の特徴です。
硬化後はゴムのような弾力性を持ち、建材との密着性も高いことから、コンクリートのひび割れの補修などに使用されます。
その反面、紫外線に弱く、ゴミや埃が吸着しやすいため、使用後に塗装などで表面を保護する必要があります。
項目 | 詳細 |
用途 | ・コンクリートのひび割れ補修 ・窓枠、タイル目地 ・ALCパネルの目地 など |
価格 | 600円~2,100円/320ml |
シリコン系
シリコン系は、シリコンシーラントとよばれるものです。シリコン系は耐水性,耐熱性に加え、耐久性,耐候性にも優れているのが特徴です。そのため、キッチンやお風呂などの水回りでよく使用されています。
値段も比較的安く、ホームセンターなどでも購入が可能です。
しかし、塗布した周辺が汚れやすく、水を弾いてしまうため塗装ができないという欠点があります。
項目 | 詳細 |
用途 | ・キッチン・お風呂などの水回り ・ガラス回りの目地 ・笠木間目地 など |
価格 | 400円~1,800円/330ml |
変成シリコン系
変成シリコン系はシリコン系には劣りますが、比較的耐久性,耐候性があり、塗装ができることが特徴で、主に外壁のシーリングで使用されています。
また、豊富なカラーの中から選ぶことができます。
シリコン系ほど塗布した周辺が汚れることもありません。
価格は他のものに比べると高めです。
項目 | 詳細 |
用途 | ・外壁の目地 ・サッシ回り ・タイルの目地 など |
価格 | 700円~2,300円/320ml |
コーキングの補修をする際によくある間違いとして、シリコン系と変性シリコン系を間違えて購入してしまうことです。
「どちらも”シリコン”だから同じ」と思ってしまう方も多いですが、シリコン系と変性シリコンは全く種類が違います。
変性シリコン系:従来のウレタン系シーリング材に万能性を持たせたウレタン系シーリング材の上位版のような位置付けです
- コーキング材・シーリング材は、材質によりそれぞれ利点,欠点がある
- 用途や優先事項により、コーキング材・シーリング材を使い分けることが重要
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【用途別】コーキング材・シーリング材の選び方
コーキング材・シーリング材の選び方を用途別に具体的に見ていきましょう。
外壁のコーキング・シーリング
外壁のコーキング・シーリングには、丈夫さが重要です。
外壁は、常に雨風にさらされ、周辺環境の影響を大きく受ける場所です。そのため、耐久性・耐候性はもちろん、耐水性にも優れたコーキング材・シーリング材を選ぶ必要があり、また塗装をすることが前提となるので、変性シリコン系が使用されます。
・セメダイン POSシールLM
・コニシ SRシールS70
・サンスター技研 ペンギンシール2550LM
=2液型 変成シリコン系=
・コニシ MSシール
・セメダイン POSシールタイプⅡ
お風呂など水回りのコーキング・シーリング
お風呂,キッチンなどの水回りでは防水効果の高いものを選ぶことが大切です。それに加え、特にキッチンでは耐熱性も求められます。
そのため使用するシーリング剤はシリコン系が最適です。
また、湿度が高い場所でもあるので、防カビ性も外せないポイントです。防カビ仕様のシーリング材を使用しないと、すぐにカビが発生してしまうので、必ず防カビ材入りのシーリング材を小sましょう。
・セメダイン 8070プロシリコーンシーラント
・積水フーラー シリコーンシーラント(防カビタイプ)
・コニシ ボンド シリコンコーク (防カビ剤入り)
サッシ・玄関まわりのコーキング・シーリング
サッシや玄関などへの使用は、シーリング材を目立たせないようにする必要があります。そのため、耐久性だけでなく、塗装ができるということも重要なポイントになります。シーリング材には変性シリコン系やウレタン系がよく使用されます。
塗装時に成分が表面ににじみ出ないノンブリードタイプを選びましょう。
・シャープ化学工業 シャーピーヘンセイシリコーンNB-LM
・コニシ MSシールNB
・セメダイン POSシールマルチ
=ウレタン系=
・セメダイン ウレタンシール S700NB
・コニシ ボンド ウレタンコーク(ノンブリードタイプ)
- 外壁には耐久性,耐候性,耐水性のあるものがおすすめ
- 水回りには防カビ材配合のものを
- 塗装をする場合は、ノンブリードタイプを選ぼう
DIYでコーキング・シーリングの補修は可能?
ここでは、DIYでコーキング・シーリングを行う方法を確認していきましょう。
DIYなら1液型シーリングがおすすめ
DIYで使用するなら1液型シーリング一択です!
2液型は、主剤と硬化剤を撹拌させて使用しなければならないため、撹拌不足や混合の割合を間違えたりすると、硬化不足になります。
2液型の方が、一度に大量使用が可能で安いという利点はありますが、知識と技術が必要になるため、DIYをあまり行ったことがないという方は1液型を使用するようにしましょう。
水回りのコーキング・シーリング手順
水回りのコーキング・シーリング手順について説明していきます。自分で行う際の参考にしてください。
コーキングガン ぞうきん
- 古いコーキング材(シーリング材)を剥がす
- 隙間の両側にマスキングテープを貼る
- コーキング材(シーリング材)を充填する
- ヘラでコーキング材(シーリング材)を均一にする
- マスキングテープを剥がす
最初に古いコーキング材(シーリング材)を剥がします。カッターナイフで古いコーキング材(シーリング材)に切り込みを入れ、引っ張りながら剥がしましょう。ぞうきんなどで可能な限りカスを除去してください。
マスキングテープは、施工をする場所の両側に、1~2mmほど離して貼ります。マスキングテープの貼り方が仕上がりを左右するので、隙間がないように丁寧に貼っていきましょう。
コーキング材(シーリング材)の充填は、コーキングガンを使用します。コーキングガンにコーキング材(シーリング材)をセットし、隙間が空かないようにゆっくりと充填します。
マスキングテープは、ヘラでコーキング材(シーリング材)を均一にした後、乾く前に剥がしましょう。
外壁のコーキング・シーリング手順
外壁のコーキング・シーリングは、水回りのコーキングに比べ、難易度は高いです。
外壁材の種類・周辺環境などさまざまな要素により最適なコーキング材が変わってきますので、施工範囲が広範囲に及ぶ場合は専門の業者に依頼し、DIYで行うのは小さい範囲の補修のみにしましょう。
古いコーキング材(シーリング材)を除去し、マスキングテープを貼るところまでは水回りのコーキング・シーリング手順と変わりません。違うのは、コーキング材(シーリング材)を充填する前にプライマーを塗布する必要があることです。
プライマーはコーキング材(シーリング材)と外壁の密着をよくするために使う接着剤のようなものです。
外壁は水回りに比べ、より過酷な環境下になるので、コーキング材(シーリング材)を長期間もたせるためにも必要な作業です。
プライマーを塗布した後は、上からコーキング・シーリングしてヘラで均一にし、マスキングテープをはがして完成です。
サイディングのコーキングを補修する方法は、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。ぜひご一読ください。
- DIYでは1液型を使おう
- 外壁のコーキング・シーリングは難易度が高い
コーキング・シーリングを行う際の注意点
コーキング・シーリングを行う際の注意点をみていきましょう。
施工日や環境を考えよう
施工日や環境を考えるのも重要なポイントです。
コーキング・シーリングは湿度・温度などの環境の影響を受けやすい作業です。湿度の高い環境下では硬化するまでの時間が長くなったり、最悪、硬化しなかった…という可能性もあります。
なるべくカラっとした天気の良い日に行うように心がけましょう。
また、風呂場など密閉された場所でのコーキングは、常に換気することが大切です。
コーキング・シーリング前の準備を怠らない
コーキング・シーリング前の準備を怠らないようにしましょう。施工前に必要のないものはきちんと片づけておきましょう。
また、古いコーキング材(シーリング材)をどのくらい除去できるかで、仕上げの精度が決まるといっても過言ではありません。
古いコーキング材(シーリング材)のカスの掃除を丁寧に行うことがきれいに仕上げるためのポイントです。
決められた使用量をしっかり守ろう
決められた使用量をしっかり守るのも大切です。
コーキング材(シーリング材)の量を誤ると、しっかり接着できず専門業者に頼むことになり、結局お金がかかってしまった、という結果になりかねません。
コーキング材(シーリング材)の容器には必ず使用量の目安が記載されています。
コーキング材(シーリング材)の効果を最大限に発揮するため、どのくらいの量を使えばよいかをよく確認してから作業するようにしましょう。
乾燥時間は多めに取ろう
乾燥時間は多めに取るようにしましょう。コーキング・シーリングが完了したらすぐに確認したい気持ちはわかりますが、油断は禁物です。
硬化したと思ってさわったらしっかり硬化していなかった!コーキング材・シーリング材がすぐにはがれちゃった!という状態になったら目も当てられません。
硬化時間は施工時の温度や湿度によっても変わってきます。
念のため、乾燥時間は規定の時間より多めにとるようにしましょう。
- コーキング・シーリングは自然環境の影響を受ける
- 事前準備は万全に!
- コーキング材・シーリング材の効果を最大限に発揮させるよう努めよう
費用対効果を考えてコーキング・シーリングを行おう
費用対効果を考えてコーキング・シーリングを行うようにしましょう。
自宅を自分で補修できたら嬉しいですよね。でも、DIYでのコーキング・シーリングは誰でも簡単に行えるものではありません。見た目だけでなく、耐久性も必要ですし、材質の種類によって最適な施工箇所が異なります。
コーキング・シーリングの重要性を理解したうえで、補修内容によってDIYで行うか、業者に依頼をするかをしっかりと見極めましょう。
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コーキングやシーリングは小さく見える部分だけど重要!
コーキングやシーリングは、住宅全体で見れば小さな部分です。
ですが、建物自体の強度を高めるなど大きな役割を果たしている部分でもあります。
侮らずに、しっかりと補修することも重要です。
サイディング塗装の費用について気になる方は、以下の記事もぜひチェックしてみてください。
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