今回は、外壁の張り替えを検討している方のために、外壁リフォームの基本的な知識から、実際に外壁の張り替え工事を行う場合の費用シミュレーション、さらには悪徳業者の見分け方まで、外壁の張り替えを行う前に必要な知識をくまなくご紹介します!
- 外壁リフォームの種類とタイミング
- 外壁張り替えと重ね張りのメリット・デメリット
- 外壁張り替えの費用と工事期間
- 外壁張り替えの注意点
目次
外壁リフォームの種類
外壁リフォームの手段は大きく分けて3種類。まずはそれぞれのリフォーム方法について見ていきましょう。
外壁塗装
外壁塗装とはその名の通り、外壁の表面に塗料を塗り直すことによって外壁を補修するリフォーム方法です。
外壁塗装は外観を綺麗に見せるだけではなく、熱や雨風などのダメージから外壁材そのものを保護するという役割も担っています。そのため、外壁材の寿命を長くするためにも外壁塗装は定期的に行わなければなりません。
多くの住宅で採用されているモルタル外壁やサイディング外壁では、約10年ごとに外壁塗装が必要といわれています。ただし、30年ほど経過すると外壁材そのものが寿命を迎えてしまうため、10年おきにきっちり外壁塗装を行っていれば永遠に外壁をキープできるというわけではないのです。
外壁塗装の費用について興味のある方は、ぜひ以下の記事も参考にしてください。
外壁塗装の費用相場が全てわかる!リフォーム価格の計算方法&注意点
外壁張り替え
前述の通り外壁材は約30年ほどで寿命を迎えるため、この場合は外壁材そのものの補修が必要となります。この外壁材の補修には2つの方法がありますが、そのうちのひとつが外壁の張り替えです。
古くなった外壁を剥がして新しい外壁を張り替えるという方法ですので、まるで新築によみがえったかのような美しい仕上がりにできるのが最大の魅力。現在の外壁はサイディングが主流のため、もともとモルタル外壁の場合も、既存のモルタルを剥がしてからサイディングに張り替えるというのが一般的です。
ただし既存の外壁を撤去しなければならないため、外壁塗装に比べると当然大規模な工事となり、費用も高額となってしまいます。
外壁重ね張り(カバー工法)
外壁材の寿命がきたものの、張り替えの費用を考えると躊躇してしまう…という方におすすめなのが「重ね張り(カバー工法)」と呼ばれる補修方法です。
これは古い外壁はそのまま、既存の外壁の上から重ねるように新しい外壁を設置するという工法で、今ある外壁を撤去する必要がないため張り替えよりも費用や工期を抑えることができます。
ただしこの重ね張りはどの外壁にも施工できるわけではなく、既存の古い外壁は窯業系サイディング・金属系サイディング・モルタルのいずれかでなければ施工できません。また、新しく張り付ける外壁も窯業系サイディングか金属系サイディングのみと種類が限定されます。
さらに、古い外壁の上からサイディングを重ねるということで、若干ではありますが外壁の総重量が増加し、住宅の耐震性が低下するというデメリットもあります。
- 外壁リフォームには外壁塗装、外壁張り替え、外壁重ね張りの3種類があります。
- 外壁の状態や目的に応じて選ぶようにしましょう。
外壁張り替えのタイミングは?目安となる劣化症状
ここまでにご紹介した通り、一般的なサイディング外壁の耐用年数は約30年といわれていますが、張り替えのタイミングは年数よりも実際の劣化の具合に応じて検討するのが確実です。
ここからは、一般的な住宅でよく用いられているサイディングに注目し、外壁の張り替えを検討する目安となる「劣化症状」をご紹介します。
ひび割れ・破損
サイディングに亀裂が入っている場合、亀裂の幅が1ミリ未満のものであれば外壁塗装でも補修が可能ですが、ひび割れが1ミリを超えるような場合には外壁の張り替えを検討しましょう。
サイディングのひび割れを放置しておくと、ひび割れた部分から雨水などが侵入し、最悪の場合雨漏りの原因になります。外壁は水が大敵。サイディングのひび割れに気づいたら、なるべく早めに状態を診てもらいましょう。
また、ひび割れが進行するとそこからサイディングの一部が欠けてしまいます。サイディングが欠けて外壁の内部が見えてしまっている場合、住宅の内部に雨水が侵入してしまうため、雨漏りなどが発生しやすく大変危険な状態です。
こうなってしまうと応急処置は難しく外壁塗装でも修復できないため、1日も早いサイディングの張り替えが必要です。
反り・ゆがみ
横から外壁を見たときに、壁が平らではなく一部盛り上がって見えたり、他のタイルと比べて浮き上がっているタイルがある場合も要注意です。変形したサイディングがあると、その隙間から雨水が建物内部に浸入しやすくなり、ひび割れ同様雨漏りなどの原因になってしまいます。
経年劣化による変形は、放置していても悪化する一方です。外壁のあちこちが変形しているという場合には、部分的な補修ではなく外壁前面の張り替えを検討しましょう。
剥がれ
ひび割れや欠損にも似ていますが、サイディング素材の表面がボロボロと剥がれてしまうような状態も、外壁の張り替えを検討する目安になります。
外壁表面の塗装だけが剥がれている場合は外壁塗装を見直すタイミングですが、塗装だけではなくサイディング内部の素材がボロボロと剥がれてしまっている場合は、その外壁材がすでに寿命を迎えているというサインです。
少しの剥がれならまだ大丈夫…と考えてしまいがちですが、外壁材そのものの剥がれが一部でも見つかれば、他の部位も耐用年数の限界を迎えている可能性が高いです。他の部分まで劣化が進行する前に、全面的に外壁を張り替えましょう。
また、サイディングが剥がれている場合は結露などによって壁の内部が侵食している可能性もあるため、外壁張り替え時には古い外壁材を剥がした上で、壁の内部に異常がないか点検してもらう必要があります。
経年
サイデイングも経年によって劣化します。サイデイングの耐用年数は一般に15~30年ほどと言われていますが、適切なメンテナンスをしていないと、耐用年数よりも早く劣化・破損してしまうことも。
耐用年数以上の時間が経っている場合や、メンテナンスをしないまま長期間が経っている場合には、一度業者にチェックしてもらった方がいいかもしれません。
サイデイングのメンテナンスの時期や、耐用年数は素材によってそれぞれ違います。わかりやすく、以下の表にまとめてみました。
種類 | 耐用年数 | メンテナンス時期 |
---|---|---|
窯業系サイディング | 20~30年 | 7~10年 |
金属系サイディング | 20~30年 | 10~15年 |
木質系サイディング | 15~25年 | 8~10年 |
樹脂系サイディング | 20~30年 | 10~20年 |
それぞれの時期にメンテナンスが行われないまま長期間が過ぎると、劣化や破損に繋がります。サイデイングの劣化や破損は、家の内部にまで大ダメージを与えかねない危険なこと。
劣化の状態を知り、早期に対処するためにも、メンテナンスを兼ねて業者にチェックしてもらうことは重要です。
- 外壁の張り替えは劣化の状態に合わせて検討しましょう。
- ひび割れや破損、反りやゆがみは雨漏りの原因になります。
- 外壁の表面の剥がれも張り替えの目安になります。
- サイデイングの経年劣化にも注意が必要
もちろんチェックは完全無料&匿名。
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外壁張り替えと重ね張り、どっちがおすすめ?
外壁の張り替えを検討する場合、古い外壁材を残す重ね張り(カバー工法)か、新しいものと交換する外壁張り替えのどちらを選ぶべきなのでしょうか?
続いては、外壁張り替えと重ね張り、それぞれのメリットやデメリットなどを徹底比較していきます!ご自宅の状況や予算別に、どちらが向いているのかをチェックしてみましょう。
外壁張り替えのメリット・デメリット
外壁を張り替える場合、今ある外壁を全て剥がすため既存の外壁材に左右されず、全く新しい外壁デザインに変更することができます。また古い外壁を剥がすことで、外壁内部に結露が生じていないか、カビが生えていないかなど壁の内側のメンテナンスも同時に行えるのが安心です。
一方で、外壁を撤去するという大掛かりな工事になるため工期が長くかかってしまい、費用も重ね張りよりも高額になるのがデメリット。外壁の材質にこだわりたい人や、外壁内部の状態が心配…という人は外壁を張り替えるのがオススメです。
その他、前回のリフォームで外壁の重ね張りをしてしまったという人は、3層目の重ね張りはできないため必然的に張り替えを検討する必要があります。
- 既存の外壁に左右されないため、デザインを一新できる
- 外壁内部の点検ができるので安心
- 施工期間が長く、費用も高い
外壁重ね張りのメリット・デメリット
古い外壁を剥がす必要がないカバー工法は、張り替え工事に比べて費用を安く抑えることができるのが最大のメリット。また外壁を剥がさないため、外壁材にアスベストが含まれている場合にも問題なく施工することができます。
さらに、外壁を重ねることで壁の厚みが増すため、防音性や遮熱性といった機能も高くなるという利点があるのも特徴です。
ただし、すでに解説した通り一部の外壁では重ね張りができないほか、重ね張りする新たな外壁材もかなり種類が限られてしまいます。また、サイディングが剥がれていて壁の内部が心配…といった場合、重ね張りしてしまうと内部の点検はできません。
一度外壁を張り直すと最長で約30年間張り替えのタイミングがないということを考えると、外壁内部が少しでも気になる場合は一度既存の外壁を剥がしてから張り替える方が安心でしょう。
- 費用が安く、遮熱性や防音性もUP!
- 内部の材質に左右されないぶん、内部の劣化は補修できない
- 元の外壁材によっては施工できない
- 張り替えに比べて使用できる材質が限られる
- 外壁張り替えは、既存の外壁材に左右されず内部の点検もできるが費用と時間がかかります。
- 外壁重ね張りは、費用が安く遮熱性や防音性は上がるが外壁材によって施工できないことがあります。
- 外壁の状態や予算に合わせた方法を選びましょう。
外壁の張り替え・重ね張りの費用は?その内訳を徹底解説!
ここからは、実際に30坪程度の住宅を例に、外壁の張り替え工事にかかる費用を細かく紹介していきます。
外壁張り替え費用の内訳
足場代 | 約20万円 |
養生 | 約10万円 |
防水シート | 約5万円 |
胴縁張り | 約20万円 |
土台水切り | 約5万円 |
材料費 | 約50〜66万円 |
張り替え作業 | 約40万円 |
シーリング | 約30万円 |
既存外壁の撤去(張り替えのみ) | 約20万円 |
諸経費 | 工事総額の約5〜15% |
外壁張り替えと重ね張りの費用には、既存外壁の撤去費用(約20万円)がかかるかどうかの違いしかありません。30坪程度の住宅を例にすると、重ね張りで180〜240万円、張り替えで200〜260万円程度が相場といえます。
材料費はどの外壁材を選ぶかによって価格が変動しますが、窯業系サイディングは50〜62万円程度、金属系サイディングは53〜66万円程度が平均的です。
サイディングの張り替え・重ね張りの費用についてさらに詳しく知りたい方には、以下の記事もおすすめです。
サイディングの張り替え費用は?そのメリットを重ね張りと徹底比較!
そのほか例外的にかかる費用
その他、付帯部(屋根の側面やパイプの塗装など)の費用が他にかかるケースがあります。住宅によって付帯部は異なるため一概にはいえませんが、破風板(はふいた)や軒天井(のきてんじょう)であれば各3万円程度が相場と考えておきましょう。
外壁の張り替え・重ね張りにかかる工事期間
外壁の張り替えを行う場合には、足場の設置から清掃まで合わせるとおおよそ12〜15日ほどかかります。工事の大まかな流れと所要日数は以下の通りです。
- 足場設置・ネット養生(1〜2日)
- 既存外壁の解体(2〜3日)
- 下地補修(2〜3日)
- 新材建込み(5〜7日)
- 金物類取り付け(1日)
- 足場解体・清掃(1日)
張り替えではなく重ね張り(カバー工法)で補修を行う場合は「既存外壁の解体」の工程が省略されますので、これより1〜2日ほど工期が短く10〜14日程度が平均的です。
外壁張り替えを行う際の注意点
外壁の張り替え工事は、約30年に一度の大事なメンテナンス。業者選びをないがしろにしてしまうと、不当な金額を請求されるだけではなく大事なマイホームの寿命を縮めてしまうことにもつながりかねません。
最後に、納得いく張り替え工事を行うために知っておきたい優良業者の選び方や、お得に張り替え工事を行うためのポイントをまとめました。
訪問営業の業者に注意
訪問営業してくる業者の多くは悪徳業者といっても過言ではありません。突然玄関先にやってきて「今すぐリフォームしないと危険」などと不安をあおり、すぐに契約させようとする業者には騙されないようにしましょう。
「今契約していただけるなら…」と大幅な値引きを提案してくる業者もいますが、こういった一見魅力的な謳い文句に踊らされてはいけません。適正価格を把握するためにも、必ず複数の業者を比較して検討するようにしてください。
見積もりのチェック
業者に見積りを提示してもらったら、見積もり内容が具体的かどうかをチェックしましょう。専門用語など詳細がわからない項目は必ず質問して、具体的に回答してくれるか確認してみてください。曖昧な回答をされた場合は、悪徳業者の可能性がありますので注意が必要です。
保証内容をチェック
工事にかかる費用については細かくチェックしても、工事の後については気にしていなかった…という方も少なくありませんが、実際に施工不良が現れるのは施工から数年後です。中には「業者側の手抜き工事がわかってから連絡したが、保証に応じてくれなかった」なんてトラブルも。
施工前にはついつい見落としがちですが、工事後の保証はどうなっているのかをきちんと確認しておきましょう。保証期限は何年か、どんな欠陥に対応してくれるか、業者が倒産したらどうするのか…など、細かいところまで業者に確認しておくことで、万が一の時の備えになります。
火災保険が適用される場合も?
珍しいケースではありますが、台風などで破損した外壁は火災保険の「風災」が適用される可能性があります。もし台風などの被害で外壁の張り替えを検討している場合には、火災保険が適用できるかを検討してみましょう。
ただし、十分な知識がないまま火災保険の会社に電話をすると「対象ではありません」などと適当に断られてしまう危険性がありますので、保険会社に連絡する前に必ず工事業者に「火災保険を使いたい」と伝え、申請の仕方を教わるとよいでしょう。
- 外壁張り替えは必ず複数の業者を比較・検討しましょう。
- 外壁張り替えの見積もりと保証内容はしっかりチェックしましょう。
- 外壁張り替えの際には、火災保険が適用できる場合があります。
外壁の張り替えは業者選びが重要!
外壁の寿命はどの家にもいつか訪れます。外壁の張り替えは工期も費用もかかる非常に重要なリフォームですので、業者選びには妥協せず、信頼できる業者に相談しながら納得いくリフォームを目指しましょう!
サイディング外壁のメンテナンスについて気になる方は、以下の記事もぜひチェックしてみてください。
サイディングのメンテナンス時期はいつ?方法や費用も詳しく解説!
しかし、外壁塗装の「価格相場」というのはとても複雑。外壁の状態や使用する塗料によって金額が大きく変動するため、素人がその適正価格を見極めるのはとても難しいのです。
中にはその複雑さに付け込み、不当な価格を要求したり手抜き工事をする悪質な業者も…
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ご自宅の相場がわからないという方も、今の業者でいいのかな…と不安な方も、ぜひ一度見積もりをしてみてはいかがでしょうか?