外壁や屋根のリフォーム・メンテナンスをおこなう際には、塗装剥がしのために剥離剤を使用することがよくあります。
ですが、「そもそもなんで剥離剤を使用しなければならないの?」と疑問に感じる方も多いことでしょう。
そこでこの記事では塗装剥がしの際に剥離剤を使用する理由に加えて、その種類や使用上の注意点、代表的な製品などに至るまで徹底解説しています。
特にこれから自分で外壁や屋根の塗り替えをおこなおうと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
- 塗膜剥がしが必要な理由とは?
- 剥離剤の役割と種類とは?
- 剥離剤の使用方法と注意点とは?
- おすすめの代表的な剥離剤は?
当サイトでは、外壁・屋根塗装の見積もりシミュレーションを無料で行っています。初めて外壁塗装を検討している方は、まず下記ボタンより、最新料金相場を確認しましょう。
目次
そもそも塗膜剥がしはなぜ必要?
外壁などのリフォームやメンテナンスにあたって必ずと言ってよいほどおこなわれるのが、塗膜剥がしという作業です。
そもそも、なぜ塗膜剥がしをしなければならないのでしょうか?ここではまず、塗膜剥がしの必要性についてチェックしておきましょう。
施工不良が起きる可能性がある
塗装剥がしが必要なのは、既存の古い塗膜が剥がれの原因になるから。古い塗装が残ったままの状態で上から新しい塗料を重ねると、塗膜が密着せずにはがれやすくなるのです。
せっかくお金と時間をかけて塗装をおこなっても、塗膜剥がしを怠ると、場合によっては数日・数週間ほどで剥がれが生じてしまうことも…。
こうした施工不良を防ぎ、新しい塗装の耐久性を高めるためには、塗膜剥がしを通じてペンキなどの塗料が密着しやすい下地作りをおこなう必要があります。
古い塗膜が原因で起こりうる症状
もしも古い塗膜をきちんと除去しないまま塗装をおこなうと、以下のようなトラブルが生じる可能性があります。
- 塗膜剥離
- ひびわれ
古い塗膜には、カビやコケ、汚れや油分などが含まれていることが多いもの。これらは新しい塗料の密着を妨げる原因となるため、早々に塗膜剥離やひびわれなどの施工不良が生じてしまいます。
いずれの場合も、外壁や屋根の外観を損ねるだけでなく、剥がれやひびわれが生じている部分から雨水が浸み込み、腐食による強度の低下やカビ・コケの発生などの二次被害を招くことも…。
最悪の場合、再びお金を出して塗装のやり直しをおこなわなければならなくなります。
- 塗装の際には塗膜剥がしが必須!
- 理由1:古い塗膜が新しい塗料の密着を妨げるから
- 理由2:塗膜剥がしを怠ると剥がれやひびわれ等のトラブルが生じるから
\料金相場を30秒でチェック/
塗装剥がしに使われる剥離剤とは?
ここまで見てきたように、施工不良を防ぎ、塗料の審美性・耐久性を高めるためには塗装剥がしを適切におこなうことが欠かせません。
塗装剥がしの方法はさまざまですが、よく剥離剤が使用されます。では、剥離剤とはいったいどのようなものなのでしょうか?
以下では、剥離剤の基本情報について確認していきましょう。
剥離剤とは
剥離剤とは、塗装を剥がすために使用する薬剤のこと。液体もしくはスプレー状になっており、塗ってしばらく時間を置くと、塩化メチレンなどの成分が作用して古い塗膜が剥がれやすくなります。
なお、剥離剤を使用してもペロンと古い塗膜が綺麗に剥がれるわけではなく、ブラシやケレン棒などでこする必要があります。
ただ、工具のみを使用して古い塗膜を削り取るよりも、剥離剤を塗ったほうが作業効率がアップしますし、粉じんの飛散防止になるというメリットも。
剥離剤の種類
剥離剤と一口に言っても、その種類は意外と豊富。主に以下の5つに分類されます。
- ジクロロメタン系タイプ
- 非ジクロロメタン系タイプ
- アルカリ系タイプ
- 中性タイプ
- 酸性タイプ
ジクロロメタン系は有機溶剤である「ジクロロメタン(塩化メチレン)」という成分が含まれており、「塩素系」と呼ばれることも。プラスチックやゴム製品を溶かしてしまうほど、強力な作用をもっています。
それに対して非ジクロロメタン系は、ジクロロメタンを使わずに作られた剥離剤のこと。ジクロロメタン系の剥離剤と比べると環境に優しい成分で作られていますが、剥離効果は強力であり、プラスチックやゴム製品を溶かすことが可能です。
アルカリ系の剥離剤は水溶液タイプとも呼ばれる、アルミニウムなど一部の軽金属を侵食してしまう性質をもっています。また中性タイプは銅などの一部の金属を、酸性タイプは鉄部を侵食してしまいます。
このように剥離剤の種類によっては、外壁や屋根の一部を侵食して機能・強度を低下させてしまうことがあるため、使用する箇所の素材に応じて使い分ける必要があるのです。
剥離剤の使用方法
スプレー状の剥離剤を吹きかける、あるいは液体状の剥離剤を塗ることで、古い塗装が剥がれやすくなります。既存の塗装が剥がれる状態になったら、スクレーパーなどを使用して削り取る必要があります。
なお、剥離剤の種類によっては気温や天候の影響を受けることもあるので要注意。たとえば気温が低いと剥離剤の成分が表面に留まり、浸透しなくなるため十分な効果が得られません。
かと言って気温が高すぎると成分が蒸発してしまうため、同じように剥がれにくくなってしまうのです。特に雨の日は外壁や屋根の表面に付着した雨水が剥離効果を阻んでしまうので、剥離剤は天気のいい日に使用しましょう。
また、ジクロロメタン系のように人体に有害な成分が含まれている剥離剤を使用する際には、専用のマスクやゴム手袋などが不可欠になります。
マスクもせずに素手で剥離剤を使用すると、体調不良や皮膚のただれなどを起こしてしまう危険性があるからです。
- 剥離剤=塗装剥がしに使用する薬剤のこと
- 剥離剤にはさまざまな種類があり、使用可能な素材も効果も異なる
\料金相場を30秒でチェック/
塗装剥がしに剥離剤が使われるケース
塗装剥がしにおいて、必ずしも剥離剤が使用されるわけではりません。場合によっては、ほかの方法で古い塗装を剥がすこともあります。
では、どのような場合に剥離剤が使用されるのでしょうか?以下では、剥離剤を使用して塗装剥がしをおこなうケースをご紹介していきます。
大きな施設の補修
集合住宅や商業施設など、大きな建物は一般住居と違い、頻繁にメンテナンスができません。
大きな施設の補修では、一度のメンテナンスで確実に古い塗膜を剥がし、新しい塗料を密着させるために剥離剤を使用することになります。
施工不良が起きた時
業者の技術不足やミスなどで施工不良が起きた場合も、剥離剤を使用します。というのも、中途半端に密着した塗料は密着性が足りず、長期的に見ると不具合が多くなるからです。
剥がれやひびわれなどのトラブルが生じる前に、一旦剥離剤を使用して塗料を剥がしてしまい、再塗装することになります。
塗装が気に入らなかった時
希望する仕上がりとは違う塗装になってしまった場合も、剥離剤を使って再塗装をおこないます。
たとえば色見本やカラーシュミレーションのみで塗料の種類や色を決めた場合などは、イメージしていた仕上がりと実際のそれとの間に大きなギャップが出てしまいやすいため、再塗装を踏み切るケースがままあります。
- ビルやマンションなど大型施設は剥離剤を使用する
- 施工不良や仕上がりが気に入らない場合も剥離剤使用後に再塗装する
\料金相場を30秒でチェック/
塗装剥がしで剥離剤を使う場合の注意点!
間違った方法で剥離剤を使用すると、さまざまなトラブルが生じてしまいかねません。トラブルを防ぐために、以下では塗装剥がしで剥離剤を使用する際の注意事項についてチェックしていきましょう。
外壁や屋根を傷める可能性がある
剥離剤はプラスチックやゴムなどを溶かすほど強力な薬剤であるため、使用方法を間違えると外壁や屋根の下地を傷めてしまうことも…。
古い塗膜だけを剥がすつもりが、その周辺の外壁や屋根材まで破損してしまい、補修のために新たな工事が必要になるケースさえあります。
また、適切に剥離剤を使用した場合であっても、スクレーパーなどを使って浮いた塗膜を削り取る作業が必要です。この作業によって、外壁や屋根にさらなる負担がかかる可能性があります。
だからこそ、少しでも負担を抑えるためにDIYでの施行は避け、確かな技術と実績のある業者に塗装剥がしを依頼することをおすすめします。
強烈な悪臭がする
剥離剤は強烈な臭いが特徴的。塗装時よりも臭いがきつく感じるため、剥離剤を使用する際には専用の防護マスクを使用すること、十分に換気をおこなうことが不可欠です。
また、塗装剥がしに使用した工具は、シンナーを使用して付着した剥離剤を落とす必要があります。このシンナーに関しても悪臭がする上に、吸引によって健康被害をもたらす危険性があるため、くれぐれも取り扱いには注意しなければなりません。
- 使用方法を間違えると外壁・屋根を傷めるリスクがある
- 悪臭が強く健康被害を招く可能性もある
塗装剥がしにおすすめの剥離剤
DIYで塗装剥がしをするのは難易度が高いものの、もしも剥離剤を使用するとすれば、どのような製品を選べばよいのでしょうか?
ここからは、代表的な剥離剤のメーカーと製品を5つピックアップしてご紹介していきます。
アサヒペン「塗料剥がし液」
剥離剤の中でも特に人気が高いのが「塗装剥がし液」。塩素系の成分を含んでいないため、ジクロロメタン系の剥離剤と違い、安心して使用できます。
標準使用面積 | 0.3~0.5平方メートル |
成分 | 有機溶剤・界面活性剤 |
三彩化工「ネオリバー スプレー 塗料剥離剤」
こちらの製品は、エアゾールタイプの剥離剤のなかでは最強と言われるほどの効果が特徴的。
液体タイプと違い、スプレーを噴射して楽に作業がおこなえる点も人気を集めています。
標準使用面積 | 不明 |
成分 | ジクロロメタン |
カンペハピオ「水性タイプ塗料はがし剤」
「水性タイプ塗料はがし剤」はジクロロメタンなどの有害物質を含まないため、安全性が高いところが魅力的。
また、ほかの剥離剤と比べると臭いが比較的少ない点もおすすめのポイントです。
標準使用面積 | 0.9~1.5平方メートル |
成分 | 水性タイプ(ジクロロメタンを含まない) |
ナトコ「スケルトン M-201」
「スケルトン M-201」は、国内で最初に開発された塗料用剥離剤です。
高い知名度と人気があり、実際に古い塗膜を強力に剥がしてくれるため、業者の中でもリピーター率が多いと言われています。
標準使用面積 | 不明 |
成分 | 塩素系(ジクロロメタン) |
アサヒペン「ガレージ・ゼロ」
業務用の剥離剤も少なくありませんが、「ガレージ・ゼロ」は家庭で掃除や除菌のために利用されることもあるほど安全性が高い製品です。
ジクロロメタン系の剥離剤のように皮膚がただれるなどのトラブルが起きにくいため、DIYで塗装剥がしをおこなう際にピッタリだと言えるでしょう。
標準使用面積 | 不明 |
成分 | イソプロピルアルコール |
\料金相場を30秒でチェック/
剥離剤が使用できない材質も?
すべての外壁・屋根に剥離剤が使用できるわけではありません。素材の種類によっては、剥離剤が十分な効果を発揮できなかったり、外壁や屋根そのものを傷めてしまうことも…。
そこで以下では、剥離剤が使用できない材質について詳しく見ていきましょう。
無機製品や耐候性が高い塗料には効果が薄い
一般的に剥離剤は、無機製品には効果を発揮できません。具体的には、シリコンやフッ素塗料といった耐候性が高い塗料には効果が薄い傾向にあります。
剥離剤の種類によって使用できない材質も異なってきますので、以下の表でご確認ください。
剥離剤の種類 | 使用できない材質 |
ジクロロメタン系 | プラスチック、ゴムはNGが多い |
非ジクロロメタン系 | プラスチック、ゴムはNGな場合あり |
強アルカリ系 | アルミニウムなどの軽金属はNG |
中性 | 銅、銅合金はNG
アルミニウムなど軽金属もNGな場合あり |
酸性 | 鉄鋼が錆びるおそれあり |
剥離剤以外の塗装剥がしの方法
剥離剤を使用せずとも、塗装剥がしをおこなうことは可能です。ここからは、剥離剤を使用せずに塗装剥がしをおこなう方法について解説していきます。
高圧洗浄機
ビルなどの大型施設では剥離剤を使用することが多いものの、一般住宅ならば高圧洗浄機で塗装剥がしが可能です。
高圧洗浄機は水圧が非常に強いため、普通の塗料ならば問題なく剥がせます。ただ、事前に養生作業をきちんとおこない、周囲への水や塗膜の飛散を防ぐ必要があります。
サンドペーパー
外壁や屋根の材質によっては、剥離剤が使用できないケースもあります。
とりわけ金属や木部の塗装剥がしではサンドペーパーを使用し、表面を少しだけ研磨することで古い塗膜を剥がしていきます。
スクレーバー
剥離剤を塗布した際もスクレーバーを使用しますが、剥離剤なしでも使用が可能です。
剥離剤を使う必要がない程度の塗膜ならば、スクレーバー単体で問題なく塗装剥がしができます。
- 戸建て住宅ならば高圧洗浄機で塗装剥がしが可能
- 金部・木部などはサンドペーパーで塗膜を剥がす
- スクレーバー単体でも塗膜剥がしができる
適切な塗装剥がしの方法をチェックしよう!
今回は剥離剤による塗装剥がしの方法や注意点についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
剥離剤には強力な効果をもち、人体に有害な物質を含んでいるものもあれば、環境に優しく安心して使えるものもあります。
材質との相性もさまざまですので、使用する箇所の材質と相性のよい剥離剤の種類を選ぶことが大切。
また、剥離剤が使用できないケースもあるため、その場合は高圧洗浄機などほかの方法で適切に塗装剥がしをおこないましょう。
できるならばDIYは避け、信頼できる業者に依頼するのが一番です。相見積もりを活用したり口コミをチェックしたりして、実績豊富で信頼できる業者を見つけましょう。
\料金相場を30秒でチェック/