軒の出(軒の長さ)とは、屋根から軒の先端までの部分を指し、直射日光や雨風から外壁や室内を守れるなど、多くのメリットがあります。
その反面「建物の外観を損なう」「隣地境界制限により居住スペースが狭くなってしまう」などのデメリットもあり、近年では軒の出なしの家も増えてきました。
そこで当記事では、軒の意味や軒の出はどのくらいの長さが必要かについて解説しているため、軒について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。
- 軒とは何?
- 軒の主な役割とは
- 軒の適切な長さについて
- 軒のメリットとデメリット
- 軒がつけられない場合はどうするか
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目次
軒の出とは
軒の出とは、屋根から軒の先端までの部分で、どれくらいの長さが良いかは目的によって変わります。木造住宅など、雨風によって外壁が劣化しやすい建物は、軒をつけるべきです。
ただし、軒には室内が暗くなる、デザイン性が損なうなどのデメリットがあります。そのため住宅が密集して日当たりが悪かったり、縦長住宅で軒をつけるとデザインが悪くなってしまう家には軒をつけないほうが良いです。
そもそも軒とは
軒とは、一戸建ての住まいの屋根の一部分で、家の外壁や窓、扉よりも、突き出ている出っ張りの屋根部分を指します。
切妻屋根(きりづまやね)や寄棟屋根(よせむねやね)などの、傾斜がついている屋根の下端、先端部分です。
軒はなぜ必要?
軒は、風や雨、直射日光などの外の刺激から外壁を保護する役割があります。外壁を保護することで家の耐久力を上げられます。
特に雨による劣化が起こりやすい木造住宅には、軒は必須とされており、適切な軒をつけることで、家の寿命を延ばせます。
- 軒とは屋根の先端の出っ張っている部分
- 直射日光や雨風から外壁を守る役割を果たす
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軒の出をつけるメリット5つ
軒の出をつけるメリット5つ
- 日差しから建物を保護
- 雨水の吹き込みを防止
- 外壁の劣化を防止
- 屋根裏の換気が可能
- 外観に高級感を演出可能
1.日差しから建物を保護
軒の出は突き出ている部分で、日差しから建物を保護します。太陽の高度が高い夏季には、軒が直射日光を遮るため紫外線による外壁の劣化を軽減可能です。
また、直射日光が外壁に直接あたるのを避けられるので、外気温の影響を受ける割合が減ります。そのため軒を取り付ければ、空調の効率アップにも繋がります。
2.雨水の吹き込みを防止
軒があることで、雨水が直接外壁に当たるのを防げます。軒で雨水を防げば、窓やドアから雨水が吹き込むのを軽減可能です。
また、軒があれば窓やドアを雨天時に閉め忘れても、雨の吹き込みを少量に抑えたり、家の周囲に濡れにくい部分ができ、傘の開閉スペースを確保できたりします。
3.外壁の劣化を防止
軒があれば外壁の劣化を防止可能です。外壁は風によって運ばれたホコリが、雨水の影響で広がり、汚れや劣化を引き起こします。
軒を取り付ければ、風や雨水から外壁を守れるので、劣化の進行を遅延可能です。直射日光もある程度防げるので、塗装の色褪せなども防げます。
4.屋根裏を換気できる
軒の天井部分(軒天)には、屋根裏(屋根下の空間)を換気する役割もあります。換気口を取り付けるか、有孔ボードを一部に使えば通気可能です。
有孔ボードとは「穴の開いたボード」という意味で、ボードに空いた穴から空気が出入りします。
5.外観に高級感を演出できる
外観的にも、軒があれば家が豪華に見えやすいです。軒を長めに確保すれば、より高級感が増すため、豪華な家を演出したい場合は、長い軒を採用しましょう。
特に軒は木造住宅など、木目調のサイディングが施されている住宅と相性がよく、上品な家を演出できます。
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軒の出をつけるデメリット4つ
軒の出をつけるデメリット4つ
- 外観のバランスが崩れやすい
- 建築面積に悪影響が出る可能性あり
- 風の影響を受けやすい
- 建築費用が増える
1.外観のバランスが崩れやすい
軒が長いと、屋根部分が大きく出っ張った構造になるため、でこぼこした家という印象を持ちます。バランス的に屋根が大きすぎる感が出るので、適度な長さの方が見栄えが良いです。
一方で軒がない家は「箱型ですっきり」としており、現代的な印象を受けます。軒はメリットも多いですが、「古い家」といった印象を与えやすいです。
2.建築面積に悪影響が出る可能性あり
軒が1mを超えると、建築面積に含まれるため悪影響が出るケースがあります。軒の長さを建築面積に含めた分、室内の面積を減らさなくてはいけない可能性もあるので注意が必要です。
また、もともとの建築面積が狭い場合は、軒がつけられない場合もあります。
3.風の影響を受けやすい
軒が長いと、風の影響を受けやすいデメリットがあります。強風のときは軒に風が多くあたるため、屋根があおられやすいです。
屋根があおられると、最悪はがれ飛んでしまうケースもあります。軒を長くする場合は、ピンポイントで風の力が加わったときの対策が必要です。
4.建築費用が増える
軒を長くすると、その分の木材が増え建築コストがアップします。コストを抑えて建物を建てたい場合は、軒を必要最低限の長さに留めましょう。
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軒の出は900mm(90cm)がおすすめ
軒の長さのメリットやデメリットを合わせて考えると、理想とされている軒の長さは900mm(90cm)程度です。900mmほど軒の長さがあれば、太陽の高度が高い夏は日射を遮り、高度が低い冬は日差しを差し込めます。
夏に涼しく冬に暖かい量の日光が差し込むという、日光の差し込みを上手に調節できるのが900mmの長さと言われています。
軒の長さに決まりはない
軒をどれぐらいの長さにするかについては、明確な決まりはありません。軒がないという家もあれば、長さが深い軒を持つ家もあります。
軒が長いほど、雨や直射日光などの刺激から外壁や家屋を守れます。しかし、日光を遮る面積が大きいので、室内が暗くなりやすいです。
- 日差しの量の調節などがちょうど良いので、軒の長さは900mm程度がおすすめ
- 軒が長いと保護できる外壁も多いが室内が暗くなるなどのデメリットも
軒の出をつけないほうがいい家の特徴
軒の出をつけないほうがいい家の特徴
- 住宅が密集して日当たりが悪い
- 建築面積が少なく住宅スペースに影響が出る
- 軒によってデザイン性が損なってしまう
- 豪雪地帯は軒折れが起きる危険性がある
軒の出をつけないほうがいい家は、日当たりが悪い家や、建築面積が狭く住宅スペースに影響が出てしまう家です。特に都内など住宅が密集する地域は、軒を極端に短くしたり、軒なしの住宅を建てるのをおすすめします。
軒なしの住宅を建てる場合は、軒ありの家よりも耐久性が落ちてしまうため、窓に庇(ひさし)を取り付けたり、外壁を耐久性の高いタイルにするなどの対策を取りましょう。
豪雪地帯は軒折れが起きる危険性がある
豪雪地帯は軒折れが起きる可能性があるため、軒を長めにつけるのは危険です。特に建物が低い場合は、軒をつけない方がいいです。
建物が低いと、軒先の雪と地面の雪が融雪してしまい、建物を破壊する可能性があります。スノーダクト方式の無落雪屋根や、軒をつける場合は軒先にヒーターを設置するなど、積雪対策をしましょう。
軒の出をつけずに日差しや雨から家を守る方法
窓に庇(ひさし)を付ける
家に軒をつけない場合は、窓に庇(ひさし)をつけて住宅を守る方法があります。庇とは、家の窓や扉などの上に部分的に取りつけ可能な小さな屋根です。
庇を窓の上部に取り付ければ、部屋に雨が入り込むリスクが少ないです。また、サッシ周りの外壁の劣化も防げます。
庇の後付けにはデメリットがある
庇の後付けのデメリット
- 窓によっては外壁の一部を解体する必要あり
- 強度不足で壊れやすい
- ビス穴から雨漏りする可能性あり
庇を後付けすると、強度不足や雨漏りなどのデメリットがあります。多くの窓は庇の取り付けに向かないため、外壁の一部を解体するなどの工事を行わないと強度を確保できません。
また、庇を取り付けた際のビス穴等から、雨漏りをする可能性があり、取り付け前よりも雨に弱くなる場合もあります。費用はかさみますが、庇を後付けする際は、デメリット効果を最小限に抑えられるプロの業者に依頼するのがおすすめです。
外壁をタイルにして家を守る
軒や庇で外壁を保護できないときは、外壁を水に強いタイルサイディングにする方法があります。タイルは水分を吸収しづらい素材でできているため、外壁から雨水が浸入するのを防ぎやすいです。
また、タイルは耐用年数が長く、塗装をしなくても良いので、長期間メンテナンスが不要で維持コストを安く抑られます。ただし、タイルが薄い色味だと水垢などの汚れが目立つため、汚れが気になる方は濃い色のタイルを使用しましょう。
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軒の出に関するよくある質問
軒の出の平均や一般的な長さは?
軒の出は900mmや600mm、450mmなど、250mm以上で使われるのが一般的です。1,000mmを超えると建築面積を縮小する必要があり、反対に250以下だと軒ゼロと呼ばれます。
軒はdiyで修理できる?
軒はスラグ石膏板やケイカル板、フレキシブルボード等を購入すれば、diy自体は可能です。ただし、軒は繊細な素材で、シミや穴など些細な原因で雨漏りが起きてしまいます。そのためdiyするのではなく、プロの業者に依頼するのがおすすめです。
軒先の読み方と意味は?
軒先は「のきさき」と読みます。軒の先端部分を指し、雨樋(あまどい)を支える鼻隠しという板材が取り付けられていることが多いです。
軒下の読み方と意味は?
軒下は「のきした」と読みます。空間を含め、軒の下の全範囲を指し、雨宿り等で使われることが多いです。
軒天の読み方と意味は?
軒天は「のきてん」と読みます。屋根の裏側の天井部分で、なおかつ外壁よりも外に伸びている部分のことです。
軒高の読み方と意味は?
軒高は「のきだか」と読みます。地盤面から軒桁(のきけた)までの高さを指します。
外壁を守れる軒はつけるべき
軒は外壁を雨風から守り、住宅の劣化を防げる重要な部位です。特に木造住宅など、外壁が劣化しやすい家には軒をつけるのをおすすめします。
ただし、住宅が密集している地域で日当たりが悪かったり、軒をとりつけることで住宅スペースに影響がでる場合は、軒をつけない方がいいです。
軒をつけない場合は、窓の上側だけに庇(ひさし)を作る、外壁を傷みにくいタイルにするなど、建物を守る対策を考えておきましょう。
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