自宅の購入から10年ほどが経過したタイミングで、屋根塗装を検討する人も少なくないでしょう。多額のお金が必要になりますが、適正な価格を知っていれば業者選びのハードルも下がります。また、悪質な業者に騙されてしまう可能性も下げられるかもしれません。
本記事で、40坪の住宅に必要な屋根塗装の費用相場や内訳、塗料の違いや適正費用で依頼する際に押さえておきたいポイントを解説します。
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目次
40坪の屋根塗装の費用相場
ひと口に屋根塗装の費用といっても、さまざまな条件で変化します。決まった金額はないものの、以下の要素が合わさって屋根塗装の要が決まる仕組みです。
- 塗装面積
- 塗料の種類
- 屋根の勾配や材質
- 2階建てか3階建てか
- 外壁塗装も同時に行うか
住宅そのものの特徴もあれば、施工する業者が関係している場合もあります。いずれにしてもまったく同じ金額で施工される家はそうそうないため、大まかな費用相場を知っておくことで損をしたり騙されたりするリスクは軽減できるでしょう。
以下に坪数ごとの塗装費用の相場をまとめました。
坪数 | 屋根塗装のみの 費用相場 |
外壁塗装と同時に行う 場合の費用相場 |
---|---|---|
30坪 | 2階建て:40~90万円 3階建て:80~115万円 |
2階建て:110~160万円 3階建て:130~180万円 |
35坪 | 2階建て:45~95万円 3階建て:85~120万円 |
2階建て:130~180万円 3階建て:150~190万円 |
40坪 | 2階建て:50~100万円 3階建て:90~125万円 |
2階建て:140~190万円 3階建て:170~210万円 |
45坪 | 2階建て:55~105万円 3階建て:95~130万円 |
2階建て:150~200万円 3階建て:190~230万円 |
50坪 | 2階建て:60~120万円 3階建て:100~135万円 |
2階建て:180~230万円 3階建て:200~270万円 |
40坪の場合、屋根のみの塗装で50~100万円程度です。3階建てなどの高い建物であればもう少し高額になる可能性もあります。
また、外壁塗装とあわせると200万円程度と高額になりますが、実際には30~50万円ほど安くなっていることもあり、別々で施工した場合より割安になっていることがほとんどです。
40坪の住宅の外壁塗装を検討している方は、こちらの記事も参考にしてください。
40坪の外壁塗装の価格相場は?塗料別の費用目安・見積もり時の注意点 |
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【40坪】屋根塗装の費用の計算方法
屋根塗装の正確な費用を個人で算出するには限界があります。屋根の勾配や経年劣化の具合、塗料の単価が関係してくるためです。しかし、以下の計算式を用いれば、概算ではありますが屋根塗装の費用を算出できます。
屋根塗装の費用(円)=屋根の塗装面積(㎡)×塗料の単価(L/円)+その他工程の費用(円) |
計算式に数字を当てはめればおよその費用は出てきます。その前段階として用意しなければならないのが「塗装面積」です。
塗装面積の算出には以下の計算式を使用します。
屋根の塗装面積=坪数×坪数の係数3.3×傾斜の係数1.2 |
末尾の「傾斜の係数」とは、簡単に言えば屋根の確度のことです。この係数は実際の屋根の勾配で変化しますが、概算を出す程度なら1.2で問題ありません。
以上の条件を踏まえて、40坪の住宅の屋根塗装に必要な費用は以下のとおりです。なお、塗料の単価を2,000円、その他工程の費用を30万円と仮定して算出しています。
(40坪×3.3×1.2)×2,000円+30万円=約61.7万円 |
建物の階層や屋根材によって前後はするものの、おおむねこのくらいの金額になることを覚えておくと良いでしょう。正確な数字を知るには屋根の面積を自力で算出しなければなりませんが、危険も伴う上に現実的ではないため、上記の計算式を活用してください。
【工程別】40坪の屋根塗装の工事費
繰り返しになりますが、屋根塗装にかかる費用は塗料だけでは決まりません。最終的な費用を算出するには、以下の項目にかかる費用を合算しなければなりません。
- 足場設置
- 養生設置
- 高圧洗浄
- 下地処理
- 下塗り
- 仕上げ塗装
- 縁切り
- 付帯塗装
- 諸経費
上記項目の中には、住宅次第で不要なものもあります。ただ、見積書をもらった際にはこれらの項目が記載されていることも多いため、何を指しているのかを理解しておくだけでもいいでしょう。
以下では、40坪の住宅でかかるであろう各項目の費用目安を記載しています。
項目 | 単価 | 40坪の場合の費用目安 |
---|---|---|
足場設置 | 700~950円/㎡ | 12~17万円 |
養生設置 | 350~450/㎡ | 6~9万円 |
高圧洗浄 | 150~250/㎡ | 2~5万円 |
下地処理 | 塗料の種類による | 塗料の種類による |
下塗り | 塗料の種類による | 塗料の種類による |
仕上げ塗装 | 塗料の種類による | 塗料の種類による |
縁切り | 250~360円/㎡ | 5~9万円 |
付帯塗装 | 塗料の種類による | 塗料の種類による |
諸経費 | 工事費の5~15% | – |
階層や屋根材の劣化具合によって費用が変動するため、上記の金額は参考程度に覚えておきましょう。それぞれの項目を詳しく解説します。
足場設置
屋根や外壁の塗装で使用する足場は、設置と撤去まで含めて700~900円/㎡を単価としている場合が一般的です。足場設置の概算費用は計算式で求めることができます。
足場設置費用(円)=延べ床面積(㎡)×1.3 |
外壁塗装の計算式とよく似ていますが、係数が1.2ではなく1.3となっています。これは足場を組む場所が外壁から少し話さなければならないというルールに基づくもので、実際の床面積より広めで計算する必要があるのです。上記の表もこの計算式に当てはめて計算しています。
なお、足場については建物の高さや障害物によって費用が前後します。正確な金額は塗装業者が算出しないとわからないのが現状です。
養生設置
屋根の上にある塗装してはいけない部分を保護する目的で使用されるのが養生です。エアコンの室外機やアンテナ、その他屋根とは関係のない部分に対して施される処置です。
屋根全面に使用することはないものの、必ず何かしらで使用するもの。費用相場は350~450円/㎡となっています。
高圧洗浄
屋根の汚れを洗い流す目的で行われるのが高圧洗浄です。汚れが付いたまま塗装をすると、色が剥げてしまったり、上から塗り直した塗料の劣化が激しくなったりします。どの屋根でも基本的には行う工程であり単価は150~250円/㎡です。
高圧洗浄とは別で、トルネード洗浄を採用している業者もあります。高圧洗浄より強力に汚れを落とせますが、300~500円/㎡と単価が上昇します。業者によって対応の有無が分かれるため、確認しておくと良いでしょう。
下地処理
サビ落としやケレン作業を行う工程です。ケレン作業とは、屋根の中でも鉄の部分を塗装する際にサビを落とす作業のことで、実施すると仕上がりがきれいになります。クラック(ひび割れ)の補修もこのタイミングで行います。
単価は400~700円/㎡とやや高額に見えますが、要所要所で行うため総額はあまり大きくなりません。補修も別料金ですが、特に問題なければ加算されないこともあります。
下塗り
サビ止めなどを塗布する工程です。せっかくサビ落としをしても、防錆処置をしておかなければ塗装後に再度錆が発生してしまう可能性があるためです。また、上塗りする塗料の密着性を高めるためにも必要な、重要な工程でもあります。
単価は600~900円/㎡となっています。下塗りで使用するシーラーにもよりますが、モルタルなどに使用する微弾性フィラーの場合、単価は900~1,200円とやや高くなる点に注意しましょう。
仕上げ塗装
中塗りと上塗りを合わせた工程を「仕上げ塗装」と言います。屋根塗装の費用算出で「塗料の単価」が関係するポイントで、もっとも大きく料金が変動する工程でもあります。
見積もりの中では「仕上げ塗装」と一括りにされることもあり、単価も1,500~3,500円/㎡と幅があるのが特徴です。後述する「【塗料別】40坪の屋根塗装の費用目安」を参考にしてください。
縁切り
屋根の隙間を塗料で埋めてしまわないようにする処置を「縁切り」と言います。切れ込みを入れる作業のことで、250~360円/㎡が一般的です。
また、カッターのほかにも事前に隙間に挟んで使用するタスペーサーで代用する場合もあります。屋根や塗装面を傷つけないため重宝されますが、300~900円/㎡と割高になるのが欠点と言えるでしょう。
付帯塗装
軒天井や破風板などの屋根以外の部分を塗装する工程です。屋根塗装とは別で施工もできますが、足場代などの兼ね合いで同時にやってしまうケースも少なくありません。
500~1,500円/㎡と高くはありませんが、屋根塗装と別々にすると改めて足場代などを支払う必要も出てきます。特別な理由がない限り、同時に行うといいでしょう。
諸経費
上記項目以外の産廃処理費用や人件費などを混ぜた料金です。一概にいくらと価格が決まっているわけではないものの、一般的には総額の5~15%が設定されます。
以上が屋根塗装のその他工程を含めた項目の内訳です。屋根塗装の詳しい作業工程については下記リンクの記事で解説しています。本記事とあわせてご確認ください。
屋根塗装にかかる日数は?工程・手順を詳しく解説! |
【塗料別】40坪の屋根塗装の費用目安
屋根塗装に使用する塗料は5種類あります。いずれも機能や耐久性が異なり、それに比例して単価も大きく変わります。屋根塗装の費用を決定すると言っても過言ではない塗料ですが、節約したいがために単価だけを見て決定するのは非常に危険です。
それぞれの機能・耐用年数を比較し、自分の求めている塗料を選択しましょう。
塗料 | 耐用年数 | 単価(㎡) | 40坪の屋根塗装の費用 |
---|---|---|---|
ウレタン塗料 | 5~7年 | 2,500~3,200円 | 2階建て:約80~100万円 3階建て:約95~110万円 |
シリコン塗料 | 6~12年 | 2,800~3,500円 | 2階建て:約100~115万円 3階建て:約110~125万円 |
フッ素塗料 | 8~15年 | 3,600~4,100円 | 2階建て:約115~120万円 3階建て:約120~130円 |
遮熱塗料 | 5~15年 | 3,400~4,600円 | 2階建て:約115~130万円 3階建て:約120~140万円 |
断熱塗料 | ベースによって異なる | 3,800円+下塗り費用 | – |
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ウレタン塗料
ウレタン塗料は、現在ではあまり使われなくなった合成樹脂を主成分とした塗料です。発色がよくカラーバリエーションも豊富なものの耐用年数が短いため、あまり採用されなくなりました。
屋根塗装で使用する塗料では最も安価ですが、塗り替えサイクルが早いためコストパフォーマンスの面から考えてもあまりおすすめしていない業者が多いようです。
塗料の単価(㎡) | 2,500~3,200円 |
---|---|
耐用年数 | 5~7年 |
メリット | 発色がいい 単価が安い |
デメリット | 耐用年数が短い 塗り替えのサイクルが早い |
塗装費用の相場 | 2階建て:約80~100万円 3階建て:約95~110万円 |
シリコン塗料
比較的高いコストパフォーマンスを有するシリコン塗料は、耐用年数もそれなりに長いためよく選ばれています。ウレタン塗料と比較すると少し値段は張りますが、塗り替えサイクルを考えれば圧倒的にシリコン塗料の方がお得です。
塗装時の付着力が弱いという弱点があり、業者の中には取り扱っていない可能性もあります。しかし、機能などを考慮すれば決して悪いものではありません。取り扱いのある業者を探してみるのもいいかもしれません。
塗料の単価(㎡) | 2,800~3,500円 |
---|---|
耐用年数 | 6~12年 |
メリット | 熱や紫外線に強い 汚れが付着しにくい 単価と耐用年数のバランスがいい |
デメリット | ひび割れしやすい 塗装時の付着力が弱いため職人の腕に左右される |
塗装費用の相場 | 2階建て:約100~115万円 3階建て:約110~125万円 |
フッ素塗料
歯を丈夫にする物質であるフッ素を配合したフッ素塗装は、単価こそ高いものの優れた耐久性を誇っています。熱や紫外線だけではなく汚れにも強く、耐用年数も長いためコストパフォーマンス的に見ても十分な塗料です。
非常に高いパフォーマンスを発揮してくれるものの、次回塗装の際に使用できる塗料に制限がかかってしまうという落とし穴もあります。1回塗り直せばそうそう上塗りすることはなかったにせよ、色選びなどを含めてじっくり検討するのは必須です。
塗料の単価(㎡) | 3,600~4,100円 |
---|---|
耐用年数 | 8~15年 |
メリット | ウレタン塗料より熱や紫外線に強い 強い風雨でも劣化しにくい |
デメリット | 単価が高い 次回塗装の際に使用できる塗料が限定される |
塗装費用の相場 | 2階建て:約115~120万円 3階建て:約120~130万円 |
遮熱塗料
熱の侵入を防いで夏を涼しく過ごしたいのであれば遮熱塗料がおすすめです。太陽からの熱を室内に通すことなく遮断するため、家の中が暑くなりすぎないという効果があります。
反面、冬場でも温度が上昇しにくくなるうえ、室内の暖気を逃がしてしまうことから地域によってはあまりおすすめできません。冬も比較的暖かい地域であれば選択肢に入れてもいいでしょう。
塗料の単価(㎡) | 3,400~4,600円 |
---|---|
耐用年数 | 5~15年 |
メリット | 屋根から室内にくる熱を遮断する ベースにシリコンやウレタンなどの塗料を使用するため、それぞれのメリットを受けやすい |
デメリット | 単価が高い 冬の室内の気温上昇を妨げるため、地域によってはおすすめできない |
塗装費用の相場 | 2階建て:約115~130万円 3階建て:約120~140万円 |
断熱塗料
遮熱塗料とよく似ていますが、こちらは室内外の熱を完全にシャットアウトするという特徴があります。遮熱塗料のデメリットである室内の暖気を逃がすこともないため、地域を問わず選択肢に含められるでしょう。
単価が非常に高いのがデメリットですが、断熱塗料と遮熱塗料は自治体で助成金・補助金を用意している場合があります。一度探してみる価値はあるかもしれません。各自治体の助成金・補助金についてはこちらから検索できます。
塗料の単価(㎡) | 3,800円+下塗り費用 |
---|---|
耐用年数 | ベースによって異なる |
メリット | 外からの熱を完全にシャットアウトする 室内からの熱も通さないため、寒冷地で高い効果を発揮する 自治体によっては助成・補助を受けられる(要申請) |
デメリット | ベースによって単価が異なる メーカーによって効果を実感できないことがある |
塗装費用の相場 | – |
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40坪の屋根塗装を適正費用で依頼するポイント
屋根塗装は1回の施工が非常に高額で、業者によって提示してくる金額にも差があります。この状況から、悪徳業者が巧妙な手口でお金をだまし取ろうとするケースも少なくありません。屋根塗装の適正価格を知ることで、このトラブルを避けることができるでしょう。
いくつかの見抜き方はあるものの、適正価格を知るためには以下の方法を実践するのが効果的です。
- 相見積もりをとる
- 相場との差を確認する
相見積もりをとる
適正価格を知るための王道として、相見積もりがあります。複数の塗装業者から見積もりだけをもらい、料金を比較する方法です。一社だけで決定してもいいのですが、これでは内容におかしな場所があっても気が付けない可能性もあります。
チェックするポイントは総額だけではなく「【工程別】40坪の屋根塗装の工事費」で解説した項目も含めます。業者によって差はあるものの、あまりにも高すぎたり安すぎたりする場合は要注意です。仮にそういった業者がなかったとしても、適正価格を知るための資料集めとして活用しましょう。
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相場との差を確認する
本記事で紹介した相場よりも高い場合は要注意です。住宅の構造などにも左右されるものの、本記事の相場+30万円以上になる場合はあまりおすすめできる業者とは言えないでしょう。
逆に安すぎる場合も注意が必要です。見積もり時点では安く見せているものの、工事が始まったら何かにつけて追加費用を請求してくることも考えられるためです。
一概に適正価格と言われても難しいのが屋根塗装の欠点でもあります。しかし、ほかの業者や相場と比較すればどのぐらいが適正価格かを知ることはできます。適正価格をしっかりと理解し、損をしないようにしましょう。
屋根塗装は外壁塗装と同時に行うのがお得
屋根塗装の費用を抑える方法はいくつかありますが、オーソドックスな方法のひとつに外壁塗装と一緒に施行することが挙げられます。額面的には大きくなりますが、別々で施工するよりも30~50万円ほど安くなる可能性もあります。以下に表にしてまとめたので、参考にしてください。
費用 | 工期 | |
---|---|---|
屋根塗装のみを行う場合 | 2階建て:50~100万円 3階建て:90~125万円 |
約7~10日 |
外壁塗装のみを行う場合 | 2階建て:110~150万円 3階建て:130~170万円 |
約7~10日 |
屋根塗装と外壁塗装を 同時に行う場合 |
2階建て:140~190万円 3階建て:170~210万円 |
約10~14日 |
屋根塗装と外壁塗装を 別々に行う場合 |
2階建て:160~250万円 3階建て:220~295万円 |
約14~20日 |
足場や職人の手配の関係で価格、使用する塗料で左右される可能性もありますが、だいたい上記の表に収まることが多いと考えていいでしょう。
なお、なかには外壁だけ対応可能という塗装業者もあります。もし屋根も外壁も同時にと言うことであれば、どちらも取り扱っている業者を探すといいでしょう。
まとめ
屋根塗装を適正価格で依頼するには相場や内訳を知り、その価格内に収まっているかどうかを判断する必要があります。
塗料や住宅事情によって変化することもありますが、大前提として相場を知っておくことが失敗しないための近道です。本記事で紹介した方法も活用し、適正価格で屋根塗装を行ってくれる塗装業者を探しましょう。
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