この記事では、アスファルトシングルの基本的な知識から、アスファルトシングルを使用する際のメリット・デメリットなどについてまとめました。また、現在販売されているアスファルトシングルの塗料についても詳しくご紹介します。
これから新築やリフォームを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
- アスファルトシングルの特徴は? どんな種類があるの?
- アスファルトシングルのメリット・デメリットとは?
- メンテナンス法は? 塗料や費用も公開
目次
屋根材「アスファルトシングル」とは?
屋根材にはスレート屋根、金属屋根、瓦屋根などさまざまなタイプがありますが、アスファルトシングルが普及し始めてからは、既存の屋根材をアスファルトシングルにリフォームする人も増加しているそうです。
まずは、アスファルトシングルについての基礎知識から見てみましょう。
アスファルトシングルとは
「アスファルトシングル」とは、今から100年以上前に北米で誕生し、カナダやアメリカで一般的に普及している屋根材で、ガラス基材にアスファルトを浸透させ、表面に石粒を吹き付けて接着させた屋根材のこと。石粒の色によってさまざまなカラーバリエーションが楽しめます。
洋風の家だけでなく和風の家にもマッチするので、理想の家を実現したい方には人気の屋根材です。
アスファルトシングルの特徴
アスファルトシングルは薄いシート状の屋根材です。扱いやすい素材なので、複雑な形状の屋根にも施工が可能。
さまざまなカラーバリエーションでデザイン性が高いのはメリットですが、風で飛びやすいため日本での使用頻度はさほど高いとはいえないようです。
アスファルトシングルの価格相場
商品や屋根の広さ、施工法によって異なりますが、アスファルトシングルの価格は40〜80万円が相場。
カバー工法なら40〜70万円、葺き替え工法なら50〜80万円が目安です。
- アスファルトシングルとは、ガラス基材にアスファルトを浸透させた上に、石粒を吹き付けて接着させた屋根材のこと
- カラーバリエーションが多く、デザイン性が高い。和洋問わず、どのような屋根にもマッチしやすい
- カバー工法なら40〜70万円、葺き替え工法なら50〜80万円が相場
屋根材「アスファルトシングル」のメリット
他の屋根材にはないアスファルトシングルのメリットは、主に次の7つです。
- 耐震性に優れている
- 防音性に優れている
- デザイン性が高い
- 防水性に優れている
- ひび割れしにくい
- 錆びにくい
- 交換が簡単
これらのメリットを詳しく見ていきましょう。
耐震性に優れている
アスファルトシングルは軽量なので、耐震性が高いというメリットがあります。
地震の多い地域や、地震対策におすすめの屋根材であるといえるでしょう。
防水性に優れている
アスファルトシングルでは、表面に天然石が施されている商品が多く販売されています。
この天然石が緩衝材となってくれることによって、防音性が高まり、雨音や外の音が気になるといった不安が減少されます。
デザイン性が高い
前述した通り、アスファルトシングルは表面に接着した石粒の色によって、さまざまなカラーバリエーションがあります。また、模様もそれぞれ異なりデザイン性が高い商品が多いのも特徴。
洋風だけでなく和風にもマッチするのもメリットです。
防水性に優れている
アスファルトシングルは、仕上げ材に防水シートが使われるため、防水保証が10~30年の商品が多数販売されています。
また、アスファルトシングルの屋根の施工の際は、専用の接着剤を使用することにより、ほとんどルーフィングに穴を開けずに行われます。そのため、そこからの雨水の侵入を減らすこともできます。
なお、屋根の形状によっては釘を多めに打たなくてはいけないことがありますので、アスファルトシングルの経験豊富なベテランスタッフを探すことが重要です。
ひび割れしない
アスファルトシングルは柔らかいシート状の屋根材です。瓦屋根のように硬い屋根材だとひび割れしやすくなりますが、アスファルトシングルは他の屋根材と比べて柔らかいため、ひび割れしにくいというメリットがあります。
錆びない
金属屋根材は、長い間風雨に晒されると錆びてしまいますね。しかしアスファルトシングルは防水紙と石が素材となるため、錆びることはありません。
石粒で表面を覆っているため傷つきにくく、防水性・耐候性・耐久性に優れているのもメリットです。
交換が簡単
アスファルトシングルはシート状の屋根材です。そのため、1枚だけ交換が必要といった場合でも簡単に補修が可能。
他の屋根材と比べ、施工しやすい屋根材であるといえるでしょう。
- 軽く耐震性に優れているため、地震対策におすすめの屋根材
- カラーや模様が豊富でデザイン性が高い屋根になる
- 柔らかいシート状の屋根材なのでひび割れしくく、1枚単位で簡単に交換ができる
- 錆びにくく表面が傷つきにくい。防水性・耐候性・耐久性にも優れている
屋根材「アスファルトシングル」のデメリット
アスファルトシングルにはたくさんのメリットがある一方で、デメリットもあります。
この章では、アスファルトシングルのデメリットについて見ていきましょう。
カビやコケが繁殖しやすい
屋根が北側にある場合や、湿度の高い地域にお住まいの場合には、カビやコケが発生しやすいため、アスファルトシングルの使用は避けた方がベター。
カビ・コケは高圧洗浄で落とすことができますが、塗装もしくはカバー工法のリフォームも必要になる可能性があるので、メンテナンス費用がかさんでしまうおそれがあります。
強風に弱い
軽いシート状で扱いやすいのがアスファルトシングルのメリットですが、その反面、強風で簡単に吹き飛んでしまうというデメリットも。
強風でアスファルトシングルがズレたり欠けたりすることもあるので、頻繁にチェックが必要です。
石が落ちてくる
アスファルトシングルは、浸透させたアスファルトの表面に石粒を接着させた屋根材です。劣化によって接着力が劣ると、小さな石粒が落下してしまいます。
放置しておくと見た目が悪くなるだけでなく、劣化の進行が進むことに。細かい石の粒が落ちてくるようになったら、劣化のサインです。早めの補修を検討しましょう。
勾配の少ない屋根には不向き
アスファルトシングルは、勾配の少ない屋根への施工は不向きです。アスファルトシングルの設置が適している勾配は、原則3.5寸以上です。
ただし、施工方法によって3.5寸未満の緩勾配でも対応できる製品もあるので、アスファルトシングルを希望する場合には、まずは業者に確認してみると良いでしょう。
施工できる業者が少ない
海外では100年以上の歴史があるアスファルトシングルですが、日本では広く普及しているとはいえないのが現状。お客様からの依頼が少ないため、施工経験のある業者も他の屋根材と比べると豊富ではありません。
実績が少なく、アスファルトシングルを使った工事ができる業者が少ないのも、デメリットであるといえるでしょう。
- 軽量なので、強風に弱い。屋根材が吹き飛ぶことも
- 劣化が進むと、表面に付着した石粒が落下する
- 日本では施工実績のある業者が少ない
もちろんチェックは完全無料&匿名。
いくつかのチェック項目を入力するだけで、塗装にかかる適正価格が簡単にわかりますので、ぜひお気軽にチェックしてみてくださいね!
屋根材「アスファルトシングル」の種類とメーカー
日本では普及度が低いアスファルトシングルですが、現在ではどのようなメーカーから販売されているのでしょうか?
それぞれのメーカーから販売されている種類や、商品の特徴についてもご紹介します。
シングル
「シングル」は、田島ルーフィング株式会社から販売されているアスファルトシングルで、現在もっとも利用されている製品。
焼成形色砂を仕上げにしているのが特徴です。
ロフティ
「ロフティ」は、上記の「シングル」をグレードアップしたアスファルトシングルのこと。販売元は同じく田島リーフィング株式会社です。
「ロフティ」はガラス基材で耐用年数は約25年。表面は天然石仕上げとなっているため、「シングル」と比べて高級感のある外観になるのが特徴です。
アルマ
「アルマ」は2層構造のガラス基材。「ロフティ」同様、表面は天然石仕上げとなっているのがポイントで、コロニアルへのカバー工法用としてよく使用されています。販売元はニチハ株式会社です。
リッジウェイ
「リッジウェイ」も2層構造のガラス基材で、表面は天然石仕上げとなっている商品のひとつ。「アルマ」と似た商品ですが、販売会社は旭ファイバーグラス株式会社です。
オークリッジスーパー
「オークリッジスーパー」は、「アルマ」「リッジウェイ」と同じく、2層構造のガラス基材で表面は天然石仕上げのアスファルトシングル。販売元はオーウェンスコーニングジャパン合同会社です。
- 「シングル」はもっとも普及しているアスファルトシングル。焼成形色砂を仕上げにしている
- 「ロフティ」は「シングル」のハイグレード商品。ガラス基材で表面は天然石仕上げ
- 「アルマ」「リッジウェイ」「オークリッジスーパー」は2層構造のガラス基材で、表面は天然石仕上げ。メーカーはそれぞれ異なる
屋根材「アスファルトシングル」のメンテナンス方法
アスファルトシングルも長い間使用すれば劣化しますから、メンテナンスが必要になります。この章では、アスファルトシングルにはどのような補修法があるのかをご紹介しましょう。
アスファルトシングルには、主に4つのメンテナンス法があります。
- 屋根補修
- 塗装補修
- 屋根カバー工法
- 葺き替え工法
それでは順番に、メンテナンス方法を見てみましょう。
屋根補修
アスファルトは軽い屋根材なので、強風に煽られて飛ばされたり破損することがあります。また、施工不良や接着剤の劣化があれば部分補修が必要です。
アスファルトシングルはシート状になっています。破損した部分があれば、1枚からでもその部分だけ補修や交換をすれば良いので、他の屋根材と比べて補修しやすい屋根材であるといえるでしょう。
塗装補修
アスファルトシングルの表面の石粒が劣化し、剥がれがひどくなった場合は、塗装補修を行うのが一般的です。
足場を設置し必要な養生をしたら、まずは高圧洗浄でコケやカビ、汚れを落とします。下地となる屋根材の状態を整え、必要があれば補修を行ったらまずは下塗りです。
下塗りは塗料の密着性を高めるための重要な工程です。その後、中塗り・上塗りと塗料を2回に分けて重ね塗りします。こうすることによって塗料が均一になり、防水性や耐久性といった本来の性能を発揮できるようになるのです。
屋根カバー工法
「屋根カバー工法」とは、既存の屋根材の上からアスファルトシングルをかぶせる施工法のこと。下地には傷みがない場合に行われることが多いようです。
足場を設置したら、既存の屋根材の上に雨漏り防止シートを敷きます。その上にアスファルトシングルを重ね張りすれば完成。
既存屋根の解体が必要ないため、葺き替え工法より手間や費用を抑えることができ、工事期間も短くなるのがメリットです。
葺き替え工法
「葺き替え」とは、既存の屋根を撤去し、あらたにアスファルトシングルを張り直すリフォーム法のこと。屋根材や下地の劣化が激しい場合に行われます。
既存の屋根材や下地を解体・撤去したら、雨漏り防止シートを敷き、まずは下地の処理。その上からアスファルトシングルを敷いて完了です。
葺き替え工法は解体や撤去、廃材処理の費用などがかかるため価格は高額になります。しかし既存の屋根材を撤去するため、屋根カバー工法のように屋根自体の重量が重くなりすぎないこと、必要があれば屋根材の補修も同時にできることはメリットといえるでしょう。
- 表面の石粒が劣化したり剥がれたら塗装補修を行う
- 表面は劣化しても下地に問題がなければ「屋根カバー工法」がおすすめ。手間や費用を抑え、工事も短期間で済む
- 屋根材や下地も劣化していたら「葺き替え工法」が最適。既存の屋根を撤去するため、屋根の重量が重くなりすぎないのがメリット
屋根材のメンテナンス法についてさらに詳しく知りたい方には、こちらの記事もおすすめです。
屋根のメンテナンス法を解説!屋根材別の費用からDIYの塗装方法まで
屋根材「アスファルトシングル」の塗装費用
アスファルトシングルを塗装する時に溶剤系塗料を使用すると、アスファルトの成分が溶けてしまうリスクがあります。そのためフッ素・シリコン・ウレタンといった水性塗料で塗装をします。
この章では、それぞれの塗装の特徴や必要な施工価格、耐用年数についてまとめてみました。
フッ素塗料
フッ素塗料は耐久性に優れているのが特徴。
耐用年数は8〜15年、価格の相場は1㎡あたり3,600円程度です。
シリコン塗料
シリコン塗料は人気が高く、一般的な住宅によく使用されているようです。
耐用年数は6〜12年、1㎡あたりの価格は2,800円程度が相場です。
ウレタン塗料
ウレタン塗料は耐久性はやや劣りますが、安価なのがメリット。
耐用年数は最長で5〜7年、相場の目安は1㎡あたり2,500円程度です。
遮熱塗料
「遮熱塗料」とは遮熱性能が付与された塗料のこと。
耐用年数はウレタン、シリコン、フッ素などの原料に依存します。価格はフッ素系遮熱塗料で3,800円程度が相場です。
それぞれの塗料の耐用年数と価格相場の一覧表はこちら。
塗料の種類 | 耐用年数 | 価格相場(1㎡あたり) |
フッ素 | 8〜15年 | 3,600円 |
シリコン | 6〜12年 | 2,800円 |
ウレタン | 5〜7年 | 2,500円 |
遮熱塗料 | – | 3,800円(フッ素系遮熱塗料の場合) |
塗料の種類や特徴については、以下の記事でも詳しくご紹介します。ぜひ参考にしてください。
外壁塗装の「塗料」どう選ぶ?塗料の種類から特徴まで徹底比較します!
屋根材「アスファルトシングル」業者選びのポイント
屋根塗装や補修を行う時は、お住まいに最適でコストパフォーマンスの良い塗料や屋根材を選びたいもの。また、劣化状況によってメンテナンス法も違うため、屋根の状態を正しく把握し、工事を行ってくれる業者に依頼したいですね。
アスファルトシングルを屋根材に使用する際には、どのような点に注意して施工業者を選べばいいのでしょうか? いくつかのポイントをご紹介します。
屋根や塗装に詳しい業者に依頼する
アスファルトシングルは、他の屋根材と比較すると施工実績が少ない屋根材なので、施工できる業者自体が少ないのが現状です。
アスファルトシングルの施工に慣れていないと、適した塗料や工法を選べない場合も考えられます。そのような業者に依頼すると、補修や塗装が正しく行われないことも。状況に適した対処がされなければ劣化をもたらす原因となり、次回のメンテナンス時期が早まってしまう可能性もあるでしょう。
このようなことを避けるためにも、アスファルトシングルの塗装や補修の施工実績が豊富な業者を選ぶようにしたいものです。
複数の業者に相談する
アスファルトシングルの施工に限らず、工事の際には必ず「相見積もり」をするのがおすすめです。「相見積もり」とは、同じ工事の条件で複数の業者に見積もりを依頼すること。
異常に価格が高かったり、見積書の内容が曖昧だったり大雑把な記載の業者は悪徳業者である可能性が高いです。相見積もりをして複数の業者を比較することで、価格の目安や必要な工事内容がはっきりします。
また、相見積もりをしていくつかの業者に相談した時に、丁寧に分かりやすく説明してくれる業者は信頼できる業者である可能性が高いです。実際に契約をする前に、まずいくつかの業者で相見積もりを取るようにしましょう。
自社施工の会社に依頼する
業者の中には、依頼だけ受けて実際の工事は下請け会社に丸投げするケースも珍しくありません。下請け会社を使う場合、仲介料がかかるため工事の価格が無駄に増えてしまいます。
その点、自社施工の業者ならば仲介料を払う必要がないため、工事費用を抑えることができるでしょう。同じ工事を行うのならば、できるだけ自社施工の業者を選ぶようにしたいですね。
- アスファルトシングルを施工できる業者は少ないが、施工実績のある業者を選ぶのがベター。施工に慣れていないと、正しい塗料や工法を選べず、劣化を招く原因となることも
- 必ず相見積もりをして、複数の業者を比較する。さらに優良業者なら、素人の質問にも分かりやすく説明してくれる可能性も高い
- 自社施工の会社なら仲介料を払う必要がないため、工事費用を抑えられる
アスファルトシングルはメリットの多い屋根材
アスファルトシングルは軽量で扱いやすく、耐震性や防水性、耐久性などに優れた屋根材です。さらに、デザイン性が高く複雑な屋根形状にも施工しやすいため、マイホームの屋根を理想のデザインにしたいという方にもふさわしいといえるでしょう。
美観を保つには定期的な塗装や補修は欠かせませんが、アスファルトシングルは他の屋根材と比べて軽度の劣化ならばメンテナンスも楽なのも大きなメリットです。
日本では比較的新しい屋根材なので普及には時間がかかっているようですが、アスファルトシングルはメリットの多い屋根材なのです。特に、地震対策に軽い屋根にしたい方、他にはないデザインの屋根にしたい方は、次回の屋根リフォームの際にはぜひアスファルトシングルも検討してみてはいかがでしょうか?
屋根塗装の費用について気になる方は、以下の記事もぜひチェックしてみてください。
「屋根塗装の単価」費用・相場をくわしく解説!【屋根材別・坪別】
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