現在、日本の一般住宅で一番人気の窯業系サイディングですが、その人気の秘密はどういったところにあるのでしょうか?
窯業系サイディングの特徴やメリット・デメリット、施工方法や価格まで、窯業系サイディングの魅力を解説していきます!
- 窯業系サイディングとは?メリット・デメリット
- おしゃれな窯業系サイディングにはどんなものがある?
- 窯業系サイディングの施工方法や、施工期間、費用相場ってどれくらい?
- 窯業系サイディングと他のサイディングではどっちがいいの?
- 窯業系サイディングの劣化症状と補修方法とは?
目次
窯業系サイディングとは?
近年、消費者のニーズに合わせた商品がどんどん出てくるにつれて、サイディングの種類も増えてきました。その中でも安定した人気を誇る「窯業形サイディング」の特徴についてご紹介します。
そもそもサイディングとは?
「サイディング」とは板状外壁材の総称。サイディングを張りつける工法と区別するために「サイディングボード」と呼ばれることもあります。
サイディングボードは外壁の面積に合わせて切断し、1枚ずつ張り合わせて使用します。サイディング間のつなぎ目は、シーリングで埋めることで雨漏りや剥がれを防ぐことが可能です。
特に高い技術を必要としないため工事も簡単で、価格も安定しているのも魅力のひとつ。このような理由から、現在では多くの住宅メーカーで使用されている外壁材です。
サイディングは4種類
サイディングの種類は窯業系・樹脂系・木質系・金属系の4種類。それぞれのサイディングには特徴やメリット・デメリットがあり、また仕上がりも異なります。
この記事では、窯業系サイディングを中心に詳しく解説してきます。
その他のサイディング外壁にも興味がある方は、ぜひ以下の記事も参考にしてください。
サイディング外壁とは?種類やメリット&デメリットまで徹底解説!
窯業とは?
「窯業(ようぎょう)」という言葉を初めて目にする方もいらっしゃるのではないでしょうか?
窯業系サイディングはセメントに繊維質を混ぜて製造された外壁板です。原料となる非金属原料を高熱処理して製造する際に、窯(かま)を使用するため「窯業」と呼ばれています。
窯業系サイディングは約80パーセントがセメントでできているため、サイディングボード自体は防水機能を備えていません。そのため、工場で製造の過程で塗料を吹き付け、防水性をもたせています。
人気のある窯業系サイディング
窯業系サイディング材は人気の高い外壁材で、一般住宅の10軒に7〜8軒は、この窯業系サイディングが使われているといわれています。
窯業系サイディング材は色や模様のバリエーションが豊富なため、家の外観を自由にデザインしたい方に人気の外壁材です。レンガ調・木目調・アンティーク調・北欧調など、さまざまなデザインに仕上げることが可能。また、耐震性や耐火性に優れているのも選ばれる理由といえるでしょう。
- 「サイディング」とは板状外壁材のことで、外壁に張りつけて施工する
- 窯業系サイディングはデザイン性が高く、耐震性・耐火性など優れた機能を備えている
窯業系サイディングのメリット
窯業系サイディングはとても人気のある外壁材ですが、どのようなメリットがあるのでしょうか?
この章では、窯業系サイディングのメリットについて詳しく説明します。
デザイン性が高く種類も豊富!
窯業系サイディングのメリットのひとつは、何といってもデザインが豊富なことです。カラーバリエーションも多く、レンガ調・木目調・タイル調といった本物さながらの仕上がりが楽しめます。
理想の外観にこだわる方に特におすすめの外壁材です。
施工実績のある業者が多く安心!
窯業系サイディングは価格も安価で施工性が高く、軽量のため扱いやすい外壁材です。窯業系サイディングを使用した経験のある業者も多く、実績で業者を選ぶことができるでしょう。
数多くの業者の中から施工実績が豊富な優良業者を選ぶことができるため、安心して施工を任せられますね。
地震にも強い耐震性!
窯業系サイディングは軽量で、モルタルの重量と比べると半分以下です。そのため建物への負担が少なく、地震の揺れにも強い仕上がりが期待できるでしょう。
さらに、サイディングボードをステンレス金具で固定すれば、地震の揺れによる負担を軽減してくれます。地震の際の不安を少しでも減らしたい方には、窯業系サイディングはおすすめです。
防火性と耐火性!
窯業系サイディングは、別名「防火外壁材」と呼ばれているほど防火性・耐火性の高い外壁材です。建築基準法で定められた防火性能試験をパスし、不燃材料として認められています。
一般的な窯業系サイディングは約45〜60分程度、熱や火を遮ることができるため、近隣の家が火事になった場合でも被害を抑えることができるでしょう。
通気工法で住宅も長持ち!
通気工法とは、外壁の上下に空気が通る道筋を作り、壁の中を常に乾燥させる工法のことです。
室内で生じた湿気を壁の外へ出すことで結露を防いだり、外壁から入り込む雨水を壁の内部に入り込ませることなく屋外に排出させることができます。
室温を一定に保つこともできるので、省エネにも役立つでしょう。
- デザイン性が高く、施工実績のある業者も多い
- 耐震性、耐火性に優れている
- 通気工法が可能である
窯業系サイディングのデメリット
窯業系サイディングのメリットをご紹介しましたが、デメリットもいくつかあります。
この章では、デメリットについて見てみましょう。
シーリングのメンテナンスがやや面倒
窯業系サイディングの一般的な耐久年数は5~7年が目安。中でも特に劣化しやすく、ひびや破損が目立つのはシーリング部分です。
サイディングボードのつなぎ目に施したシーリングが剥がれると、その部分から雨水が浸入して雨もりの原因となります。そうなる前に、こまめなメンテナンスが必要です。
サイディングボードのメンテナンス
シーリングだけでなく、サイディングボード自体も劣化します。サイディングボードが反ってきたり塗膜が剥がれたら劣化のサイン。長く放置すると悪化してひび割れなどを起こすので、劣化サインを見つけたら早めの対処が必要です。
外壁材を触ったときにチョークのような白い粉がつくようになったら、検討のタイミングであると認識しましょう。
蓄熱しやすい
窯業系サイディングは表面に熱を蓄えやすい性質をもっており、地域や外壁の色などにもよりますが、外壁表面温度が60度を超える場合もあります。
外壁表面の温度が上がると内部にも熱が伝わるので、室温の上昇につながります。外壁自体は対候性に優れているとはいえ、外壁表面の塗膜に異常や不具合が生じるが可能性があるでしょう。
素材に防水機能がない
窯業系のサイディングボードには防水機能がありません。そのため、防水性の高い塗料で塗装することで補っています。
表面の塗料が劣化して剥がれると、サイディングボードも雨や水の影響を直接的に受けることになるので注意が必要です。
- サイディングボード自体だけでなく、シーリングのメンテナンスも必要
- 窯業系サイディングは蓄熱しやすい性質がある
- サイディングボード自体に防水機能はないため、防水性の高い塗料で塗装が必要
おしゃれな窯業系サイディングを紹介!
窯業系サイディングはデザインの自由度が高く、おしゃれなものがたくさんあります。色や形の種類が豊富なだけに組み合わせは迷うところですね。
この章では、窯業系サイディングを使用したおしゃれな住宅をいくつかご紹介していきます。
ケイミュー株式会社「次世代外装パネル レジェール」
ケイミューの「Legerair(レジェール)シリーズ」は、彫りが深く存在感のある窯業系サイディング。シンプルながら重厚感を出したり、住宅に風格を持たせるのにおすすめです。
ニチハ株式会社「フュージェ プレミアム」
ニチハの窯業系サイディング「プレミアムシリーズ」は、2018年「ウッドデザイン賞」も受賞しています。塗膜の変色・褐色に30年の保証があるのも嬉しいですね。
旭トステム外装株式会社「ガーディナル・スマート」
旭トステムの木目柄「ウッドライン16PZ」は従来の木目柄とは一味違い、あえて削れや刃の跡を付けてナチュラルでスタイリッシュなデザインに仕上がっています。
窯業系サイディングの施工方法・施工期間
窯業系サイディングには、釘留め工法と金具留め工法の2種類があります。
ここではそれぞれの特徴と、使われる条件をまとめてみました。
施工方法①釘留め工法
釘留め工法は専用の釘を使い、下地にボードを直接留め付ける工法のことです。この工法が使われる条件としては、厚さ14mm以下の薄さのボードである必要があります。
施工が簡単であることと、金具留め工法よりも費用が安いことがメリットです。
逆にデメリットは釘の耐久性が低く、錆びるとシミになったり凍害などの影響でひび割れの原因になることもあります。
施工方法②金具留め工法
金具留め工法はステンレスの金具を下地にビスで固定し、その金具に外壁材を引っ掛けるようにして張っていきます。この工法の条件は、厚さ15mm以上のボードであることです。
この工法の最大のメリットは、窯業系サイディングの耐震性をさらに高める事ができることです。
地震の揺れに合わせて外壁が伸縮するので、外壁にかかる負担を軽減することができます。釘留め工法よりやや高価になりますが、結果的に外壁を長持ちさせることができるでしょう。
施工期間
窯業系サイディングの施工期間は、釘止め工法・金具止め工法ともに2週間前後です。
ただし家の大きさや天気の都合で、施工期間が大きく変わることもあります。
- 「釘留め工法」は厚さ14mm以下の薄さのボードで使われ、安価だが釘の耐久性が低い
- 「金具留め工法」は厚さ15mm以上で使用され、やや高価だが耐震性をさらに高めることができる
- 施工期間はどちらも2週間程度
窯業系サイディングの価格・費用相場
窯業系サイディングは、他のサイディングと比べて価格が安いのが特徴です。
ここでは窯業系サイディングボードの価格と、窯業系サイディングへリフォームする場合の費用相場をご紹介します。
窯業系サイディングボードの価格
窯業系のサイディングボードは主に、意匠面と機能面で価格に差が出ます。新しいものは意匠性も高く、高機能になるので価格も高くなる傾向があるようです。
価格(1㎡) | カラー | デザイン | 機能 |
2,500円~ | 〇 | △ | △ |
4,000円~ | 〇 | 〇 | 〇 |
7,000円~ | 〇 | ◎ | ◎ |
メーカーによっては、サイディングの弱点となるつなぎ目をシーリングレスで施工できるものもあり、予算と相談しながら選ぶと良いでしょう。
窯業系サイディングへのリフォーム費用
既存の外壁材からサイディングにリフォームするには、「重ね張り(カバー)工法」「張り替え工法」の種類があります。窯業系サイディングへのリフォームは、張り替え工法が一般的です。
以下の表に、リフォームにかかる費用をまとめました。
費用の詳細 | 1㎡単価 |
足場代 | 600~1,000円 |
施工費 | 2,500~5,000円 |
材料費 | 2,500~10,000円 |
シーリング | 600~1,500円 |
諸経費 | 600~1,500円 |
張り替え工法は既存の外壁材を撤去してから、サイディング材を張りつけます。そのため上記の費用以外に解体費・ゴミ処理代が必要です。一般住宅の場合、解体費は15〜25万円程度、ゴミ処理代は他の工程で出るゴミと合わせて5〜15万円程度になります。
窯業系サイディングに張り替える場合は、一般的な家庭(30坪相当)で150〜300万円が相場です。
- 他のサイディングと比較して、窯業系サイディングは安価
- サイディングボードは、デザイン・機能で価格が大きく変わる
- 窯業系サイディングのリフォームは、張り替え工法が一般的
サイディング外壁の費用についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事も参考にしてください。
外壁サイディングの価格を徹底比較!費用を抑えるポイントとは?
窯業系サイディングとその他のサイディングを比較!
窯業系サイディングとその他のサイディングには、どのような違いがあるのでしょうか?
メリット・デメリットを中心に、他サイディング材との比較をまとめてみました。
窯業系サイディングvs金属系サイディング
金属系サイディングと比較して、窯業系サイディングはデザイン性・耐火性・コスト面において優れた外壁材です。しかしながら耐久性・耐震性・耐凍結性の機能・耐用年数においては金属系サイディングに劣ります。
金属系サイディングは軽量なため、重ね張り(カバー工法)ができるのもメリットです。
窯業系サイディングvs木質系サイディング
デザイン性・耐久性・耐火性・コスト面なら窯業系サイディングが優秀です。耐震性は軽量である分、木質系が優れているといえるでしょう。
木質系は火や水に弱い反面、木の持つ自然の温かみを感じることができるのもメリットです。
窯業系サイディングvs樹脂系サイディング
デザイン性・耐火性・コスト面は、窯業系サイディングが優れていますが、耐久性・耐火性・耐凍結性・耐用年数においては、樹脂系サイディングに劣る傾向があります。
樹脂系サイディングは日本では余り普及していませんが、耐候性の高いことから海外では人気があるサイディングです。
- デザイン性・耐火性・コスト面を重視するなら、窯業系サイディングがおすすめ
- 耐震性・耐凍結性・耐用年数を重視するのであれば、他の外壁材も検討してみましょう
窯業系サイディングの劣化症状と補修方法
窯業系サイディングにはいくつかの補修方法がありますが、劣化症状によって補修方法が違います。
ここでは補修方法別に、劣化のサインや劣化症状をまとめました。
補修方法①サイディングの塗り替え
「チョーキング」という現象が見られたら、サイディングの塗り替えのサインです。この現象は手で壁をこすると手が白くなる現象で、塗膜が劣化している状態です。
また、色あせ・表面塗膜の剥がれや膨張・カビや藻・ひび割れが生じた場合も塗り替えを検討しましょう。
補修方法②サイディングの張り替え・重ね張り
サイディングボードの一部が滑落したり、サイディングボード自体に反りが現れた場合、さらに穴や大きな亀裂などが見られたら、サイディングボード自体の補修が必要です。
補修方法には「張り替え工法」「重ね張り工法」の2種類があります。
張り替え工法とは、既存の外壁材を撤去して新しい外壁材を張り替えることをいいます。現在の外壁材を完全に取り除くため、建物内部の雨漏りや下地の劣化状況などをチェックしたり、交換することが可能です。
外壁の素材や重量を考慮することなく、あらゆるタイプの外壁材に取り替えることができるのもメリットです。
重ね張り工法は、既存の外壁材の上から新しい外壁材を重ね張りすることで、「カバー工法」と呼ばれることもあります。既存の外壁は残したままなので、撤去に必要な時間や費用がかかりません。
外壁を2重にすると、建物自体に負担をかけることになりますので、新しく張る外壁は軽い外壁材である必要があります。新しい外壁材には、軽量な金属系サイディングが使われることが多いですが、窯業系サイディングが用いられることもあるようです。
補修方法③シーリングの打ち増し・打ち直し
忘れてはいけないのがシーリングの補修です。シーリング材にへこみやひび割れや切れ目、破断が見られる場合は、その隙間から雨水が住宅に浸入する恐れがあります。
この状態になると、シーリングの打ち増しや打ち直しが必要です。
- 「チョーキング」が見られたら、サイディングの塗り替えのタイミング
- サイディングボード自体に劣化が現れたら、張り替え・重ね張りでの補修が必要
- シーリング材の状態もこまめなチェックが必須
メンテナンスも考慮して、自分好みの窯業系サイディングを選びましょう!
窯業系サイディングの特徴や、メンテナンスのポイントについて解説してきました。こまめなメンテナンスは必要ですが、窯業系サイディングのデザイン性の豊富さや機能性の高さは大きな魅力ですね。
窯業系サイディングにもさまざまな種類がありますので、この機会にぜひお好みのサイディング材をチェックしてみてください。
サイディング外壁のメンテナンスについて気になる方は、以下の記事もぜひチェックしてみてください。
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