棟板金とは、スレート屋根や金属屋根の最上部に位置する金属板で、読み方は「むねばんきん」です。棟板金には、屋根材を固定する役割を持ち、地震や暴風から屋根材を守る、雨漏りを防げるなど、様々なメリットがあります。
そのため棟板金の劣化や損傷を放置すると、屋根材が飛散したり、風にあおられ騒音を発生させるケースもあります。また、雨漏りから住宅を守ることもできません。
そこでこの記事では、棟板金の補修方法をはじめ、修理・交換費用の相場について紹介しています。メンテナンス・交換時期についても解説しているので、棟板金について知りたい方は参考にしてください。
- 棟板金とはどういうものなの?
- 棟板金の釘が抜ける原因とは?
- 釘の抜け棟板金を放置するとどのようなトラブルが起こる?
- 棟板金の補修の目安や費用は?
当サイトでは、外壁・屋根塗装の見積もりシミュレーションを無料で行っています。初めて外壁塗装を検討している方は、まず下記ボタンより、最新料金相場を確認しましょう。
目次
棟板金(むねばんきん)とは
棟板金とは、コロニアルやカラーベストなどのスレート系の屋根や金属屋根の頂点に位置する金属板のことです。一昔前までは屋根の頂点部分にトタンを使用するのが一般的であり、すぐに錆が発生してしまうというデメリットがありました。
近年では錆びやすいトタンの代わりに、より耐久性の優れた棟板金を使用するようになってきています。ですが、後述するように棟板金は経年劣化によって釘が抜けてしまうといった欠点も併せもっています。
棟板金の役割
棟板金は各屋根材が合わさる部分を接合すると同時に、経年劣化や暴風・地震などによって落下しないように屋根材をしっかりと固定する役割を担っているのです。
また、屋根材の接合部はそのままだと、どうしても隙間が生じます。上から覆うようにして棟板金で固定することによって隙間を塞ぐことで、棟板金は接合部の雨漏り防止の役割も果たしています。
- 棟板金:スレート系や金属屋根のてっぺんにある金属板のこと
- 役割1:屋根材を固定して落下を防ぐ
- 役割2:雨水が侵入しやすい屋根材の接合部をカバーして雨漏りを防ぐ
\料金相場を30秒でチェック/
棟板金が破損した際のリスク
棟板金が飛散する可能性がある
棟板金が破損した際は、少し強い風が吹いただけでも棟板金が吹き飛ばされてしまい、人に当たってしまう危険性があります。
重大な事故に発展する可能性があり、多額の賠償金を支払わなければいけないケースもあります。棟板金の破損や劣化症状を放置するのは大変危険です。
棟板金が破損して雨漏りが起こる
板金には屋根材の接合部をカバーし、雨水が浸入しないように防ぐ役割があります。そのため棟板金が割れるだけでも雨水が屋根の内部に浸入して、雨漏りの原因になります。
雨漏りは日常生活を不便なものにするだけでなく、屋根裏や壁紙、家財などにカビが発生する原因となるため、放置しておくと健康被害が出てしまうことも…。
- 危険性1:剥がれ落ちた棟板金が人に当たって重大事故になりかねない
- 危険性2:棟板金が割れて雨漏りの原因となる
- トラブルを防ぐためには棟板金の適切な補修が必須!
\料金相場を30秒でチェック/
棟板金の補修とメンテナンス方法
釘の打ち直しによる補修
釘の打ち直しによる補修は、経年により棟板金に浮きや抜けが生じている際に行います。棟板金の浮きや抜けは、7~10年の頻度で発生する可能性があり、風が強い地域では5~7年ほどで発生します。
釘の打ち直しは、屋根上での作業が必須で大変危険な作業なので、業者に依頼しましょう。
屋根塗装による補修
塗装のメンテナンスにおいては、屋根全体を塗装するのが一般的です。
工程としては、まずは古くなった既存の塗装を取り除いたり、ひび割れなどをシーリング補修するなどの下地調整が欠かせません。その上で下塗り・中塗り・上塗りの計3回塗装をおこないます。
下塗りには上に重ねる塗料の密着性を高める接着剤的な役割があり、また中塗り・上塗りを2回おこなうことで塗膜に厚みを出し、耐久性を高めることができるのです。
脳天打ちは雨漏りの原因に
釘を真上から打ち込む「脳天打ち」は隙間が生じるため、雨水が入り込んでしまう原因になることに注意が必要。こうしたトラブルを防ぐため、釘は側面から打つのが一般的です。
棟板金の隙間にあるシーリングの補修は定期的に
シーリングは板金よりも耐用年数が短いため、7年前後で交換が必要です。こうしたメンテナンスを怠ると隙間が生じ、雨漏りを引き起こしてしまうでしょう。
すべての隙間をシーリングで埋めてはいけない
「隙間があると雨漏りの原因になるから、すべてを埋める必要がある」というイメージをお持ちの方も多いことでしょう。
実は、これは正しくはありません。屋根材と棟板金の隙間には、塞いでしまうとかえって雨漏りする部位があるのです。
正しい知識がなければ、どの隙間を塞いではいけないのかを把握しないまま誤った補修をしてしまうことに…。
- 注意点1:釘の脳天打ちは禁物
- 注意点2:棟板金だけでなくシーリングも定期的に補修・交換をする
- 注意点3:シーリングで塞いではいけない隙間もある
\料金相場を30秒でチェック/
棟板金の修理・交換費用の相場
貫板の交換
棟板金を固定する板のことを「貫板」と呼びます。貫板も経年劣化するためメンテナンスとして新しいものへの交換が必要です。
なお、木製だと雨水が浸み込んで腐食を起こしやすいため、より耐久性の高い樹脂製の貫板に交換するのがおすすめ。
貫板の交換費用の目安は、1メートルあたり6,000〜10,000円ほど。既存の貫板を解体した後、新しいものを取り付けます。
棟板金の交換
釘の打ち増しなどでメンテナンスを済ませることが可能なケースもありますが、棟板金が破損したり腐食を起こしている場合は、新しいものに交換する必要があります。
気になる費用は、1メートルあたり7,000〜12,000円前後。既存の棟板金を撤去し、下地の補修などをおこなってから新しい棟板金を取り付けます。
棟板金の補修には火災保険が適用される場合も
ここまでご紹介したように、棟板金の補修工事は決して安価ではありません。できるならば少しでも費用を抑えたいところですが、火災保険で全額補修工事を賄えるケースもあるのです。
火災保険の適用条件は、台風や強風など自然災害によってダメージを受けているということ。経年劣化や人為的な破損は火災保険の適用外です。
また、以下のケースに該当すると、台風などの被害を受けていたとしても保険金を受け取ることができないことがあるので要注意。
- 被害発生後、3年以内に申請をしていない
- 被害額が20万円以下である
火災保険を利用するためには、まずは専門業者に被害状況をチェックしてもらい、見積書を作成してもらいましょう。
そして保険会社に連絡し、指示された必要書類を提出すると調査員が派遣されて被害状況の調査がおこなわれます。
保険金額が確定すれば、口座に直接振り込まれることに。申請した金額よりも減額されたり、保険金そのものが下りない場合もあるため、業者と契約をするのは受け取る金額が確定してからにしましょう。
なお、火災保険を利用した修理実績がある業者に相談するのがおすすめ。実績が豊富であれば申請手続きも工事もスムーズにいきますし、書類の作成などでアドバイスももらえるでしょう。
- 塗装:40~70万円
- 貫板の交換:1メートルあたり7,000〜12,000円
- 棟板金の交換:1メートルあたり7,000〜12,000円前後
- 自然災害による破損ならば火災保険が利用できる
\料金相場を30秒でチェック/
棟板金を交換する際のポイント
棟板金の劣化や破損がひどい場合には、補修ではなく新しいものに取り換える必要があります。
ここでは、棟板金の寿命を延ばすための交換時のポイントについてチェックしておきましょう。
耐久性の高い素材を選ぶ
棟板金と一口に言っても、その素材の種類によって耐久性は大きく変わってきます。ガルバリウム鋼板のように軽くて耐久性が高い素材に交換するとよいでしょう。
特に、内部の貫板部分を木製から樹脂製に変えると雨水による腐食のリスクが軽減され、耐用年数が長くなるのでおすすめです。
棟換気の取り付けも検討する
屋根裏に湿気がたまると、棟板金の寿命も短くなってしまやすいもの。屋根裏の結露を防ぐ棟換気を設置すれば、効果的な湿気対策になるでしょう。
外壁塗装などとまとめて行う
棟板金の工事のみだと足場設置費用などで割高になるため、他の補修工事もまとめて実施するとお得です。
たとえば外壁塗装などを追加で検討してみてはいかがでしょうか。
- ガルバリウム鋼板のような耐久性のある素材に交換する
- 腐りやすい木製の貫板は樹脂製に交換する
- 足場設置代が高いので他の工事も一緒にしたほうがベター
\料金相場を30秒でチェック/
メンテナンスや交換時期は?
釘の打ち直しや塗装は7〜10年程度
一昔に使われていた錆びやすい鉄釘だけでなく、最近の高性能な釘であっても経年劣化は免れません。
釘の打ち直しや塗装のメンテナンスは、遅くとも7~10年に一度を目安におこないたいものです。
メンテナンスを怠って釘の劣化症状を放置すると、雨漏りが生じたり屋根下地の劣化につながるので要注意。また、塗装は塗料によって耐用年数が変わります。
一般的には安価な塗料であればあるほど耐用年数が短い傾向にあるため、施工費用が安かったとしても結局はメンテナンスの頻度や費用が増えてしまう可能性もあることを知っておきましょう。
棟板金の交換は10~15年
棟板金の劣化が激しい場合は、10年前後を目安に新しいものと交換することが推奨されています。
棟板金本体がひどく損傷している場合は、釘の打ち直しや塗装などのメンテナンスをしても根本的な解決にはならず、雨漏りや屋根材の剥離・落下などのリスクが高まるからです。
定期的に点検を依頼するのがおすすめ
施工業者の技術力や「直射日光が当たりやすい」「強い風が吹きやすい」などの立地条件などによって、棟板金の耐用年数は変わってきます。
長ければ10年ほどはもつと言われていますが、短かければその半分で寿命を迎えてしまうことも…。
雨漏りなどのトラブルを予防するために、5年に1度は棟板金をはじめとする屋根の点検することをおすすめします。また、強い台風がきた場合も点検をしたほうがよいでしょう。
棟板金は屋根にあるため目視で状態を確認できないため、気づかないだけで釘が抜け落ちたり棟板金が破損してしまっている可能性もあるからです。
なお、点検は高所での作業となり、正しい知識と一定の経験が不可欠ですので、必ず専門業者に依頼しましょう。
ご自身で点検しようとしても劣化サインを見落としてしまうことが多く、何よりも転落事故など安全面でのリスクが高いので避ける必要があります。
- 打ち直し:少なくとも7~10年に1度
- 棟板金の交換:10~15年に1度
- 点検:5年に1度
- 目立ったトラブルがなくとも定期的に点検をしよう
\料金相場を30秒でチェック/
棟板金の破損の主な原因
気温差による金属の伸縮
棟板金は屋根の頂点に取り付けられているため、常に直射日光にさらされることになります。固定のために用いられる釘は熱の影響を受けやすく、とりわけ猛暑時には熱膨張を起こして抜けはじめ、隙間ができてしまうのです。
反対に、気温の低い夜間や秋冬には釘が収縮します。気温差が激しい地域にお住いの場合は釘の伸縮が起こりやすく、それが原因で釘が抜けやすくなってしまいます。
立地条件やお住まいの地域によって若干の差はありますが、熱膨張による棟板金の釘の劣化は10年前後で起こります。
錆
ステンレス製の釘ではなく、鉄製の釘で棟板金を固定しているケースも珍しくありません。
鉄釘は錆びやすく、ひとたび錆が発生してしまえば釘そのものの耐久性と固定力が弱まってしまうため、抜け落ちやすくなります。
こうした理由から最近では鉄釘の使用が避けられるようになってきていますが、古くに建てられた住宅では鉄釘が使用されていることも多いです。
風によって板金が揺れる
棟板金は住宅の中で最も高さのある場所に設置されているため、どうしても風のダメージを受けやすいもの。
恒常的に風によって板金が揺らされると、徐々に釘が抜けはじめてしまうのです。
特に海風が直接当たる沿岸部や、周辺に風を遮るものがほとんどない場所にお住まいの場合は、風圧の影響で釘が抜けやすくなると言われています。
屋根の下地材が劣化
下地材が雨水などの影響を受けて腐食すると、釘を固定する力が失われてしまいます。
とりわけ木材は腐食のリスクが高く、また多くの屋根で木製の下地材が使われていることから、その劣化によって釘が抜け落ちてしまうケースも多いのです。
この場合、釘の打ち直しなどをおこなっても根本的な解決にはなりません。劣化した下地材を補修したり、新しいものに交換しなければ再び同じような症状が出てしまいます。
- 原因1:「熱膨張」など、気温差によって生じる釘の伸縮
- 原因2:錆によって釘の固定力が弱まる
- 原因3:風で板金が揺れることで釘が徐々に抜け落ちる
- 原因4:下地材(特に木製)の腐食などの劣化
適切な時期に棟板金のメンテナンスをしよう
今回は棟板金について特集してきましたが、いかがでしたでしょうか。
棟板金には屋根材を固定すると同時に、雨水の浸入を防ぐといった役割がありますが、7~10年ほどで劣化サインがではじめるため、適切な補修工事が必須。
メンテナンスを怠ると雨漏りや屋根材の飛散・落下事故が起きてしまいかねないので、実績豊富な専門業者に依頼して、できれば5年ごとに点検してもらいましょう。
補修工事の際には、棟板金や貫板をより耐久性の高い素材に交換するのもおすすめ。また場合によっては火災保険で補修工事費用を賄える場合もあるので、施行前に確認してみてください。
\料金相場を30秒でチェック/