アスベストは身体に害を及ぼす建材です。現在では建物への使用が禁止されていますが、古い建物にはアスベストが残っているケースもあります。
今回は古い住宅に潜んでいるアスベストの見分け方や、アスベストに関する情報や法規制などの情報についてお伝えしていきます。アスベストについて興味がある方は、ぜひご一読ください。
- アスベストとは?
- 住宅に使用されているアスベストと除去方法
- 業者に除去を依頼するときのポイント
- アスベストを除去するタイミングと自治体の補助
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目次
そもそもアスベストとは?
アスベストとはどのような建材なのでしょうか。
ここでは、アスベストの概要や主にどんな用途で使われていたのかなどについてお伝えしていきます。
素材について
アスベストとは、繊維状のけい酸塩鉱石のことを指します。なお、けい酸塩鉱石とは、二酸化ケイ素と金属酸化物の塩より成る鉱物の総称です。
なぜ使われていたのか?
アスベストは身体に害があるとして、現在では建材としての使用を禁止されています。
とは言え、使用が禁止される前は安価であり、耐熱性や絶縁性、耐薬品性、耐腐食性、耐摩耗性など優れた性質を持つ建材として多くの建物の断熱材などに使用されてきました。
どこに使われていたのか?
アスベストは、主に屋根や壁、天井などのほか、壁の断熱材としても使われていました。
どのように使われていたのか?
鉄骨の耐火性を高めるための吹き付け材のほか、屋根材や壁材の含有材としても使用されていました。
アスベストの危険性
アスベストの主な健康被害は中皮腫です。2017年には、中皮腫で死亡された方は1,555名と1995年の3倍以上になっています。
アスベストに関する法規の変遷
アスベストは古くから使われてきた建材です。健康被害の指摘を受けてから、法律の規制が進むまで様々な変遷を経ています。
1960年(昭和35年) | じん肺法制定。国内におけるアスベストの法規制の開始 |
1971年(昭和46年) | 特定化学物質等障害予防規則の制定(製造工場が対象、局所排気装置の設置、測定の義務付け) |
1975年(昭和50年) | 特化則の改正(石綿5%超対象、取扱い作業も対象、石綿等の吹付け作業の原則禁止、特定化学物質等作業主任者の選任、作業の記録、特殊検診の実施、掲示等) |
1986年(昭和61年) | 作業環境評価基準告示(法規に規定されている各種物質の管理濃度を規定(石綿も対象:2本/立方センチメートル) |
1989年(平成元年) | 「大気汚染防止法(大防法)・同施行令・同施行規則」の改正(石綿を特定粉じんとし、特定粉じん発生施設の届出、石綿製品製造/加工工場の敷地境界基準を10本/リットルと規定) |
1995年(平成7年) | 労働安全衛生法施行令の改正(アモサイト、青石綿の製造等禁止。吹付け石綿除去作業の事前届出。石綿1%超まで対象が拡大、吹付け石綿除去場所の隔離、呼吸用保護具、保護衣の使用) |
1996年(平成8年) | 労働安全衛生法施行令の改正(特定建築材料(吹付け石綿)を使用する一定要件をみたす建築物の解体・改造・補修する作業が「特定粉じん排出等作業」となり、事前届出、作業基準の遵守義務を規定) |
2004年(平成16年) | 「労働安全衛生法施行令」の改正(石綿含有建材、摩擦材、接着剤等10品目が製造等禁止) |
2004年(平成16年) | 作業環境評価基準改正(石綿の管理濃度を改正) |
2006年(平成18年) | 「労働安全衛生法施行令」の改正(石綿0.1重量%超の製品の全面禁止。一部猶予措置あり) |
2012年(平成24年) | 「労働安全衛生法施行令等の一部を改正する政令」(石綿0.1重量%超の製品の禁止の猶予措置を撤廃) |
- アスベストとは、繊維状のけい酸塩鉱石のこと
- 安価であり、耐熱性や絶縁性、耐薬品性、耐腐食性、耐摩耗性など優れた性質を持つ建材だから禁止前はよく使われていた
- 主に屋根や壁、天井などのほか、壁の断熱材として使われていた
- アスベストの主な健康被害は中皮腫
- アスベストの法規制は1960年代から始まり直近では2014年に行われている
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一般住宅でもアスベストは使用されている?
アスベストは一般住宅でも使用されていました。
ここでは、一般住宅に使用されているアスベストの例をご紹介していきます。
スレート屋根材で使用
アスベストが法律で規制されるまでは、スレートと呼ばれる板状の屋根材に含まれていました。アスベストが含まれているスレートを使用すると、工事する際にアスベストが飛散する恐れがあり注意が必要です。
サイディング外壁で使用
サイディングと呼ばれる板状の外壁材にもアスベストが含まれていた商品があります。こちらも工事の際にアスベストが飛散する恐れがあり要注意です。
石膏ボードで使用
内装に使われている石膏ボードにも、アスベストが含まれていました。しかし、石膏に含まれるアスベストは工事や破損以外で飛散する可能性は低いので、生活を送る上では大きな問題はないと考えられています。
- スレート屋根やサイディング、石膏ボードなどに使用されていた
住宅にアスベストが使われているか見分ける方法
住宅にアスベストが使われているかどうかを確認したいときにはどうしたら良いのでしょうか。
ここでは、住宅にアスベストが使われているかどうか確認する方法をご紹介していきます。
建材の商品名で検索
住宅に使われている建材の商品名が分かっている場合は、「https://www.asbestos-database.jp/」やメーカーサイトで検索すればアスベストが含まれているかどうかがわかります。
築年数で調べる
2006年以前の住宅の場合、外壁や屋根にアスベストが含まれているおそれがあります。特に2004年以前だと屋根材といった部位にアスベストが含まれる可能性が高まるので注意が必要です。
専門業者に調査を依頼する
アスベストが含まれているかを判断するには、専門業者に調査を依頼するのが一番確実です。建材に関する知識や、商品名がわからないときなどは、業者に依頼して調べてもらうと良いでしょう。
- 建材の商品名からアスベストの含有の有無を調べられる
- 築年数が2004年以前のものだと含まれる可能性がある
- アスベストの飛散を防ぐため解体するときは専門業者に調査を依頼する
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住宅のアスベストを除去する工事方法
住宅にアスベストが含まれていると分かった場合は、どのように対処するのが良いでしょうか。
ここでは、住宅のアスベストを除去する工事方法についてお伝えしていきます。
除去
除去は、原因となる建材を撤去する方法で完全にアスベストを除去できます。ただし、アスベストを含む建材を撤去する際にアスベストが飛散する危険性が注意が必要です。
また費用が高くかつため工事期間が長くなります。
囲い込み
原因となる建材を他の素材で覆い隠して封じ込める方法です。屋根や外壁のカバー工法がこれに当たります。
アスベストが飛散する危険はほとんどなく、除去よりも費用が安く工期も短くで済むのがメリットです。
封じ込め
原因となる建材に薬剤の塗布作業をおこなって固着させ、固定化する方法です。アスベストが飛散するおそれは少なく、工事費が囲い込みよりも安く済みます。
また、工期も他2つに比べると短くできます。
- 完全に除去する除去方法はしっかりアスベストを取り除ける
- 一方でアスベストが飛び散る可能性もゼロではなく、近所迷惑になることも
- また除去工法は事前に準備期間がかかり、工事費用が高くなりやすい
- カバー工法でアスベストの飛散を避ける方法もある
- 塗料を塗ってアスベストを飛ばないようにする工法も
アスベストの除去を依頼する業者について
アスベスト除去作業は、飛散するおそれがあるため専門業者に依頼が必須です。専門性がない業者に依頼すると飛散するおそれがあり健康を損ねる危険があります。
アスベスト除去業者に依頼するときは、以下の点に注意して依頼する業者を選ぶようにしましょう。
- 石綿作業主任者技能講習を修了した「石綿作業主任者」がいる
- 労働者全員に石綿特別教育を実施している
- 特別管理産業廃棄物管理責任者を設置している
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アスベストを除去するタイミング
アスベストは、主に内部の建材として建物に使用されています。そのため、タイミングとしては建物の解体や改修するときが望ましいでしょう。
また、外壁や屋根の塗装、張り替えなどのときや、リノベーションするときもおすすめです。
- アスベストは建物を解体、改修するときに除去する
- 外壁や屋根の塗装、張り替えやリノベーションのタイミングにも除去できる
アスベスト除去の補助金制度について
アスベスト除去に適用できる補助金制度は、自治体ごとに存在します。しかし、補助金が出ない自治体もあるので工事をする際は、住宅のある自治体に確認をしておくと良いでしょう。
補助金制度では、アスベストが施工されている建築物の除去や囲い込み、封じ込めの際に、アスベストに関する部分の工事費用を支給されるケースが多いです。
また、補助される費用は、支給額は該当工事費の3分の2以下といったように、全額ではない場合がほとんどです。
- アスベスト除去に関する補助金は自治体ごとに提供される
- 自治体によっては補助金制度がないところもある
- 金額がどの程度支給されるかは自治体次第だが大抵全額ではない
古い建物にはアスベストが使用されていることもある
アスベストが身体への悪影響があることが明らかとなっているため、現在は法律で建材としての使用が禁止されています。
しかし、法律で使用が禁止される前は有用な建材として多くの建物でアスベストが使用されていました。アスベストが含まれている建物の工事を行う場合は、アスベストが周辺に飛散しないように専用の業者に依頼して工事を行う必要があります。
アスベストが含まれるかどうかわからないときは、業者に依頼して調査してもらいましょう。また工事費用が自治体から支給されることもあるので、工事を行う住宅のある自治体に確認してみてください。
古い建物の工事を行う場合は、建物にアスベストが含まれていないかを確認することが大切です。
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