家づくりの際に欠かせない材料の一つが破風板(はふいた)です。そして、ある意味で屋根本体よりも注目を浴びるのが、破風板ともいえるでしょう。屋根の側面にあるため、地上からも見えやすいからです。
破風板が家づくりに欠かせないのは、見た目の良さだけではありません。破風板には暮らしの安全を守る様々な機能があります。今回はそんな破風板について、基礎の基礎から解説いたしましょう。
気になる修理のポイントについても紹介しますので、修繕を考えている方はぜひお読みください。破風板のメンテナンス方法などもご紹介していますので、修理はまだ早いとお考えのあなたも必見です。
- 「破風板」ってなんだろう?
- 破風板の役割と種類とは?
- 破風板の劣化のサイン
- 破風板の修理ってどうやるの?
- 破風板に欠かせないメンテナンス
- 【メーカー別】おすすめ破風板
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目次
そもそも「破風板」って何?
みなさんは「破風板」という言葉を聞いたことがありますか? では「破風」はどうでしょう?
どちらも聞いたことがない方、聞いたことはあるけど意味が分からないという方のために、解説します。
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「破風板」とは
破風板とは、屋根の側面に取り付けられている板のことです。屋根の妻側の側面を「破風(はふ)」と呼ぶことから、名づけられました。
よく混同されるのがケラバという言葉ですが、ケラバは材木の名ではなく破風板などがついている場所のことを指します。
もう一つ間違えられやすいのが「鼻隠し(はなかくし)」ですが、破風板との差は雨どいの有無です。鼻隠しには雨どいがついていますが、破風板にはついていません。
破風板の主な役割とは?
破風板について分かったところで、その役割について目を向けてみましょう。施工されている面積は小さいですが、予想以上に大きな役割を果たしています。
強風対策
一つ目の役割は強風への対策です。屋根は上方向から吹く風については強いといわれていますが、横や下から吹き付ける強い風には弱いです。そこで強風の際に屋根が吹き飛ばされないために、ケラバに破風が取り付けられています。
雨漏り対策
二つ目は雨への対策です。破風板は外壁に当たる雨水を減らして、屋根内部への水の侵入を防ぎます。
もし屋根に水が侵入してしまうと、雨漏りの原因となります。つまり雨漏りしにくくする目的でも、破風板は取り付けられているのです。
防火対策
さらに破風板には、屋根への延焼を抑制する効果もあります。建物の火災は火元から始まり、下から上へと燃え広がる傾向があります。屋根裏は防火対策がなされておらず無防備なため、破風板があることで下から上がってきた炎が屋根裏まで上がるのを防いでくれるのです。
もし破風板がなかったら、家についた炎がそのまま屋根に燃え移ってしまいます。延焼を防ぐ破風板がどれほど大事かは、容易に想像がつくことでしょう。
美観
最後に、見た目の美しさも破風板の機能のひとつです。破風板をつけることで屋根の側面が見えなくなり、美しさが高まります。
破風板は切妻造(きりづまづくり)や入母屋造(いりもやづくり)に顕著なパーツです。破風板はこれらの建築の見どころの一つといえるでしょう。
- 破風板は強風や雨から屋根を守ってくれる
- 火事の際には、延焼から屋根裏を守る機能がある
- 見た目の美しさも魅力の一つ
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破風板の材質の種類
「板」といっても、破風板に使われる材料は木材とは限りません。この項目では近年、破風板に使われている材料を紹介します。
木材系
木材系の破風板は、木材用の塗料を塗布して使われます。原料は主にスギです。
かつては一般的な破風板の材料でしたが、近年では減少傾向にあります。理由は、他の材料に比べて防火性や耐久性が低いためです。また、木材自身の伸び縮みにより塗装がはがれやすいのも弱点の一つといえます。
金属系
金属系の破風板の材質は、ガルバリウム鋼板が一般的です。ガルバリウム鋼板とは、ガルバリウムという合金で鉄をコーティングしたものを言います。見た目が美しく耐久性にも優れているため、使われることの多い材質です。
金属系の破風板は、火事の際に延焼を起こしにくい反面、水分によって錆びるリスクがあるのが問題とされています。
窯業系
窯業系の破風板は、主にセメント等の複合材です。セメントは吸水性が高いため、専用の塗料を塗って使用されます。塗料が劣化すると破風板内部に水が浸入するため、数年に一度塗り替えが必要です。
耐久性と耐火性に優れた材料であるため、近年利用が増えている破風板素材となります。
その他の破風板
プラスチック(ポリ塩化ビニル)製の破風板は、軽量で耐久性が高いという特長を持っています。デメリットは熱に弱いことです。照り返しの熱で変形してしまう恐れがあるため、施工事例はあまり多くありません。
モルタル性の破風板は、下地の上にモルタルを塗って仕上げます。外壁がモルタルでできた建造物に多いパターンですが、モルタル外壁の建物自体が減少してきたため、近年では施工が減っています。
- 木材系の破風板は、防火性や耐久性が低いため減少傾向
- 金属系の破風板は、延焼を防ぐ効果がある
- 窯業系の破風板は、耐久性と耐火性に優れるため増加傾向
破風板の修理が必要なサイン
破風板は雨風にさらされる機会が多いため、外壁に比べて早く劣化が起こります。では、目に見える劣化のサインとはどのようなものなのでしょうか。紹介していきます。
色褪せ
施工から数年たつと、破風板に色褪せが見られることがよくあります。この場合は、すぐに問題が起こるわけではありません。しかし、放置すれば塗膜の剥がれなどにつながるので見過ごせないサインです。
塗膜の剥がれ
塗膜とは、塗料が固まって板の表面で膜状になったものです。塗膜の剥がれはあくまで表面のダメージのため、直接の被害にはなりません。しかし、放置すると破風板自体が腐食する原因になりますので注意が必要です。
多くの場合は、塗料の塗り直しを行えば解決するでしょう。
コケやカビ
塗膜が劣化することにより、破風板が水分を含み、コケやカビが繁殖することがあります。これらは生育に日光を必要とせず、日当たりの悪い場所でもお構いなしに繁殖します。
外壁の低い位置ならば自力での清掃も可能ですが、破風板の場合は一階でもある程度の高さにあります。滑りやすくて危険なため、業者に処理をお願いしましょう。
損傷の具合にもよりますが、高圧洗浄などを行ったのち、塗料の塗り直しで仕上げることが多いです。
ひび割れ
破風板にひび割れが発生している場合は、風雨が破風板内部に入り込み、腐食が起こる直接の原因になりますので、早めに補修が必要です。
ひび割れているところを部分的に補修するか、ひび割れが広範囲の場合は全面を補修します。
破風板の破損
破風板の破損とは、ひび割れよりさらに上の損壊状態で、破風板が欠けたり穴が空いたりしている場合を言います。この場合はすぐに修理が必要です。
損傷が大きいため、破風板自体の交換が必要となります。
- 塗膜の色褪せや剥がれに注意
- 破風板のひび割れは危険信号
- 破風板の破損はすぐに修理の手配を
破風板が劣化する原因とは?
それでは、破風板が傷む原因とはいったい何なのでしょうか?以下のような理由が考えられます。
強風
まずは、強風です。風が強いと物質の風化が進むため、劣化しやすくなります。破風板はその名の通り、風を受ける役目をもっているため、他の部分よりもさらに強風の影響が強い場所といえるでしょう。
雨
次に、雨水による素材の劣化です。塗装の剥がれやひび割れが起きた破風板に雨が当たることにより、内部へ雨水がしみこんでそこから腐食が進みます。金属系の破風板の場合、サビの原因になるのが雨水です。
対策としては、破風板に塗装をすることです。塗装によって雨への耐久性がぐっと高まります。
雪
雪の積もる地域では、屋根に降り積もった雪が落下する際に破風板を傷つけてしまう場合があります。また、雪やつららも水分を含んでいるため、破風板の腐食の原因になりえます。
紫外線
紫外線、つまり日光によっても素材は劣化します。特に日がよく当たる南側の破風板は損傷しやすいといえるでしょう。
雨への対策同様、塗装をすることで紫外線に強くなることが知られています。
塩害
塩害とは、海からの塩分によって建築物などが劣化することです。塩害がない地域に比べて、劣化が格段に早くなることが知られています。
耐塩性の高い塗料を使用することで、頻繁な塗り直しを防ぐことができます。
- 劣化の原因は風、雨、雪、紫外線など
- 海の近くでは塩害が原因になる
- 適切な塗装が劣化対策になる!
破風板の劣化を放置すると…
破風板には劣化対策が必要なことがお分かりいただけたかと思います。それでは逆に、劣化を放置するとどうなるのでしょうか。見ていきましょう。
雨漏りする場合がある
破風板の破損や塗装の劣化を放置すると、内部が腐食します。そして、腐食によってできた隙間を雨水が浸すようになります。こうなると、雨漏りとして家の中にまで影響が及んでしまいます。
雨漏りの原因や対策について興味がある方には、こちらの記事もおすすめです。
落下する可能性がある
特に木質系の素材を使用している場合は腐食しやすく、腐食が進行することで落下しやすくなります。
破風板以外の部分が劣化する
破風板が錆びた場合、他の金属材にサビが移るリスクも考えられます。サビがどんどんと広がれば、破風板だけでなくもっと広い範囲の劣化が引き起こされます。
補修費用が増える
上のサビの例のように、小さな劣化を放置すると、大きな範囲の劣化につながります。放置を続けると、結果として補修費用が増加してしまうといえるでしょう。
最悪の場合には、建物全体が劣化して建て直しが必要となるケースも存在します。
- 破風板の傷みを放置すると、雨漏りの原因に
- 破損や腐食が進めば、破風板が落下する危険性もある
- 劣化を放置しすぎると、サビが家全体に広がることも
- 最悪の場合には、建物全体が建て直しになる場合まで
破風板を修理する方法
では実際に破風板を修理する方法について紹介していきましょう。
破風板の塗装
破風板の塗装は、比較的に損傷が軽い場合に行われる方法です。木材系、金属系、窯業系などを問わずに行うことができます。以下が手順です。
- まずは下地処理です。下地の補修と劣化部分を剥がす作業を行います。
- 次に、下塗りです。中塗りと上塗りが剥がれにくくする効果があります。
- 下塗りがすんだら、中塗りを重ねます。
- 最後に、下塗りと中塗りの上に上塗りを重ねます。これで工程は終了です。
塗装の効果としては、耐久性や防水性を上昇させることができます。また、かかる費用も他の方法と比べると安く済みます。ただし、防火性能の上昇についてはほとんど期待できません。
破風板の金属巻き
既存の破風板の上に、金属を重ね張りします。金属はガルバリウム鋼板を使います。塗装に比べ、防火性能が高まるという利点があります。
- ガルバリウム鋼板を元の破風板のサイズに合わせて切り離します。
- 切断したガルバリウム鋼板を折り曲げて、破風板に巻き付け、表面をカバーします。
- 鋼板を取付けた場所にある隙間や、破風板と破風板のジョイント部分をコーキングで埋めます。
コーキングとは、施工の際にできる小さな隙間をコーキング剤(充填材)でカバーすることです。細かい作業ですが、気密性や防水性の保持のためには欠かせません。また鋼板と破風板に境目があると悪目立ちして見た目がよくないため、大切な作業です。
破風板の交換
破風板や下地の傷みが激しい場合には、塗り替えや金属巻きでは不十分のため、破風板自体の交換を行う必要があります。手順は以下の通りです。
- まず既存の破風板を剥がします。
- 次に下地の補修を行います。
- 最後に、新しい破風板を取り付けます。
破風板自体を取り換えるため、希望によって木材系から窯業系へなど、材質の変更が可能となります。
- 破風板の損傷が軽微な場合は、塗装、または金属巻き
- 損傷が激しい場合は、破風板自体を交換する
- 修理方法によって、破風板に新たな性能が付属するようになる
破風板の修理にかかる費用とは?
次は、破風板の修理費用について見ていきます。火災保険が適用される場合には、金銭的な負担を軽くすることも可能です。
破風板の修理費用
破風板の修理費用は、修理の方法ごとに異なります。
塗装の場合は、1平方メートルにつき800~1,300円となります。
金属巻きは1平方メートルにつき2,000~4,000円が相場です。
破風板の交換は1平方メートルにつき6,000~8,000円ほどでしょう。
見積もりをしてみて、費用が安すぎたり高すぎたりする場合は注意が必要です。金額があまりにも安いと手抜き工事の可能性があり、金額が高すぎるのは正しい見積もりを行っていない可能性があります。
他の工事とまとめるとお得
破風板の修理には足場が必要です。足場の設置には、工事と別途で費用が掛かってしまいます。足場の単価は1平方メートルにつき700~900円が相場です。
ですので、足場が必要な外壁や屋根の工事と同時に行うと、足場代の負担が少なくなります。ただし、大きな金額が動きますので、家の状態や予算に合わせて慎重な検討が必要です。
破風板を外壁塗装と同時に行った場合の費用相場を知りたい方は、ぜひこちらの記事も参考にしてください。
破風板の修理には火災保険が適用される?
もし風災と認められれば、破風板の修理には火災保険が適用可能です。風災とは、強い風による災害のことを言います。ここでいう強い風とは、台風や竜巻、突風や防風などです。
間違えやすいですが、同じ自然災害でも、地震による破損については火災保険は適用されません。また、経年劣化も風災の適用から外れます。
- 修理費用は、修理の方法ごとに違う
- 足場が必要な工事と同時に行うと、足場代の負担が減少
- 修理の際に、風災が適用される場合もある
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破風板のメンテナンス方法
破風板が傷む前のメンテナンスは、どんな方法があるのでしょうか。具体的なメンテナンス方法について紹介します。
目視での確認
破風板はその役目上、傷みが激しい部位です。そのため、年に1度は地上からチェックして、塗装の剥がれや破損を確認するべきでしょう。また、台風や豪雨などがあった後にも目視での確認を行うのがおすすめです。
- 破風板の塗料が色褪せていないか
- 塗料がはがれていないか
- 破風板が割れたり削れたりしていないか
- コケやカビなどがついていないか
目視で異常が発見された場合、早めに業者による修理を依頼する必要があります。
業者による定期的な点検
破風板は高いところにあるのも手伝って、よほどの異変がない限り傷みを見つけにくいです。よって、7年ごとに業者による定期点検をするのが望ましいでしょう。
点検を頼めば、はしごや屋根に上って、下からではわからない細かいズレやゆがみまで見つけてくれます。破風板の写真を撮ってもらい、自分の目で確認することもできるでしょう。
破風板を塗装する
どんなに気を付けても、点検を欠かさず行っても、いくらかの損傷は必ず起こるものです。少なくとも10年に1度は、破風板の塗装をするのが理想的でしょう。
- 1年に1度は、目視点検をしよう
- 7年に1度は、業者の定期点検を行うこと
- 10年に1度は、破風板の塗装を実施すること
【メーカー別】破風板のおすすめ商品を紹介!
最後におすすめの破風板について紹介します。それぞれに魅力的な長所がありますので欲しい機能ごとにお選びいただければと思います。
ニチハ アウティGLシリーズ
ニチハの「アウティGL」シリーズは、雨の力を利用して汚れを除去する「マイクロガード」がもっとも注目すべき特徴でしょう。また、変色・色褪せに対して10年保証があるのも大きな見どころです。
サイズやカラーバリエーションも豊富で、建物の寸法やお好みのカラーに合わせて選ぶことができます。
東レACE株式会社 トレパーツ
東レACE株式会社が製造する「トレパーツ」は、軽量で強度がある破風板です。施工性(切断・釘打ち・加工など)にも優れ、高い不燃性が特徴となっています。
見た目も、シンプルでシックなデザインから装飾性の高いデザインまで、バリエーションが豊かです。ご自身の建物の外観に合わせて好きなものを選べます。
NBL エヌビーエル株式会社 エコモールカラー
薄く軽量で、施工性に優れているという特徴を持つのが、NBL エヌビーエル株式会社の「エコモールカラー」です。塗膜はシリコン塗料となります。無機質材料なので木材系のように腐ることも、金属系のように錆びることもありません。
対候性(太陽光や気温の変化に強い性質)や、防火性に優れている破風板といえます。
- アウティGLシリーズは「マイクロガード」という特徴に注目
- トレパーツは素材が丈夫で、デザイン性が豊か
- エコモールカラーは軽量で、対候性などが優秀なポイント
破風板は家を守る要!
破風板についての基礎知識やメンテナンスの方法について、お分かりになりましたでしょうか?
破風板にはいくつかの種類と修繕方法があり、それぞれに利点があることもご納得いただけたはずです。
面積こそ小さいですが、破風板は建物の耐久性を向上させるために大きな役割を担っています。それゆえにハードな環境に耐えねばならない場面が多く、傷みやすい部分でもあります。
破風板の劣化のサインを見逃すことなく、適切なメンテナンスを施してあげましょう。そうすれば、明日からも破風板はあなたの暮らしをしっかりと守ってくれることでしょう。
屋根塗装の費用について気になる方は、以下の記事もぜひチェックしてみてください。
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