「パミール」とは、かつてニチハ株式会社が販売していた屋根材のこと。ノンアスベストの屋根材であることから、アスベストの有害性が問題になって以降重宝されてきました。
しかし、耐用年数を待たずしてさまざまなトラブルが生じたことから、現在では販売が中止になっています。
「うちの屋根にパミールが使用されているのではないか?」「パミールの劣化症状が気になるが、塗装で補修ができないのは本当?」と不安や疑問を感じている方も少なくないはず。
パミールを屋根材として使用している場合は屋根塗装ができないと言われていますが、これは果たして本当なのでしょうか?
この記事ではパミールに屋根塗装ができないケースやその見分け方に加えて、トラブルが生じたときの対処法やリフォーム方法について徹底解説しています。
ご自宅の屋根にパミールが使用されている方は、ぜひ最後までご覧ください。
- パミールに塗装ができないのはなぜ?
- パミールに起きやすい劣化症状やトラブルとは?
- 自宅の屋根がパミールかどうかを見分けるには?
- パミールのリフォーム方法と費用は?
当サイトでは、外壁・屋根塗装の見積もりシミュレーションを無料で行っています。初めて外壁塗装を検討している方は、まず下記ボタンより、最新料金相場を確認しましょう。
目次
屋根材「パミール」は塗装できないって本当?
「パミール」という言葉を聞いても、それが屋根材の製品名であることにピンとくる人はそう多くないことでしょう。
ですが、もしもご自宅の屋根にパミールが使用されている場合、耐用年数を待たずしてさまざまなトラブルが生じてしまう可能性があります。
ここではまず屋根材パミールの基本情報に加えて、パミールが「塗装ができない」と言われる理由についてチェックしていきましょう。
\料金相場を30秒でチェック/
そもそも「パミール」とは
「パミール」とは、ニチハ株式会社が1996~2008年に販売していたノンアスベストの屋根材のこと。
建材に含まれるアスベストの有害性が問題視されるようになり、原則使用禁止となって以降、パミールのようにアスベストを含まないノンアスベストの屋根材は注目を集めてきました。
とりわけ、耐用年数が30年ほどと長期であることを謳ったパミールは、多くの住居で使用されるなど人気を得ていたのです。
しかし、施工から数年足らずで屋根材自体にひび割れや剥がれといった不具合が発生することが明らかになったため、現在では販売中止となっています。
ニチハはこうした不具合をパミール自体の問題であると認めておらず、「経年劣化」または「釘が原因」という見解を出しているため、釘以外のリコールは受け付けていません。
パミールが塗装できない理由
一般的に、屋根がひび割れや剥がれなどの不具合を起こしたときには塗装などを通じて補修をおこないます。
しかし、パミールは塗装によるメンテナンスができないのです。それはいったいなぜなのでしょうか?
パミールに塗装ができないのは、塗装工事をしたとしてもすぐに屋根材が剥がれを起こしてしまい、意味がないから。
屋根材自体が短期間で劣化してしまうため、通常のように塗装による保護では対処できないのです。塗装工事にかかるお金と時間が無駄になるだけですので、それ以外の別の方法で対処する必要があります。
- パミール=ニチハ株式会社がかつて販売していたノンアスベスト屋根材
- さまざまな不具合が報告されてパミールは販売中止に
- パミールの不具合は塗装によるメンテナンスで対処できないことに要注意
パミール屋根によくある劣化と不具合
ニチハはパミールの耐用年数を30年ほどであるとしていますが、実際には耐用年数内であってもさまざまなトラブルが発生することが報告されています。
では、具体的にどのような症状が出やすいのでしょうか?ここからは、パミール屋根によくある劣化症状や不具合についてご紹介していきます。
層状の剥離
パミールに起こりやすい不具合としてまず挙げられるのが、屋根材自体が層状に剥がれしまうというトラブルです。
多くの屋根材は基材と塗装の二重構造となっていますが、パミールの場合はこの2つに剥離が生じてしまうのです。
本来ならば一体化しているはずの基材と塗装がまるでミルフィーユのように層状の剥離を起こしてしまうため、塗装は雨水の浸入を防ぐという本来の役割を果たせなくなってしまいます。
層状の剥離を放置しておくと、雨漏りやそれによる腐食などのトラブルの原因になってしまうので要注意。
反り
屋根材が反り上がり、波打った状態になるのもパミールに起こりやすい不具合のひとつ。
反りを起こした屋根は家全体の外観を損ねるだけでなく、ボロボロと屋根材が剥がれ落ちていき、屋根そのものの耐久性を損ねてしまいかねません。
放置すれば、雨漏りなどの二次被害を招いてしまうでしょう。
屋根材先端の劣化
屋根材の先端が白く変色するというのも、パミールが劣化症状を起こしていることがわかる指標のひとつでしょう。
こうした不具合の主な原因は、塗装の表面隔離です。症状が進行すると、先端だけではなく屋根材全体でも同様の現象が起きてしまいます。
白く変色したからと言ってすぐに重大な不具合が生じるわけではありませんが、適切な処置をしないままでいると、上述の層状剥離やそれに伴う雨漏りを起こしてしまうので注意が必要です。
釘の腐食による屋根材の落下
パミールでは、ラスパートと呼ばれる専用の釘が使用されています。
しかし、メッキ加工が適切に施されていないラスパート釘が使用された結果、釘が腐食を起こして固定できなくなった屋根材が落下するトラブルが報告されているのです。
屋根材の落下は周辺にある自転車や車などを破損するだけでなく、場合によっては人に直撃して大きな事故を招いてしまう可能性もあるため、早急に適切な対処を講ずる必要があります。
ひび割れ
反りや剥がれに加えて、ひび割れもパミールによく見られる劣化症状として挙げられます。
髪の毛ほどの微細なひび割れ(ヘアークラック)ならばそこまで心配する必要はありませんが、これを放置しておくと大きなひび割れ(構造クラック)へと進行し、屋根材の耐久性が大きく低下してしまうことも…。
また、ヘアークラックであっても複数個所にこうした症状が起きている場合は、雨漏りの原因になることもあります。
- 層状の剥離:雨漏りの原因になる
- 反り:外観を損ねる上に剥がれを引き起こす
- 屋根材の変色:外観を損ねる上に層状剥離につながることも
- 釘の腐食:屋根材が固定されなくなり落下する危険性がある
- ひび割れ:外観を損ねる上に雨漏りの原因になることも
自宅の屋根がパミールか見分ける方法は?
自宅の屋根にどの屋根材が使用されているのかを正確に把握している人は、そう多くないはず。
パミールは1996年から2008年まで販売されていたため、この期間に新築を購入したり屋根のリフォームをおこなっている場合は、屋根材としてパミールが使用されている可能性があります。
では、どうすればパミールが使用されているかどうかを確認できるのでしょうか?以下では、自宅の屋根がパミールかどうかを見分ける方法について解説していきます。
先端の凹凸部分を見る
比較的簡単な見分け方としてご紹介したいのが、屋根の先端の凹凸部分をチェックするという方法です。
パミールの先端は凹凸部分が等間隔になっているため、こうした特徴に当てはまっていればパミールが屋根材として使用されている可能性があります。
ただし、先端部分を確認するために屋根に上るのはおすすめできません。高所での確認作業となり、足を滑らせて落下事故を起こしてしまう危険性があるからです。
縦線で見分ける
パミールは、表面に薄い縦線のような模様がついているのが特徴的です。遠目からでも木目のような縦線が確認できるため、これに当てはまる場合はパミールを使用している可能性があります。
過去の工事書類を探す
先端の凹凸部分や表面の縦線などの確認は自分ではしにくいだけでなく、転落などのリスクがあるため、できるならば過去の工事書類を探すことをおすすめします。
見積書などを保管しているならば、そこに商品名が記載されているはずです。あるいは、工事を依頼した業者や建築会社に使用した屋根材について問い合わせをおこなうのもよいでしょう。
こうした方法でも屋根材の製品や種類がわからない場合には、屋根専門の業者に依頼して現物を確認してもらうという方法もありますが、費用がかかる場合もあるので事前に金額について尋ねておくことをおすすめします。
- 見分け方1:先端部分の凹凸が等間隔である
- 見分け方2:表面に木目のような縦線がある
- 見分け方3:見積書など工事関連書類を確認する
- 見分け方4:施工した建築業者に問い合わせる
\料金相場を30秒でチェック/
パミール屋根に不具合が起きた時の対処法
もしも自宅の屋根にパミールが使用されており、なおかつ剥がれや反りなどの不具合が起きた場合にはどうすればよいのでしょうか?
とりわけ、釘の腐食が生じた場合は屋根の落下などの重大事故につながりかねないため、早めに対処する必要があります。
以下では、パミール屋根に不具合が起きた場合の対処法について確認していきましょう。
ニチハまたは建設会社に連絡する
ニチハは釘に関しては不具合が生じることを認めているため、ニチハまたは建築会社に連絡をすれば釘のリコールならば対応してくれます。
ただし、ニチハはパミールそのものに問題があったとは認めていないため、屋根材のリコールはできません。
リフォーム会社に工事を依頼する
釘の腐食以外のトラブルが発生した場合、ニチハを通じて屋根材のリコールや保証をしてもらうことはないため、リフォーム会社に工事を依頼することになります。
工事費用は高額になりますが、別の屋根材に交換してくれるため安心できるでしょう。
- 釘の不具合ならばニチハや建築会社を通じてリコールが可能
- 屋根材の不具合はリコール不可のため、リフォーム会社工事を依頼する
パミール屋根のリフォーム方法【カバー工法】
では、パミールのリフォームをおこなうにあたってどのような方法が採用されるのでしょうか?リフォーム方法の種類としては、カバー工法と葺き替えという2つのやり方があります。
カバー工法とは、既存の屋根を撤去せずに、その上から新しい屋根材を貼り付けていくリフォーム方法のこと。
葺き替えと違って解体作業が不要なため、工期が短く費用も低くおさえられるというメリットがあります。ここからは、カバー工法のやり方についてパターン別に見ていきましょう。
直接下葺き材を重ねて屋根材を張る
カバー工法の最も簡単かつ費用の低い方法として挙げられるのが、現在の屋根の上に新しい屋根材をそのままつけていくやり方です。
こうしたカバー工法は、パミールの劣化がそこまでひどくない場合に採用することができます。
新しい野地板を張り下葺き材と屋根材を張る
パミールの劣化症状が進んでいる場合は、補修と耐久性の強化のために、現在の屋根の上に新しい野地板をはってから屋根材をつけていくカバー工法を採用します。
野地板と下葺き材を重ねることで、防音性や遮熱性がアップするという利点もあります。
カバー工法に適した屋根材は?
カバー工法は既存の屋根の上に新しい屋根材を貼り付けるため、建物にかかる重量負担が増えてしまうのがデメリット。
重量負担が増えれば増えるほど、地震が発生した時に揺れやすくなるため、耐震性が低下してしまうのです。
だからこそ、カバー工法では軽量な金属屋根を使用するのが一般的。たとえばガルバリウム鋼板のように軽量で耐震性が高い金属屋根を使用することで、建物にかかる負担を軽減できます。
気になるカバー工法の費用は、30坪の住宅で100〜180万円程度です。
- カバー工法ならば葺き替えよりも工期の短縮・費用の削減が可能
- パミールの劣化が進んでいない→既存の屋根に新しい屋根材を重ねる
- パミールの劣化が進んでいる→野地板を張った上で新しい屋根材を重ねる
パミール屋根のリフォーム方法【葺き替え】
パミールの劣化症状がひどい場合は、上から新しい屋根材を張り付けるカバー工法では十分に対処できません。
トラブルの生じた既存の屋根を撤去・解体し、新しい屋根に取り換える「葺き替え」作業が必要になります。ここからは、葺き替え工法について詳しく見ていきましょう。
パミールを撤去して張り替える
葺き替えにおいては、既存のパミールを撤去して張り替えるをおこなうのがマストです。
パミールや下地の劣化が激しい場合には、カバー工法では十分に屋根の耐久性を補強することができません。
葺き替えに適した屋根材
カバー工法と違って葺き替えでは屋根材を完全に取り替えるため、金属屋根に限らずどの屋根材でも使用可能です。
スレートや金属屋根を採用した場合、葺き替えにかかる費用は30坪の住宅で120〜200万円ほど。瓦を採用するともっと高額になります。
- パミールの劣化症状がひどい場合は葺き替えをおこなう
- 葺き替え=既存のパミールを撤去して新しい屋根材に交換する
- 葺き替えに使用する屋根材は何でもOK
パミール屋根のリフォームはどちらを選ぶべき?
現時点ではパミール屋根の劣化症状がさほど進んでいなかったとしても、時間が経てば症状はひどくなると予想されるため、できるならばリフォームでは葺き替えを選んだほうがよいでしょう。
なお、葺き替えは工期が長く費用もかかるため、今すぐ費用を捻出できない場合はカバー工法でもOKです。
ただし、屋根の下地の劣化が激しい場合は葺き替えしか選択肢がないことも知ってきましょう。
カバー工法のメリット | 工期が短い
費用が安い |
カバー工法のデメリット | 下地の劣化が激しい場合は不可
使用可能な屋根材が限られる |
葺き替えのメリット | 新しい屋根になるため耐久性が向上する
どんな種類の屋根材も使用できる |
葺き替えのデメリット | 工期が長い
費用が高くなる |
- 基本的には葺き替えがおすすめ
- 費用の捻出が難しければカバー工法でも可
- パミールがひどく傷んでいる場合はカバー工法ができない
パミール屋根をリフォームする際のポイント
リフォームにはお金も時間もかかるため、納得のいく仕上がりを実現するためにいくつか気を付けておきたいポイントがあります。
ここからは、パミール屋根のリフォームを成功させるコツについて見ていきましょう。
屋根専門の業者を探す
パミールのリフォームを成功させるためには、何よりもまず適切な知識と高い技術力をもった業者を選ぶことが大切。
そのため、見積もり相談の際に施工実績数を尋ねたり、パミールの施工例があればその写真を見せてもらうとよいでしょう。また、屋根工事に特化した業者でないと工事を他社に外注するため、中間マージンがかかって無駄に工事費が高くなってしまいます。
相見積もりをする
適性な価格で施工してくれる優良な業者もいれば、「素人だからわからないだろう」と高額な費用を請求してくる悪徳業者もいます。
優良な業者を見つけるために、3社ほどから見積もりをとって比較・検討する「相見積もり」をおこない、適正な価格や工事内容かどうかを判断しましょう。
\料金相場を30秒でチェック/
全国区の会社ではなく地域の会社に依頼する
全国規模のハウスメーカーやゼネコンに依頼すると、工事は外注となるため、中間マージンが発生して費用が高くなってしまいます。
その点、地元密着型の会社ならば工事は自社でおこなうため、中間マージンが発生せず費用がお得になるでしょう。
リフォーム会社の保証が使えないかも確認する
施工したリフォーム会社が保証をつけている場合は、保証で対応可能な場合もあります。念のため、リフォーム会社の保証が使えないか確認をしておきましょう。
火災保険の利用を検討する自然災害で屋根が破損している場合は、火災保険の利用が可能です。火災保険を利用するためには風災認定を受けることが必須であり、経年劣化などが原因であると判断された場合には保険金が下りないことにも要注意。
また、3年以上経つと風災が原因の破損であっても保険金を申請できなくなってしまいます。時間が経過すればするほど、風災と経年劣化のどちらが原因かを判断しにくくなり、保険金が下りにくくなるため、早めに申請をおこなうことが大切です。
- 屋根専門業者や地元密着型の業者に依頼する
- 相見積もりを通じて優良業者を見極める
- リフォーム会社の保証や火災保険が利用できないか確認する
適切な方法でパミール屋根をリフォームしよう
今回はパミール屋根のリフォームについて特集してきましたが、いかがでしたでしょうか。
パミール屋根は耐用年数内であってもさまざまな不具合が生じることが多いため、トラブルが生じたならば早めに適切な対処法を講ずることが大切です。
費用を節約したい場合はカバー工法でもOKですが、屋根の耐久性や強度のことを考えるならば、葺き替えを通じてパミールを新しい屋根材に全面的に取り替えたほうがよいでしょう。
相見積もりなどを通じて、確かな技術と知識をもつ優良な業者を見つけることも大切です。
\料金相場を30秒でチェック/