外壁塗装で使用される「プライマー」とは、本格的な塗装を行う前に行う下塗りの塗料のことです。プライマーを使用しないと、せっかくの塗装が長持ちしないなど不具合が起こりやすくなります。
今回の記事ではプライマーの主な役割と特徴、種類などの情報に加え、プライマーの必要性や役割などについてお伝えしていきます。
- プライマーとは何か
- 外壁塗装の構造や工程について
- プライマーの主な種類
- 「プライマー」「シーラー」「フィラー」の違い
- 水性プライマーと油性プライマーのメリット・デメリット
- 浸透性、防錆性、導電性プライマーの特徴
- プライマー抜きの塗装は可能か
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目次
外壁塗装の「プライマー」とは?
外壁塗装で使用される「プライマー」とは、塗装の下塗りを行うときに使用する塗料のことです。プライマーは外壁塗装を美しく仕上げるためには重要な塗料。以下にプライマーの概要についてお伝えしていきます。
プライマーとは?
プライマーとは、外壁塗装を行う際の下塗り塗料のことを指します。プライマーの中には「シーラー」「フィラー」などと呼ばれる種類の下塗り塗料も。「シーラー」や「フィラー」の違いについては、後の章でご紹介していきます。
下塗り塗料を使用することで、塗装の仕上がりが美しくなるほか塗装の耐久性も高くなります。下塗りした塗料は塗装が仕上がった時点では見えませんが、塗装を美しく仕上げかつ長持ちさせるためにも下塗りは重要な工程です。
外壁塗装の構造
また上記の3段階の構造には、それぞれ重要な役割があります。3工程はひとつでも省いてしまうと、塗料本来の機能が発揮できなくなるため、すべてを丁寧に行うようにしましょう。3つの工程のそれぞれの役割は以下の通りです。
・下塗り
下塗りの役割は上に塗る塗料の密着性を高め、長持ちさせること。外壁素材と塗料の接着剤のような存在であるといえるでしょう。
下塗りを行わないと塗装が剥がれやすくなる、塗装にムラができるといった不具合が生じやすくなります。下塗りは外壁塗装を長く綺麗に保つために必要な工程なのです。
・中塗り
基本的に中塗りと上塗りには同じ塗料を使用します。
中塗りの役割は塗料のシワや垂れを防ぎ、塗装面をムラなく仕上げることです。厚塗りにならないように塗布することがポイントになります。
中塗りをすることでムラのない滑らかな表面を作り、塗料の発色が良くなる効果もあります。
・上塗り
上塗りは塗装の仕上げです。中塗りの上に重ねて塗ることにより、硬く丈夫な塗膜を作り上げることができます。
中塗りをしっかり行っていれば、厚塗りをする必要はありません。上塗りの仕上がり具合が外壁の見た目を左右するので、手を抜かず丁寧に行うようにしましょう。
下地によって変わるプライマーの種類
どんな下地に塗装をほどこすかによって、適しているプライマーは異なります。プライマーには主に水性と溶剤系があり、素材に適した系統のプライマーを選ぶ必要があります。
素材が金属か木材か、もしくはプラスチックかなどによって適したプライマーは異なるので、素材に合ったプライマーを使用することが大切です。塗装をする素材にマッチしないプライマーを使用すると、外壁の劣化が進んで耐用年数を縮めてしまう可能性があります。
プライマー塗装の注意点
プライマーを塗る前には下準備も大切です。塗装する素材が錆びていたり前の塗料が残っていたりすると、プライマーがきちんと付着できなくなるため、ヤスリなどでしっかり落としてからプライマーを塗ります。
プライマーを塗る時のポイントは、プライマーをできる限り薄く塗ることです。薄く塗る方が密着性が高まり、中塗り塗料を綺麗に塗ることができます。
また、プライマーは粘着性が非常に高い塗料なので、塗布する場所に気をつけましょう。プライマーが付着した部分には、埃やゴミなどがつきやすくなります。一度付着したプライマーを落とすのは困難なため、プライマーを塗らない箇所はマスキングテープなどでしっかりと養生したり、作業スペースに配慮する必要があります。
- プライマーとは外壁塗装の下塗りで使用される塗料のこと
- 外壁塗装は主に「下塗り」「中塗り」「上塗り」の3工程で行われる
- 塗装する下地の素材や状態によって適したプライマーを使うことが大事
- プライマーを実際に塗る際は、できる限り薄く塗る
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プライマーの役割とは?その必要性
中塗り塗料を下地に吸い込ませないようにする
プライマーには下地に中塗り以降の塗料が染み込まないようにする役割があります。プライマーを下地に塗装し下地に染み込ませることで、中塗り塗料が下地に染み込まず塗装を美しく仕上げることが可能になるのです。
もしもプライマーで下塗りを行わずに直接中塗りから始めると、塗料が不自然に下地に染み込んで施工不良が起こる可能性があります。下地にあったプライマーで下塗りを行う工程は、仕上がりと耐久性の面からも必須の工程です。
中塗り塗料の密着度を高める
錆を防止する
下地に合ったプライマーで下塗りをしておくことで、塗膜の強度を上げて雨漏りなどを防ぐことができます。雨漏りなどの外的な要因から下地を守れるので、錆などの劣化を抑えることが可能です。
金属の錆を防止するためには、錆止め効果のあるプライマーを使用します。錆止め効果のある下地を使用することで、金属下地の耐久性を高めるとともに、塗膜の耐久性もアップさせることが可能です。
火災の防止
塗装を施す場所によっては、静電気が蓄積しやすいこともあります。静電気が蓄積することで火災が起こりやすくなるため、そういった場所の塗装には「導電性プライマー」という伝導率が高いプライマーの使用が最適です。
伝導率が高いプライマーを使用することで静電気が蓄積しにくくなり、結果火災の発生を抑えることができます。
遮熱機能
プライマーの中には遮熱機能があるプライマーも。外壁に熱をためやすい場所に使用されることが多く、屋根や日照時間が多い外壁などの下塗りに向いています。
遮熱機能のあるプライマーを使用することで、内部の空調効果を高める効果が期待できます。
- 中塗りの塗料を下地に染み込むのを防止し、仕上がりを良くする
- 中塗り塗料の密着度を上げて塗装の耐久性を高める
- 下地が金属の場合、錆止め効果のあるプライマー使用で耐久性をアップできる
- 導電性の高いプライマーを使うことで、静電気による火災を防止できる
- 遮熱性の高いプライマーを使用すると空調効果が高まる
プライマーとシーラー・フィラーの違いとは?
プライマーとは下塗りに使用する塗料のことですが、プライマーの中には機能ごとに「シーラー」「フィラー」といった呼び方をされるプライマーもあります。以下で「シーラー」と「フィラー」の違いについてご説明していきます。
シーラーとは
シーラーとはプライマーの一種で、薄く塗布する下地塗料のことを指すことが多いです。しっかりとした定義があるわけではありませんが、下地に中塗り塗料が染み込まないように塗布する側面が強く、材質が水のようにサラサラしている傾向があります。
主に比較的凹凸が少なく、塗膜の厚みがなくても中塗りと上塗りが美しく仕上がる下地に使われます。水性と油性のものがあり、外壁の劣化が激しい場合は油性のものを使用する、下地を2回塗るなどの対策が取られることが多いです。
プライマーは金属・鋼板・鉄部などに適している下地塗料ですが、シーラーはモルタル・コンクリート・サイディングなどの下地に向いています。
シーラーについてはこちらの記事でも詳しくご紹介しています。ぜひご一読ください。
フィラーとは
フィラーもプライマーの一種ですが、シーラーとは異なり塗膜に厚みがある塗料のことを指します。ゴツゴツとした下地や割れがあるような下地に使われることが多く、表面の凹凸や損傷を覆い隠す必要がある下地に使われることが主です。
シーラーとは違い水性しか存在せず、塗るときは塗料をたくさん下地に乗せられる砂骨ローラーという道具で塗料を塗っていきます。外壁の劣化が激しい場合や塗料の染み込みが強い場合は、フィラーの下地シーラーを塗ることも。
フィラーはモルタル外壁の下地に適しています。
その他の下塗り種類
プライマーにはシーラーやフィラーの他に、「バインダー」「サーフェイサー」「プラサフ」といった種類があります。バインダーは中塗り塗料の吸い込みが少ない金属に主に使用され、サーフェイサーは小さな傷がある下地に使用されます。
また下地を整えながら中塗りや上塗りをムラなく仕上げる、プラサフという塗料も。プラサフはサーフェイサーのような小さな傷を補修する効果と、シーラーのような塗料の密着度を高める効果の両方があります。
- シーラーとは、劣化が少ない外壁に主に使用されるプライマー
- フィラーとは凹凸のある下地や、劣化が激しい下地に主に使用されるプライマー
- バインダーは染み込みが少ない金属素材に使用される
- サーフェイサーは下地の細かな傷をカバーする効果がある
- プラサフは下地の細かい傷をカバーしつつ、中塗り塗料の密着性を高める
水性プライマーと油性プライマーのメリットとデメリット
外壁の劣化の状態によって水性と油性を使い分けるようにしましょう。
水性プライマーのメリット
水性プライマーは浸透性が低いこと、塗料特有の臭いがないこと、塗装しやすく扱いやすいことなどが特徴です。浸透しにくいので、劣化の少ない素材に使用するのに適しています。
悪臭がしにくいので作業中に油性のツンと来るような臭いがしにくく、作業がしやすいという利点があります。
水性プライマーのデメリット
一方水性プライマーのデメリットは、油性プライマーに比べて下地への浸透性が低く吸込みが悪い、乾燥時間が3~4時間もかかる、劣化や損傷がひどい下地の使用には向いていない、といった点があげられます。
油性プライマーのメリット
油性プライマーのメリットは、下地への浸透性が高く、塗料の乾燥時間が30分から1時間程度、劣化が激しい下地にも使用できるという点が挙げられます。
乾燥時間が短くてすむので、スピーディーに作業することが可能です。
油性プライマーのデメリット
水性プライマーに比べて幅広い下地に使用できる油性プライマーですが、塗装中に悪臭がするというデメリットもあります。
- 水性プライマーは悪臭がしにくい
- 水性は浸透性が低く乾燥時間も長いうえ、劣化が激しい下地には向かない
- 油性は浸透率が高く乾燥時間も短い。さらに劣化が激しい下地にも使いやすい。
- 油性プライマーは悪臭がしやすい
プライマーの詳しい種類を解説!
浸透性プライマー
「浸透性プライマー」は、外壁へ浸透しやすいプライマーのことです。モルタルやコンクリートなど、塗料が染み込みやすい素材を塗装する時に向いています。
浸透性プライマーを劣化している外壁表面に浸透させることで、雨の染み込みや凍結などを防ぎ、耐久性を高めることができます。
防錆用プライマー
金属・鉄部・鋼板の素材に塗装する時に適しているのが「防錆用プライマー」です。プライマーに錆を防ぐ効果のある顔料を混ぜたもので、ガルバリウム鋼板や金属系スレートなどへ塗装を施す時に使用されます。
また防錆用のプライマーには、すでに発生している錆を変質させ保護層を作る効果があります。すでに付着した錆を落とすには外壁材の表面を大きく削るケレン作業が必要になりますが、防錆用プライマーを使えば外壁を傷める必要がなく、ケレン作業の手間や費用を抑えることが可能です。
導電性プライマー
「導電性プライマー」は電気の伝導率を高める効果がある下地塗料で、静電気を蓄積しないようにする効果があります。主に生産工場などで使用されることが多く、静電気による火災の発生を防ぎます。
最近ではこのように、塗装の耐久性や美しい仕上げのためだけでなく、より安全に使用できるプライマーも販売されるようになっています。
- 浸透性プライマーとは浸透率が高く、モルタルやコンクリなどに使われる
- 防錆用プライマーは錆止め機能があるため、下地が金属のときに使用される
- 導電性プライマーは伝導率が高く、静電気を蓄積しにくいため火災防止効果が高い
プライマーがなくても塗装はできるのか
プライマーは塗装の仕上がりを美しくして、耐久性を高めるためには必要な塗料です。下地の状態がとても良好であれば下塗りをする必要はありませんが、新品の外壁でもない限り下塗りが必要ないということはありえません。
塗装をする外壁は、メンテナンス作業が必要だから塗装をすることがほとんど。なので下地が劣化していない外壁はなく、下塗りは必須な作業工程だと考えた方が良いでしょう。
- 下地が劣化していなければプライマーなしでの塗装は可能
- 塗装をするときは下地が劣化していることがほとんどなので、プライマーは必須
プライマーは下地や塗料に合った材料を選ぶことが肝心
プライマーは外壁塗装をする際の下地塗装に使用する塗料です。シーラーやフィラーなど、塗料の性質によって呼び方が変わることもありますが、下塗りに使用する塗料のことをプライマーといいます。
プライマーは下地の素材や状態によって、適している塗料が異なります。下地の素材や下地の状態にそぐわないプライマーを使用すると、施工不良を起こしたり劣化を早めたりする原因に。
プライマーを選ぶときは、下地の素材や状態に合った種類のプライマーを選ぶことが大切です。
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