外壁や屋根のリフォームを依頼したところ、工事業者のミスや手抜きで不具合が生じてしまうこともあります。
傷などの瑕疵が生じたときには、そのまま泣き寝入りせずに住宅の瑕疵保険を利用しましょう。
しかし、「そもそも住宅の瑕疵保険とはどんなものなの?」「瑕疵保険の申請方法がわからない」と疑問や不安を抱いている方も少なくないことでしょう。
そこでこの記事ではリフォームの瑕疵保険の基本情報に加えて、その費用や申請方法・利用手順などについて徹底解説しています。
すでにリフォームで不具合が生じたという方はもちろんのこと、これからリフォームをしようと検討中の方もぜひ最後までご覧ください。
- リフォーム瑕疵保険の特徴やメリットは?
- リフォーム瑕疵保険を利用できる条件とは?
- リフォーム瑕疵保険にかかる費用の目安は?
- どうやってリフォーム瑕疵保険を申請・利用すればいい?
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目次
リフォーム瑕疵保険とは
リフォームの技術の向上や手法の多様化によって、近年では自宅のリフォームをおこなう人が増えてきています。
リフォームを成功させるためには、高い技術力をもった信頼できる業者に依頼することが必須。ですが、優良業者であってもミスによって外壁や屋根に不具合が生じることもあります。
そんなときに活躍してくれるのが、リフォーム瑕疵保険です。ここではまず、リフォーム瑕疵保険の基本情報についてチェックしていきましょう。
瑕疵(かし)とはどういう意味?
そもそも、「瑕疵(かし)」とはどのような状態を意味するのでしょうか?一般的に、瑕疵とはキズや欠点を意味する言葉です。
住宅に関して言えば、リフォーム工事のミスや不具合などによって住宅に傷がついたり機能の低下を招いたりした場合、すなわち工事によって契約内容がきちんと履行されなかった場合が瑕疵状態に当たります。
たとえば耐震補強のリフォームをおこない、目に見える傷などがなかったとしても基準とする耐震性能を有していなければ、瑕疵と判断されるでしょう。
住宅の瑕疵保険って?
では、住宅の瑕疵保険とはどのようなものなのでしょうか?簡単に言うならば、住宅の瑕疵保険とはリフォームで瑕疵が見つかった場合に保証を受けられる保険のことです。
保険と聞くと「保証を受ける人物が事前に加入しなければならない」というイメージがありますが、住宅の瑕疵保険に関してはこれはあてはまりません。
住宅の瑕疵保険は工事を業者に依頼する個人ではなく、施工する業者が加入するものです。したがって、住宅瑕疵保険に加入している業者にリフォームを依頼して瑕疵が生じた場合、依頼主はその瑕疵保険を利用することができます。
なお、保証対象期間は工事内容によって変わってきますが、一般的には施工後1〜5年ほど。万が一リフォーム会社が倒産しても、その会社が瑕疵保険に加入していたのならば、保険会社に直接申請をおこない保険金を受け取ることができるのです。
「リフォームをしたいけれど、工事のミスやトラブルが発生するのが怖くて契約に踏み切れない」という方でも、瑕疵保険加入業者に依頼すれば安心できるでしょう。
住宅瑕疵担保責任保険法人について
もしもリフォームで瑕疵が発生した場合、住宅瑕疵担保責任保険法人を通じて保険金が支払われることになります。
住宅瑕疵担保責任保険法人とは、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」の第17条にもとづいて、国土交通大臣に指定された法人のこと。
リフォーム瑕疵保険を扱う法人であり、国土交通省のホームページでは以下の6社が住宅瑕疵担保責任保険法人として公開されています。
- 株式会社住宅あんしん保証
- 住宅保証機構株式会社
- 株式会社日本住宅保証検査機構
- 株式会社ハウスジーメン
- ハウスプラス住宅保証株式会社
- 住宅保証支援機構
- 契約内容と実際のリフォームとの間に齟齬が生じた場合は瑕疵に該当
- 住宅の瑕疵保険=リフォームで瑕疵が生じた場合に利用できる保険のこと
- 瑕疵保険に加入するのはリフォームの依頼主ではなく施工業者
- 万が一業者が倒産しても瑕疵保険を利用できる
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リフォーム瑕疵保険の特徴とメリット
リフォームの依頼主の中には、リフォーム瑕疵保険の内容だけでなく、その存在について知らないという人もいます。
ですが、リフォームをするにあたって瑕疵保険は消費者に大きなメリットがあるため、ぜひその内容についてきちんと知っておきたいところ。
そこでここからは、リフォーム瑕疵保険の特徴とメリットについて詳しく解説していきます。
第三者の検査が実地される
リフォーム会社によっては、社独自の保証を設けているところもあります。
ですが、リフォームによる瑕疵が生じたとしても、それを認めると保険金を支払わなければならなくなるため、保険金の支払いを免れるべく検査を不公平におこなう悪徳業者も存在するのです。
その点、リフォーム瑕疵保険は施工会社が検査をおこなわないため、「保険金を払いたくないために瑕疵がなかったことにする」といった不正の心配がありません。
瑕疵があるかどうかの検査を実施するのは、国土交通大臣の指定を受けた「住宅瑕疵担保保険法人」という第三者です。そのため、中立的かつ公平な検査が担保されていると言えるでしょう。
なお、瑕疵保険を申請すると、リフォーム工事が終わった後にも建築士によって検査がおこなわれます。素人では気づけない瑕疵の有無をチェックしてもらえるため、大きな安心要素になるはずです。
リフォーム会社が倒産しても保険を受け取れる
リフォーム会社によっては手厚い保証サービスを設けているところもありますが、万が一倒産してしまえば、大きな過失や瑕疵があったとしても依頼主はリフォーム会社に支払いや保険金を請求することができなくなってしまいます。
ですが、リフォーム瑕疵保険ならばそのような心配はありません。瑕疵保険ではリフォーム会社とは別の法人である住宅瑕疵担保責任保険法人が支払いをするため、施工会社が倒産したとしても保険金が受け取れるのです。
ただし、そのためには施工会社がリフォーム瑕疵保険に登録していることが必須。非登録業者に工事を依頼した場合は、瑕疵保険の救済対象外になってしまうことに注意が必要です。
瑕疵保険登録業者については、住宅瑕疵担保責任保険協会ホームページで検索できるので、業者と契約してしまう前にぜひ一度確認してみてください。
保険を利用する工事は高品質が保証される
リフォーム瑕疵保険を利用するためには、業者が同保険に登録していることが必須です。申請すれば無条件で登録できるというわけではありません。
瑕疵保険の登録にあたっては業者に高い工事品質が求められるため、保険の対象となる工事は高品質が保証されると言えるでしょう。
また、登録業者は住宅瑕疵担保責任保険法人が定めた基準にもとづきながら工事をおこないますし、工事完了後には法人が派遣する建築士によって検査がなされます。
こうした点は、依頼主からすると大きなメリットです。また、万が一瑕疵をめぐって施工業者とトラブルが発生した場合でも住宅紛争審査会に仲介してもらえるのも安心材料のひとつ。
司法書士や弁護士を雇うと高額な費用がかかりますが、住宅紛争審査会を通じた仲介手続きには1万円しかかからないため、消費者にとっては大きな利点だと言えるでしょう。
すべての瑕疵が対象
リフォーム会社が独自に設けている保証は一部の瑕疵だけが対象。それに対して、リフォーム瑕疵保険はすべての瑕疵が対象となります。
ただし、あくまでリフォーム工事をおこなった箇所が保証の対象になるのであって、解体や清掃などリフォームに直接関係のない作業による瑕疵は保証の対象外になることも知っておきましょう。
- 瑕疵の有無や状況については第三者による中立的な調査が受けられる
- リフォーム会社が倒産しても住宅瑕疵担保責任保険法人から補償が受けられる
- リフォーム瑕疵保険登録業者は一定の品質が保証されている
- リフォーム工事によるすべての瑕疵の補償が受けられる
リフォーム瑕疵保険の対象となる住宅の例
ここまで見てきたように、リフォーム瑕疵保険は消費者にとって大きなメリットがあるものです。では、その補償の対象となる住宅として具体的にどのようなものが挙げられるのでしょうか。
リフォーム瑕疵保険の対象となる住宅は同保険を扱う法人によって条件が異なるものの、主要な部分はどの法人もだいたい同じです。
以下では、その具体的な内容についてチェックしていきましょう。
瑕疵保険の対象となる住宅の例
戸建住宅の場合、規模や箇所にかかわらず、リフォーム工事によるすべての瑕疵が保険の対象となります。
ただし、店舗と住居が同じである「併用住宅」の場合はこれに当てはまりませんので、注意が必要です。
併用住宅やマンション・アパートなどの共同住宅であっても、一定の条件を満たせば専用部分はもちろんのこと、共用部分も瑕疵保険の対象となります。詳しくは、下記をご覧ください。
共同住宅にのみ適用される条件の例
共同住宅がリフォーム瑕疵保険の対象となるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 延床面積が500平方メートル未満である
- 3階以下の建物である
以下の条件に該当する共同住宅の場合、専有部分は保険の対象になりますが、共用部分は保険対象外になるので注意が必要です。
- 延床面積が500平方メートル以上である
- 4階以上の建物である
住宅の種類を問わず適用される条件の例
戸建住宅にせよ共同住宅にせよ、その種類を問わず、人が住んでいたことがある住宅ならばリフォーム瑕疵保険の対象になります。
- 戸建住宅:原則として制限なくリフォーム瑕疵保険の対象となる
- 共同住宅:面積500平方メートル以下・3階以下ならば専用・共用部分ともに保険対象内
- 共同住宅:面積500平方メートル以上・4階以上ならば専用部分のみ保険対象内
- 人が住んだことのある住宅ならば種類を問わず保険対象となる
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リフォーム瑕疵保険の対象となる費用
これからリフォーム瑕疵保険を利用することになるかもしれない方にとって気になるのが、「どれくらいの額の補償が受けられるのか」ということでしょう。
保険内容や法人によっても若干の差がありますが、リフォーム瑕疵保険では最大で2000万円の補償を受けることが可能です。
ただし、満額を受け取れるケースは稀であり、項目ごとに受け取れる金額も異なってきます。そこで以下では、リフォーム瑕疵保険の対象となる費用について詳しく見ていきましょう。
調査にかかる費用
リフォーム工事で瑕疵が生じた場合には、どのような方法で補修をおこなうのかを決めるために調査が必要になります。
補修方法の調査にかかる費用はリフォーム瑕疵保険の対象となり、最大で50万円を受け取ることが可能です。
改修費用
瑕疵が発生した箇所の改修工事にかかった費用も、もちろんリフォーム瑕疵保険の対象となります。
具体的には材料費や人件費など、改修工事に必要な費用のカバーが可能。ただし、設備器具本体の瑕疵の改修費用に関しては保険の対象外になることに注意が必要です。
仮住まいや転居費用
リフォーム工事による瑕疵が広範囲に及ぶ、もしくはその程度が深刻である場合、改修工事のために一時的に転居を余儀なくされることも珍しくありません。
改修工事にともなって転居が必要となった場合の費用もリフォーム瑕疵保険で賄うことができ、1回につき最大で50万円まで支給されます。
争訟にかかる費用
瑕疵をめぐってリフォーム会社などと紛争が生じた場合、稀に訴訟に発展するケースもあります。
リフォーム瑕疵保険は争訟にかかった費用についてもカバーしてくれるため、万が一の時でも安心だと言えるでしょう。
- 補償範囲1:改修費用
- 補償範囲2:転居費用
- 補償範囲3:争訟費用
リフォーム瑕疵保険の保険料の相場は?
以上では、リフォーム瑕疵保険の補償が受けられる具体的な内容についてご紹介してきました。では、その費用の相場はどれくらいなのでしょうか?
ここからは、リフォーム瑕疵保険の相場や支払いについて解説していきます。
リフォーム瑕疵保険の相場
リフォーム瑕疵保険を通じて受け取れる費用は、(修理費用−10万円)×80%という計算で出すことができます。
修繕費用から引かれる10万円は免責金額ですので、もしもリフォーム工事の施工会社が倒産した場合は100%の補償を受けることが可能です。
保険料を依頼主に直接支払うのは誰?
リフォーム瑕疵保険料を依頼主に支払うのは施工業者と保険会社のどちらかになりますが、特に決まりがあるわけではありません。
ただ、施工業者が支払うケースが多いと言われています。
- 費用の計算式:(修理費用-10万円)×80%
- 保険料を誰が支払うのか明確な決まりがあるわけではない
- 保険会社よりも施工業者が支払うケースが多い
リフォーム瑕疵保険の対象の工事と期間
リフォーム瑕疵保険は消費者にとってメリットの大きいものですが、いつまでも補償を受けられるというわけではないことに注意が必要です。
工事内容によって異なる保証期間が設定されていることを、あらかじめ知っておく必要があります。
そこで以下では、リフォーム瑕疵保険の対象工事とその保証期間についてチェックしておきましょう。
保険期間が1年の対象工事
リフォーム瑕疵保険対象の事業者がおこなうすべての改修工事であり、なおかつ社会通念上必要とされる性能を満たさない場合は、保証期間が1年となります。
保険期間が5年の対象工事
以下の条件を満たす工事は、保険期間が5年間となります。
- 対象の事業者がおこなう改修工事で雨漏りの防止をすべき部分で防水性能に問題が起こった場合
- 対象の事業者がおこなう改修工事で主要な構造部分が基本耐力性能を満たさない場合
保険期間が10年の対象工事
基礎部分を新設する増築の場合は、増築特約をおこなえば保険期間が10年の対象となります。なお、瑕疵保険の適用条件は5年の場合と同じです。
瑕疵保険の対象とならない工事内容は?
工事業者がリフォーム瑕疵保険に登録していない場合は、明らかな瑕疵が生じたとしても保険の対象にはなりません。
住宅瑕疵担保責任保険協会のホームページにアクセスすれば、工事業者が瑕疵保険登録業者かどうか検索できるので、契約する前に確認することをおすすめします。
なお、瑕疵保険登録業者であっても、以下の場合は保険対象外になるので注意が必要です。
- 工事業者もしくは発注者に重大な過失があった場合
- 明らかに不適切に住居を使用したり適切な管理を怠った場合
- 地震や台風などの自然災害が原因で瑕疵が生じた場合
リフォーム瑕疵保険の利用手順
リフォーム瑕疵保険登録業者による工事で瑕疵が発生した場合は、たとえ業者が倒産していたとしても瑕疵保険を利用することが可能です。
では、具体的にどのような方法で手続きをおこなえばよいのでしょうか?ここからは、リフォーム瑕疵保険の利用手順について解説していきます。
申し込み
まずは保険申請に必要な書類を施工業者に揃えてもらい、署名や押印をしましょう。
保険会社との契約は業者がおこなってくれますが、念のために受け取った書類の控えを保管しておきましょう。
補修工事の依頼
契約手続き後には補修工事を依頼し、瑕疵が生じた箇所の工事のスタートです。
基本的には、瑕疵を発生させたリフォーム業者自身が補修工事をおこないます。
工事中の検査
リフォーム瑕疵保険では、オプションとして増築特約を契約・利用することも可能です。増築特約を利用する場合は、保険会社による工事中の検査が必須になります。
工事完了
補修工事の完了後は、保険会社にその旨を報告書で提出しましょう。保険会社によって報告書が無事受理された後、保険金が支払われます。
工事後の検査
増築特約を契約しており、なおかつ一定の条件を満たせばこの特約を利用することが可能です。
増築特約を利用する場合は、工事中のみならず工事完了後にも保険会社による検査が必須になります。
保険証券の発行
工事後には保険証券の発行手続きをおこないましょう。保険証券を受け取るためには工事完了確認書とリフォーム工事標準保証書の2つの書類が必要ですが、いずれもリフォーム業者が工事依頼主から取得することになります。
瑕疵が発覚したら保険を申請
リフォームで問題が発覚したら保険利用の申請をおこないましょう。まずは工事を依頼したリフォーム会社に連絡をして、リフォーム会社経由で保険会社に保険を申請することになります。
- 手順1:必要書類を揃えて保険申請をおこなう
- 手順2:リフォーム業者に補修工事を依頼する
- 手順3:保険会社による工事中の検査の実施
- 手順4:工事完了後に保険会社へ報告書の提出
- 手順5:増設特約利用時には工事後に保険会社による検査の実施
- 手順6:問題が生じた場合は保険申請をおこなう
リフォーム瑕疵保険についての注意点
リフォーム瑕疵保険をスムーズに利用するためには、どのような点に気をつければよいのでしょうか?
以下では、リフォーム瑕疵保険について知っておきたい注意事項を2つ取り上げて解説していきます。
リフォーム工事の着工前に加入する
瑕疵保険を利用するためには、必ずリフォーム工事の着工前に加入しておかねばなりません。
リフォーム工事を業者に依頼する際には、契約前にその業者が瑕疵保険に加入しているかどうかを確認しておきましょう。
工事後に保険証券の申請が必要
保険証券は自動で発行されるわけではありません。申請をしないと保険証券が受け取れないので、必要書類を揃えて保険会社に提出する必要があります。
- 注意点1:瑕疵保険には工事着工前に加入することが必須
- 注意点2:保険証券は必要書類を提出しなければ発行されない
リフォーム瑕疵保険があれば安心材料に!
今回はリフォームの瑕疵保険について特集してきましたが、いかがでしたでしょうか。
優良な業者にリフォーム工事を依頼しても、時には不具合が生じたり耐震性などに問題が出る可能性もあります。
だからこそ、数あるリフォーム業者の中でも瑕疵保険に登録している業者を選ぶことが大切です。
瑕疵保険に登録するためには高い工事品質を有していることが求められるため、保険登録業者は非登録業者と比べると安心感と一定の信頼感があると言えるでしょう。
ただし、もしもリフォームで瑕疵が起きた場合、保険金を受け取るためには保険証券などの書類の提出が必要になります。
また、工事内容によって保証が受けられる期間や金額も異なるため、あらかじめリフォーム瑕疵保険の内容についてきちんとチェックしておきたいところです。
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