屋根には様々な構造があります。屋根の構造によって特徴が異なるので、目的に合った屋根を選ぶことが大切です。
今回の記事では屋根の構造についてお伝えしていきます。興味がある方はぜひご一読ください。
- 屋根の構造の基礎知識
- 屋根材別の部材と構造について
- 和小屋と洋小屋とは
- 屋根に関する用語
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目次
屋根の構造ってどうなってるの?
屋根には様々な形がありますが、その構造はどうなっているのでしょうか。
ここでは、屋根の構造について基本的なことをお伝えしていきます。
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屋根の構造はわかりづらい
屋根の形や構造にはさまざまな形があります。素材や種類も多岐に渡り、形や構造だけでなく素材によっても特徴が異なってきます。
屋根はいくつかの部材で構成されており、構造が複雑になることも少なくありません。
構造を知ることで業者との会話がスムーズに
屋根の構造を知っていると、業者に工事を依頼するときに会話がスムーズにできます。加えて、依頼した業者から屋根の建築に関する専門用語が出ても不安になりにくいです。
屋根の名称や用語を知らないと、見積書の意味がわからないので話が滞ってしまう可能性も。屋根の構造をある程度知っていることで、打ち合わせがスムーズになり安心感にもつながります。
- 屋根の形状や素材はさまざまで把握しきれいないこともあr
- 屋根の構造や用語を理解していると業者と交渉しやすくなる
基本の屋根の構造
屋根の構造はさまざまですが、基本的な構造は同じことが多いです。
ここでは、屋根の基本的な知識についてお伝えしていきます。
小屋組(こやぐみ)
小屋組とは、屋根のベースとなる骨組みのことを指します。屋根の形を決定づけるものなので、小屋組がないと屋根を施工できません。
小屋裏(こやうら)
小屋裏とは、屋根の構造の内部のことを言います。屋根裏という言い方もあり、三角の切妻屋根では三角形の屋根裏になります。一方、屋根の形が平坦な場合は屋根裏のスペースがありません。
小屋束(こやづか)
小屋束とは、小屋裏を構成する「束」のことです。小屋裏を支えるように一定間隔に配置されており、屋根を支える重要な役割を果たします。
棟木(むなぎ)
棟木とは、屋根の一番高いところにある「屋根」の背骨のような木材です。屋根のてっぺん部分にある部分で、屋根の構成の中でも重要な部位になります。
垂木(たるき)
垂木とは、棟木から地面に向かって斜めに組まれる木材のことです。屋根の傾斜をつける木材で、野地板を乗せるためにも必要な部位となります。
野地板(のじいた)
野地板とは、先ほどご紹介した垂木の上に乗せられる板材のことです。屋根材の土台となる部分で、野地板によって通気性の調節などを行うことがあります。
屋根に湿気がこもりやすい地域や構造の場合は、野地板の間隔をあけることで湿度調節を行うこともあります。
ルーフィング
ルーフィングとは、野地板と屋根材の間にある防水シートのことを言います。屋根から浸入した雨から家を守る役割を果たすもので、雨漏り防止には欠かせない部材です。
ルーフィングには湿気を通すタイプと通さないタイプがあり、湿気を通すタイプのルーフィングを使うことが多いです。
屋根構造に関する用語 | 意味 |
小屋組(こやぐみ) | 屋根のベースとなる骨組み |
小屋裏(こやうら) | 屋根の裏側、内部構造のこと |
小屋束(こやづか) | 屋根材を支えるため一定間隔に配置されている |
棟木(むなぎ) | 屋根のてっぺんにある背骨のような木材 |
垂木(たるき) | 野地板を設置するために配置された骨格 |
野地板(のじいた) | 屋根材を設置するための下地の木材 |
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屋根材別!部材と構造
屋根材にはさまざまな部材があり、構造や特徴もそれぞれ異なります。
ここでは、屋根材ごとの構造や特徴についてお伝えしていきます。
瓦屋根
瓦屋根は、粘土からできた日本瓦とセメントからできた洋瓦があります。日本の伝統的な家屋で多く用いられてきており、耐久性や遮音性、断熱性などのメリットがある屋根材です。
一方で重量があるので、建物の耐震性が低くなるというデメリットも。野地板の上の防水シートに桟木(さんぎ)を施工、それに瓦をひっかけて固定していきます。
スレート屋根
スレート屋根は、軽くて扱いやすいため人気のある屋根材です。瓦と比較すると価格が安く、色のバリエーションも豊富、また軽量なので耐震性も高くなります。
一方で軽くて薄いので、防音性や断熱性に若干劣るというデメリットもあります。施工は防水シートを野地板に敷き、ステンレス釘でスレート材を固定します。
トタン屋根
トタン屋根は一昔前に主流だった金属素材の屋根材です。住宅はもちろん、倉庫や工場でも使われています。
ただし素材が金属なので、気候やメンテナンスによっては劣化が早く進むほか、紫外線の影響で色褪せも目立ちやすいというデメリットもあります。
施工は野地板に防水シートを施工し、各財を釘で打ち付けトタン材を固定する方法で行われます。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は金属素材の屋根材のうちのひとつです。現在シェア率が高く、多くの新築現場で使用されています。
軽い素材で建物への負荷が少なく、耐震性が優れていると高評価な屋根材です。一方で施工しやすいものの、一定の技術力が必要とされ、依頼する業者を慎重に選ぶ必要があります。
施工方法としては、垂木の上に野地板を張り、その上からガルバリウム鋼板を打ち付けていくという工法になります。
屋根材 | 特徴 | メリット・デメリット |
瓦屋根 | 和瓦とセメント瓦がある
日本の家屋によく使用されている |
和瓦は丈夫でメンテナンスも少ないが、重いので家屋の耐震性が低下する
セメント瓦は和瓦に比べると軽いが、他の屋根材に比べると重量は重い。また、メンテナンスの頻度も高い。 |
スレート屋根 | 薄い板状の屋根材
安価で施工しやすいため日本の多くの住宅で使用されている |
安価で軽量、また施工しやすく、カラーやデザインも豊富。
一方で破損しやすく風などで飛ばされやすい。 |
トタン屋根 | かつて日本で多く使用されていた屋根材。
近年は耐用性やメンテナンス性などの問題であまり使用されていない。 |
軽量で安価なので建築コストを抑えることができる。
一方で錆びやすく防音性が低いなどのデメリットがある。 |
ガルバリウム鋼板 | 金属性の屋根材で、メリットが多いため近年多くの住宅で使用されている。 | 軽量で安価、耐久性も高いなどメリットが多い。
錆びにくい工夫はされているが、金属なので錆びる、傷がつきやすいなどのデメリットがある。 |
和小屋と洋小屋の構造はどう違う?
屋根には和小屋と洋小屋という構造の違いがあります。和小屋、洋小屋とは何がどのように違うのでしょうか。
ここでは、和小屋と洋小屋の特徴や違いについてお伝えしていきます。
和小屋とは
和小屋とは、屋根を構成する小屋組のことで日本式に組まれたものです。水平の「梁」に、垂直の「束」を乗せる構成で、日本の多くの住宅で採用されています。
洋小屋とは
洋小屋とは、屋根を構成する小屋組のことで洋式に組まれたものです。水平の部材、垂直の部材にプラスし、斜めの木材も組まれます。
三角形に組まれているため、構造的には強度がある構造です。日本よりも西洋の建物に多く見られます。
和小屋と洋小屋の違い
和小屋と洋小屋の違いとしては、和小屋は「縦・横」、洋小屋は「縦・横・斜」で組まれるという点があげられます。
そのほか、和小屋は小さい建物で主に木造建築で用いられることが多い一方、洋小屋は大きな建物や鉄骨でも採用できるという違いもあります。
- 和小屋とは垂直に野地板を配置していく方法で作られた屋根で、日本の住宅に多い
- 洋小屋とは縦横、ときには斜めに屋根材を組んでいく方法で作られた屋根。鉄骨でも採用できる。
屋根に関係する用語まとめ
屋根には様々な部位があるので、多くの用語が用いられています。
ここでは、屋根に関する主な用語をいくつかご紹介していきます。
葺く(ふく)
葺くとは、屋根材を新しくする工事のことを言います。既存の屋根材をすべてはがして新しい屋根材を貼っていく「葺き替え工事」のことを指すことが多いですが、既存の屋根に新しい屋根材を張り付けるという「屋根を覆う」という意味で使うこともあります。
勾配(こうばい)
勾配とは、屋根の傾き、傾斜のことを指します。どれぐらい傾けるかによって排水しやすさや、それによって使用できる屋根材などが異なります。
勾配が少ないと使えない屋根材もあるので、使用したい屋根材があるときは勾配に注意する必要があります。
軒先
軒先とは、外壁のラインからはみ出ている屋根の先端のことです。軒先が長いほど外壁が保護されますが、長すぎると部屋が暗くなるなどのデメリットも。
軒先のちょうど良い長さは90cmほどとされています。また1mを超えると建物の面積に影響を与える可能性があるので注意が必要です。
破風
破風とは、屋根の傾斜面がない部分の先端につける板材です。破風板をつけることで吹き付ける風を分散する役割を果たします。
風が強い地域では屋根がめくれあがるのをある程度防ぐことが可能です。
軒天
軒天とは、外壁のラインからはみ出た屋根の裏側です。軒裏とも呼ばれることがあります。軒天は、屋根の内部の換気をするという役割も持っています。
湿気がたまりやすい地域では軒天のある切妻屋根や寄棟屋根など、三角の形状の屋根がおすすめです。
切妻
切妻とは、屋根の形状の一種で、傾斜面が2面で構成されている屋根形状になります。いわゆる三角屋根と呼ばれるような形状で、シンプルな形で施工しやすく、多くの住宅で採用されている形状です。
形状がシンプルなので、ソーラーパネルを設置するのにも役立ちます。一方で見た目が単純になりやすいというデメリットもありますが、塗装やデザインでカバーすることが可能です。
片流れ屋根
片流れ屋根とは、傾斜が片側だけの屋根形状です。一方向にのみ傾斜しているため、デザイン的にオシャレな雰囲気の住宅にできます。
また屋根裏の空間が広く取れるので、屋根裏部屋を活用したいときにも便利です。切妻屋根よりも斜面の面積が広いので、より広い面積の太陽光パネルを設置できます。
樋
樋とは、屋根から伝わった雨水を地面に落とすために設置される設備のことです。一般的に「雨どい」と呼ばれます。屋根から雨水を集める「軒樋」や、軒樋から地面におろす「縦樋」から構成されます。
樋には落ち葉などのゴミがたまりやすく、ゴミで水が流れなくなると雨漏りなどの可能性が出てきます。定期的に掃除をして、メンテナンスすることが大切です。
母屋
母屋とは、小屋組内にある水平の木材のことです。屋根の傾斜部分の骨組みにあたる垂木を支える役割を果たします。
適度に母屋が設置されていることで、屋根の強度が強くなります。
カバー工法
カバー工法とは、既存の屋根を撤去せずに、新たな屋根を上から覆うスタイルで重ねて張る工法のことです。撤去費用と処分費用がかからずコスト削減できます。
ただしカバー工法は一度だけしかできないので、次に屋根をメンテナンスするときは葺き替え工事が必要です。撤去する建材が増えるので、撤去費用も多く必要になります。
屋根に関する用語 | 意味 |
葺く(ふく) | 屋根を新しくする工事のこと。また既存の屋根にかぶせること。 |
勾配(こうばい) | 屋根の傾きのこと。 |
軒先 | 外壁のラインからはみ出ている屋根の先端。 |
破風 | 屋根の傾斜面がない部分の先端につける板材。 |
軒天 | 軒の裏側を指し軒裏とも呼ばれる。 |
切妻(きりつま) | 三角屋根のようにに方向に傾斜している屋根の形状。 |
片流れ屋根 | 一方向にのみ傾斜している屋根の形状。 |
樋 | 屋根から伝わった雨水を地面に落とすために設置される設備。 |
母屋(もや) | 小屋組内にある水平の木材で垂木を支える。 |
カバー工法 | 既存の屋根を撤去せずに、新たな屋根を上から覆うスタイルで重ねて張る工法。 |
要注意!屋根構造の修理が必要なケース
屋根も年月が経つうちに、劣化していきます。劣化が進んでいくと雨漏りなど不具合が増えるので補修が必要です。
ここでは、屋根の修理が必要なケースについて、いくつかお伝えしていきます。
雨漏りが見られるようになった
雨漏りが起こるということは、屋根材に穴が開いている可能性があります。
屋根材が腐食している可能性のほか野地板など木材へ水が浸透している可能性もあるので、雨漏りが起こった場合は業者に依頼して点検や補修をしてもらうことが大切です。
防水シートが劣化や破損している場合は、防水シートを撤去して新しい防水シートを敷く修理が必要になります。
軒が下がってきている
軒が下に落ちてきているような状況だと、垂木に水分が増えている可能性があります。水分を含んだ垂木は腐りやすく、屋根を支えられなくなるため、腐食が始まった木材を組み直すなどの処置が必要です。
屋根全体の修理が必要になる可能性もあるので、業者に依頼して屋根を全体的に点検してもらいましょう。
屋根がひどく劣化している
屋根が全体的にひどく劣化している場合も、屋根の修理が必要です。錆、カビ、変色など劣化が激しいと構造にも影響が出ている可能性があります。
屋根の劣化の程度が軽い場合は、塗装の塗り替えだけでも解決することがあります。一方劣化の程度が激しい場合、屋根を支える構造のいずれかに影響が出ている可能性が高いため、防水シートや野地板、垂木などを点検の上修理することが大切です。
- 雨漏りが起こったときは家屋の劣化が進んでいるので早急に修理する
- 軒が下がってきているときは屋根内部の劣化を疑う
- 屋根が錆やカビ、変色などで劣化が激しいときも修理の対象
屋根の知識がある方が業者と交渉しやすい
屋根の構造にはさまざまな種類があり、構造や屋根材の素材などによって特徴が異なります。屋根の構造について知識があまりないと、屋根の施工を業者に依頼するときに知らない用語が出てくると不安になってしまうこともあるでしょう。
屋根に関する用語など、知識を得ておくことで業者とも話しやすくなり、施工に関する希望も正確に伝わりやすくなります。屋根の施工を業者に依頼する際は、屋根の構造のほか屋根材などの知識も得ておくと良いでしょう。
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