ステンレス鋼板とは、ステンレスを主な原料とする薄い板状の屋根材です。ステンレス鋼板は耐久性が高いという特徴のほか、様々なメリット・デメリットがあります。
今回の記事ではステンレス鋼板の特徴やメリット、デメリットのほか、材料単価や施工費用、ガルバリウム鋼板との違いなどについてお伝えしていきます。
- ステンレス鋼板の概要や特徴、メリット・デメリット
- 耐用年数や材料単価、工事費用はどれぐらい?
- ステンレス鋼板は縦葺きと横葺きどちらが良いか
- ガルバリウム鋼板との比較
- 必要なメンテナンスやその頻度
- ステンレス鋼板のおすすめ商品は?
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目次
屋根材「ステンレス鋼板」ってどんなもの?
ステンレス鋼板とはステンレスを主な原料とした屋根材ですが、どのような特徴がある屋根材なのでしょうか。
ここでは、ステンレス鋼板の特徴やその概要をお伝えしていきます。
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ステンレス鋼板とは
ステンレス鋼板とは、鉄が主成分でクロムやニッケルを含んだ合金の屋根材のことです。非常に錆びにくく、耐用年数がかなり長いという特徴があります。
ガルバリウム鋼板よりも耐久性が高いと言われていますが、単価が高い、熟練の加工技術が必要といった理由のため普及率はあまり高くありません。
金属性の屋根材としては、ガルバリウム鋼板の方が普及率が高く、業者もガルバリウム鋼板を勧めてくることが多いでしょう。高いコストを払ってでも耐久性を重視したい場合は、ステンレス鋼板の使用がおすすめです。
- ステンレス鋼板はクロムやニッケルなどの合金屋根材。錆びにくく耐用年数が長い。
ステンレス屋根のメリットとは?
耐用年数が大変長いという特徴があるステンレス屋根ですが、主にどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、ステンレス屋根の主なメリットについてお伝えしていきます。
錆びにくい
ステンレス屋根は主成分がステンレスのため、基本的に錆びることはありません。ただし屋根材を構成する材質によっては錆びることもあります。
また他の金属についた錆びがうつる「もらい錆」によっても錆びる可能性があります。とは言うものの、ステンレス以外の金属性素材に比べれば格段に錆びにくい屋根材です。
塩害の多い地域や錆びが広がりやすい地域の建物は、ステンレス鋼板の使用が向いているでしょう。
軽量
ステンレス自体がかなり軽量な素材のため、ステンレスが主原料のステンレス屋根も大変軽いです。非常に軽いため、建物の耐震性を高くすることができます。
地震が多い地域や線路や幹線道路沿いで振動が強い場所では、ステンレス屋根を使うことで建物の耐震性を高めることが可能です。
コストよりも耐震性能を重視する場合は、軽量で耐久性が高いステンレス鋼板がおすすめです。
耐用年数が長い
ステンレス屋根は耐用年数が長く、一般的な環境下では約50年と考えられています。ステンレスの耐用年数はとても長いですが、10年から20年に1度程度、点検や塗装などのメンテナンス作業は必要です。
ステンレスは特別なメンテナンスの必要はないという意見もありますが、表面の塗装の劣化やステンレス鋼板自体の破損は修復した方が良く、定期的なメンテナンスは必要だと考えておいた方が良いでしょう。
- ステンレス鋼板は錆びにくいが、まったく錆びないわけではない
- 軽量なので建物の耐震性能を高めることができる
- 耐用年数が大変長いので葺き替えの頻度が少ない
ステンレス屋根のデメリットとは?
ステンレス屋根には様々なメリットがありますが、デメリットもあります。ではステンレス鋼板にはどんなデメリットがあるのでしょうか。
ここでは、ステンレス鋼板の主なデメリットについてお伝えしていきます。
傷に弱い
ステンレス屋根は軽量で薄い板状の屋根材なので、傷がつきやすいというデメリットがあります。傷ができた場所から劣化や錆びが起こることもあるので、傷がついた場合は早めの補修が必要です。
台風などで飛来したものがぶつかって傷がつく可能性もあるので、悪天候が続いたときは屋根の点検をしてもらった方が安心できます。
防音性が低い
ステンレス屋根材は金属性の薄い板なので、防音性能がそれほど高くありません。雨の音が響きやすいこともあり、天候が悪いときは雨の音が気になって眠れないといったこともあるようです。
防音性能を高めたいときは、屋根の下に防音材を使用するなどの工夫が合わせて必要になります。防音処理を施したい場合は、さらにコストがかかるので初期投資も増えてしまいます。
初期費用が高い
材料単価が高いため、ステンレス屋根は高価です。また加工や施工が難しいため、施工費用も他の金属性屋根材に比べて高い傾向があります。
屋根材をステンレス屋根にすると、初期費用がかなり高額になります。ただし、ステンレス屋根はメンテナンスに手間がかからないため、トータルでのコストは低くなる可能性があります。
一時的に出ていく初期の金額を抑えるか、トータルとして見た時の価格を選択するかは状況に応じて判断した方が良いでしょう。
- 薄い金属板なので衝撃に弱く傷つきやすい
- 金属性の板なので防音性が低く、雨音などが響きやすい
- 材料単価や工事費用が高いので初期費用が高額
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ステンレス屋根の耐用年数と費用
ステンレス屋根の耐用年数は他の屋根材に比べて長いです。また、材料単価や施工費用も高額になる傾向があります。
ここではステンレス屋根の具体的な耐用年数や、材料単価などの費用についてもお伝えしていきます。
ステンレス屋根の耐用年数
ステンレス屋根の耐用年数は一般的な環境下では、約50年と考えられています。他の屋根材が20年から30年ほどで張り替えなどの工事が必要になるのに対し、ステンレス屋根はメンテナンスをしっかりしておけばかなり長期間取り換えの必要がありません。
大規模な工事が必要ないので、長期的に見るとステンレス屋根の方がコストが安くなる可能性があります。設置やメンテナンスにかかる費用は、どのタイミングでどれぐらい払うかなどしっかりと計画を立てておいた方がメンテナンスなどの出費に戸惑うことが少なくなります。
ステンレス屋根にかかる費用
材料単価が高いため、ステンレス屋根は1平方メートルあたり10,000円から14,000円程と大変高額です。ガルバリウム鋼板が1平方メートルあたり5,000円から8,000円程度なので、約2倍の価格になります。
ただしメンテナンスの費用はガルバリウム鋼板のメンテナンスよりもやや安価なので、ランニングコストに関してはステンレス屋根の方がお得です。
- ステンレス鋼板の耐用年数は50年あると考えられており大変長い
- ステンレスの材料単価は10,000円から14,000円と高額だがランニングコストはやや安い
ステンレス屋根は縦葺きと横葺きどっちがおすすめ?
屋根に屋根材を設置するときは縦葺きと横葺きの2種類がありますが、ステンレス屋根の場合は縦葺きがおすすめです。ステンレス屋根材を横向きに設置する横葺きにすると、水が溜まりやすいため劣化が早くなってしまいます。
ただし屋根の傾斜が3寸を超えている場合は、縦葺きでも横葺きでも水が流れていくのでどちらの葺き方でも問題ありません。屋根の勾配が緩い場合は、ステンレス屋根材の方向に気を付けて設置する必要があります。
- 基本的には縦葺きの方が水がたまりにくくておすすめ
- 勾配が3寸以上ある場合は縦葺きでも横葺きでも大丈夫
ステンレス鋼板とガルバリウム鋼板の違い
金属性の屋根材には、ステンレス鋼板のほかガルバリウム鋼板という屋根材があります。ガルバリウム鋼板とは、アルミニウムと亜鉛合金でできた屋根材です。
耐用年数はステンレス鋼板が50年あるのに対し、ガルバリウム鋼板は約20年~30年程度でステンレス屋根材の方が2倍近く長持ちします。またステンレス鋼板は設置にも高い技術力が必要なため、工事価格もガルバリウム鋼板の2倍ほどの価格です。
ステンレス鋼板は材料単価も高額で、1平米あたり12,000円程度します。一方ガルバリウム鋼板は6,000円程度で価格差も2倍程度違います。
メンテナンス頻度はステンレスが20年に1度程度、ガルバリウム鋼板は10年に1度程度必要です。メンテナンス内容は主に塗装の塗り直しですが、適宜点検や補修作業も必要なことがあります。
ステンレス鋼板 | ガルバリウム鋼板 |
耐用年数は50年程度あると考えられている | 耐用年数は20年~30年程度 |
工事価格はガルバリウム鋼板の約2倍程度 | ステンレス鋼板の工事費用の方が高い |
材料単価は1平米あたり12,000円程度 | 材料単価は1平米あたり6,000円程度 |
メンテナンス頻度は2年に1度 | メンテナンス頻度は10年に1度 |
ステンレス屋根にメンテナンスは必要?
初期費用が高額なステンレス屋根ですが、メンテナンスはどの程度行う必要があるのでしょうか。
ここではステンレス屋根材のメンテナンス内容と、必要な頻度などについてお伝えしていきます。
定期的に再塗装が必要
ステンレス屋根材は耐久性が高いため、メンテナンスが不要と言われることもあります。しかし直射日光に長時間さらされるなど、環境が過酷な屋根にステンレス鋼板を使う場合は20年に1度は塗装の塗り直し作業が必要です。
1度塗装を塗り直した後は、10年に1回程度の頻度で塗り替え作業が必要になります。耐久性が高く長期間使用できる建材ではありますが、過酷な環境下で使用する場合は適度にメンテナンスをした方が雨漏りなどのリスクを回避できます。
屋根塗装にかかる費用については、次の記事で詳しく解説しています。
破損の確認は必要
薄い板状の金属板であるステンレス鋼板は、傷ができやすいという特徴があります。そのため10年に1度は外装業者などに屋根の点検を依頼した方が安全です。
屋根は普段目にする機会が少ない場所なので、適宜点検をしないと細かい破損が見つけられない可能性があります。小さな破損であっても水が漏れたり錆びたりしている場合は、屋根材や内部の建材の劣化を早める可能性があるため注意が必要です。
点検の結果破損が発見されたら、速やかに必要な補修作業が必要になります。
- ステンレス鋼板も定期的に再塗装のメンテナンスが必要
- 10年に1度は破損などの点検を業者に依頼する
ステンレス屋根の主なメーカーを紹介!
ステンレス鋼板はガルバリウム鋼板に比べて設置に高額な費用がかかるため、あまり普及率は高くが、質の良いステンレス鋼板の商品はあります。
ここでは、おすすめのステンレス鋼板を2つご紹介していきます。
日新製鋼 月星スワンカラー
日新製鋼の月星スワンカラーは、耐久性と耐候性、耐食性、遮熱性、加工性に優れたステンレス素材でできたステンレス鋼板です。
商品全色で日射反射率が30%以上と、ステンレス素材としては遮熱性能が高めで、屋根温度の上昇を大幅に抑える機能があります。
空調効率を良くしたい、過酷な環境に耐えるステンレス鋼板の屋根材が欲しいといった場合は、こちらの商品を検討してみてはいかがでしょうか。
新日鐵住金 ナルカラー
新日鐵住金 ナルカラーは、耐久性と耐候性に優れたステンレス素材でできたステンレス鋼板です。表面に顔料を塗布しているため遮熱性能があるほか、多彩な色彩の商品を展開しています。
また、国土交通省が定めた不燃認定商品でもあり、防炎対策を重視している場合には特におすすめの商品です。また遮熱性能があるため、夏の気候が過酷な地域の使用もおすすめできます。
そのほかナルカラーは多彩なデザイン性が特徴でもあるので、ステンレス鋼板を採用したいけどデザインにこだわりたい方にもうれしい商品です。
- 日新製鋼の月星スワンカラーは耐久性、耐候性、耐食性、遮熱性、加工性に優れ、日反射率が30%以上ある
- 新日鐵住金のナルカラーは耐久性と耐候性、遮熱性に優れ多彩な色彩がある。国土交通省の不燃認定商品でもある。
ステンレス屋根は耐久性が高いが初期コストが高額
ステンレス鋼板で作られた屋根材であるステンレス屋根材は、ステンレスの特徴を活かした屋根材で、錆に強く耐久性が高いという特徴があります。
一方で材料単価や工事費用も高額なため、初期費用が大変高額で普及率が低めな屋根材です。とは言え一度設置してしまえば耐用年数が長いので、張り替えなどの大規模な工事が必要なく長期的なコストは割安になる可能性があります。
ステンレス屋根材を導入するときは、ステンレス鋼板のメリットとデメリットを考慮して導入を検討してみてくださいね!
屋根材の種類や特徴について気になる方は、以下の記事もぜひチェックしてみてください。
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