普段の生活の中ではあまり馴染みのない「硬化剤」という言葉。しかし、ある特定の塗料を使用する際には、なくてはならないものなのです。
この記事では、外壁塗装における「硬化剤」の役割や注意点、また塗料との関係性についてご紹介します。
- 硬化剤の役割は?
- 硬化剤にはどんな種類があるの?
- 硬化剤を使う時の注意点は?
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目次
外壁塗装の「硬化剤」とは?
外壁塗装の塗料には、「シリコン樹脂」「アクリル樹脂」などといった「グレード」があり、それらのグレード内でも「1液型塗料」「2液型塗料」と分類されています。「1液型」「2液型」はそれぞれに特性やメリット・デメリットがあり、仕上がりや場所、素材などによって分けて使われるのが基本です。
この章では「1液型」「2液型」と、「硬化剤」の関係についてご紹介します。お住まいに最適な塗料を選ぶため、また間違った使い方を避けるために、塗料の基礎知識を知っておきましょう!
1液型塗料・2液型塗料とは?
外壁や屋根に使用される塗料には「1液型」と「2液型」があります。この2つの違いは、
- 特に混ぜ合わせなくてもそれ単体で塗装が可能な塗料が1液型
- 主剤と硬化剤のように2種類を混ぜ合わせるのが2液型
のように分けられます。
それでは次に、「2液型」に混ぜる「硬化剤」について見てみましょう。
硬化剤とは? その仕組み
「硬化剤」とは、主剤と混ぜ合わせることで効果を発揮する材料のこと。ここで注意したいポイントは、乾燥を促進する材料ではない、ということです。
2液型は、硬化剤と混ぜ合わせることではじめて塗料として使用できるようになります。主剤だけ、硬化剤だけを別々に使用することはありません。
硬化剤を入れれば入れるほど固まりやすくなる?
「硬化剤」という言葉から、塗った塗料が早く固まる・早く乾くといったイメージを持たれがちですが、これは間違いです! 早く乾燥させたいからと硬化剤をたくさん入れてしまうと、塗料が固くなりすぎて塗装に使えないという問題が発生します。
適量の硬化剤を2液型塗料に混ぜることで、はじめて塗料として使用できる状態になると覚えておきましょう。
- 2液型塗料は、硬化剤と混ぜることで塗料として使用が可能
- 硬化剤は乾燥を促進する材料ではない
- 硬化剤の量には要注意! 入れすぎると固くなりすぎて塗料として使えなくなる
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2液型塗料とは? そのメリット・デメリット
2液型塗料は硬化剤を混ぜて使用する塗料ですが、硬化剤を使用しない1液型塗料と比べてどのような特徴があるのでしょうか。
この章では、2液型塗料を使用した場合のメリットとデメリットについてまとめてみました。
メリット① 年数が長い
2液型塗料は、1液型塗料と比べて耐久性に優れた塗料です。硬化剤と混ぜることで強固な塗膜を作り、紫外線や風雨、汚れから外壁を守ります。台風が多い地域や海沿いにお住まいの方、メンテナンス頻度を長くしたいしたい人にぴったりの塗料といえるでしょう。
また、すでに硬化剤が混合されている1液型塗料と比べて保管しやすく、長く保管できるのもメリットです。
メリット② 密着度が高い
2液型塗料は密着性が高いこともメリットです。
塗布する前に硬化剤を混ぜることで強力な化学反応が起こり、密着が難しい素材にもしっかり付着して固まります。そのため2液型塗料は1液型塗料で塗装できる素材だけでなく、より幅広い箇所に使用することができるのです。
メリット③ 乾燥が早い
2液型塗料は、混ぜ合わせたあとは数時間で固まるという特性があります。
そのため塗ったあとの乾燥時間が短くて済むため、作業時間の短縮につながるでしょう。
メリット④ 仕上がりが綺麗になりやすい
2液型塗料は塗布したあとの刷毛目が出にくく、美しくつややかに仕上がります。そのため塗装のクオリティにこだわる方にはおすすめの塗料です。
さらに、前述した通り密着性が高いため、完成度の高い仕上がりが実現できるでしょう。
デメリット① 価格が高い
ここからは2液型塗料のデメリットについても解説していきます。まず1つ目のデメリットはその価格。
一般的に2液型塗料は、1液型に比べて商品価格が高めです。そのため、大量に使用する場合には費用がかかりすぎてしまうかもしれません。
デメリット② 塗るのが手間
2液型塗料は硬化剤と混ぜ、硬化させることではじめて塗料となります。混ぜた後は時間の経過とともに少しずつ固まり始めますが、長時間が経過すると硬化して塗ることができません。
そのため、混ぜた塗料は手際よく塗る作業が必須。2液型塗料を扱う際は、ある程度の経験やコツが必要となるでしょう。
デメリット③ 混ぜるのが手間
2液型塗料は、使う前に硬化剤を混ぜる手間がかかるのもデメリットです。混ぜ合わせたあとは数時間で固まってしまうので、あらかじめ多めに配合しておく、ということができません。
しかも、正しく硬化させるための2液型塗料と硬化剤の配合量は細かく決まっています。混ぜすぎると固まってしまいますし、混ぜる量が少なければ本来の効果を発揮できません。
使用するたびにいちいち重さを計って混ぜなければならならず、1液型塗料と比べて手間と時間がかかってしまうデメリットが発生するのです。
デメリット④ 持ち運びが不便
1種類の塗料だけで済む1液型塗料と違い、主剤と硬化剤の2つが必要なのが2液型塗料です。
そのため、1液型塗料と比較して作業現場や保管場所の広さも2倍必要ですし、持ち運ぶ手間も2倍かかってしまいます。特に狭い作業現場だと、スペースを圧迫するリスクもあるでしょう。
- メリットは耐用性と密着性に優れ、乾燥が早いこと。仕上がりも綺麗!
- デメリットは高価格で、混ぜたり手早く塗る必要があること。スペースや持ち運びに不便でもある
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硬化剤を使用するおすすめの2液型塗料
それでは次に、おすすめの2液型塗料をご紹介します。これらの塗料はすべて、硬化剤を使用する必要があるのでご注意ください。
クリーンマイルドシリコン(エスケー化研)
シリコン塗料の中でも特に人気がある2液型塗料です。メリットは実績が豊富で施工者も依頼者も安心して使えること。デメリットは弱溶剤系塗料のため、やや匂いが鼻につくことです。
下塗り価格が含まれない2回塗りの場合で、費用は2,200円/㎡です。
水性セラタイトSi(エスケー化研)
こちらは水性の2液型シリコン塗料です。水性のため悪臭がしないことがメリットですが、溶剤系よりもやや密着性が劣ります。
下塗り価格が含まれない2回塗りの場合で、費用は2,100円/㎡です。
ファインサーモアイウォールSi(日本ペイント)
こちらも2液型のシリコン塗料ですが、遮熱機能を備えているのが大きな特徴。室温を下げられることがメリットですが、機能塗料であるために価格が高いことがデメリットとなります。
下塗り価格が含まれる3回塗りの場合で、費用は3,530〜4,300円/㎡です。
費用をまとめると以下の通りです。
塗料名 | 費用 |
クリーンマイルドシリコン(エスケー化研) | 2,200円/㎡(2回塗り。下塗り価格は含まれない) |
水性セラタイトSi(エスケー化研) | 2,100円/㎡(2回塗り。下塗り価格は含まれない) |
ファインサーモアイウォールSi(日本ペイント) | 3,530〜4,300円/㎡(3回塗り。下塗り価格が含まれる) |
硬化剤と強化剤の違い
これまでは硬化剤についてご紹介してきましたが、塗料に関する材料には「強化剤」というものも存在します。なんとなく似たような響きを持つ言葉なので混同しがちですが、この2つの材料についての違いを見てみましょう。
そもそも強化剤って何?
「強化剤」とは、塗料の性能を向上させる材料のこと。「硬化剤」同様、主剤に加えて使用します。
硬化剤と強化剤の違い
「硬化剤」がついている塗料は主剤だけでは固まらないため、そのままでは塗装ができません。
一方で、「強化剤」がついている塗料は、主剤だけでも硬化します。そのため、主剤だけでも塗装が可能です。
- 「強化剤」を混ぜることで塗料の性能を向上させる
- 「強化剤」が付いている塗料は、主剤だけで塗装が可能
硬化剤を混ぜる2液型塗料…注意点は?
硬化剤は、ただ混ぜればいいというわけではありません。適切な取り扱いをすることで、本来の効果を得ることができるのです。ここでは、実際に硬化剤を使用する場合の注意点をご紹介します。
また、業者に塗装を依頼する場合の注意点についてもまとめました。
必ず決められた配合量を守ること
硬化剤を使用する時は、必ず決められた配合量を守りましょう。硬化剤の配合量を守ることで本来の効果を発揮できるのです。
配合量を間違えると十分に硬化しなかったり、固すぎて塗れないといった施工不良を引き起こし、短期間で塗装が剥がれ落ちる原因となるでしょう。
配合量をごまかす悪徳業者に注意!
すでにご紹介した通り、2液型塗料を使用する時は硬化剤を混ぜて使用するために手間がかかります。
しかし悪徳業者の中には、混ぜる手間を惜しんで目分量で配合したり、高価格なため少ない量しか使用しないこともあるようです。また、時間が経過して固まりつつある塗料を強引に塗る業者もいますが、そのような施工をされれば本来の密着性や耐久性が期待できなくなります。
このように、業者が硬化剤をいい加減に扱うと、お住まいの劣化や耐久性に悪影響が出る可能性が高まります。業者との打ち合わせや見積もりの段階で、硬化剤の使用についても忘れずに確認するようにしましょう。
2液型塗料のほうが優れているとは限らない
1液型と比べ、2液型の方が手間もかかり単価も高いため、2液型の方が優れているというイメージがありますが、必ずしもそうとは限りません。
同じ塗料ならば2液型の方が優れていますが、違う商品であれば2液型よりも優れている1液型塗料はたくさんあります。そのため、1液型、2液型というだけで判断するのは危険であると認識しましょう。
外壁塗料のその他の分類法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
2液型なのに硬化剤を使わない業者もいる
ひどい業者の中には、混ぜる手間を惜しむあまり、2液型塗料なのに硬化剤を使用しないで塗装する業者もいます。この場合、塗料は正常に乾燥しないので、1年程度で剥がれ落ちてくることも珍しくありません。
業者選びの際には、細かいことでも丁寧に作業してくれる業者を選びたいものですね。
- 本来の効果を得るために、配合量を守る
- 「1液型」「2液型」というだけで判断しない
- 2液型なのに硬化剤を使用しなかったり、配合量を守らない業者もいるため注意が必要
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硬化剤を使わないと2液型塗料は成り立たない
「硬化剤」の役割から、使用の際の注意点までご紹介しました。硬化剤だけで使用する機会はないものの、ペンキや塗料を使用する際には重要な役割を果たしているのです。
あらかじめ硬化剤の重要性を知ることで、安心して業者に依頼したり塗料を選ぶこともできるでしょう。
2液型塗料にはたくさんのメリットがありますが、硬化剤なくては十分な効果を発揮することはできません。硬化剤を適切に取り扱っているかによって、お住いの劣化速度やメンテナンス頻度にも影響が出ます。大切なお住いの塗装が正しく行われているかの、判断基準の1つとしてお役立てください。
外壁塗装の費用について気になる方は、以下の記事もぜひチェックしてみてください。
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