フッ素塗料とは
そもそもフッ素塗料とはフッ素系の樹脂を利用した塗料のことです。フッ素は、フライパンの表面加工や、歯磨き粉にも利用されており、意外にも私たちにとって身近な素材なんです。
そんなフッ素塗料は最も耐久性が高いのですが、その分最も高額であるため、実は家庭用として一般的な塗料とは言い難いです。
しかし、最近徐々に家庭用にも普及しつつあります。「質の高い塗料を使いたい」または「家の美観を保ちたい」という方が使用したいと思われる傾向があるようです。
フッ素塗料の特徴
フッ素塗料は耐久性に優れた塗料です。
フッ素塗料の特徴としても、外観の美しさをキープし続ける性能や、塗料の強さに関わる性能が多くあります。
耐摩耗性
フッ素塗料は摩擦に強く傷つきにくく、塗装したてのツヤを長期間キープしてくれます。その耐久性は、20年でわずか10%しか減少しないといわれているほど!
塗装時のツヤをどれだけ保持できるかという割合を「光沢保持率」といいますが、フッ素塗料の塗膜の光沢保持率は他の塗料と比べてもトップクラスです。
低汚染性
フッ素塗料は親水性に優れている塗料です。「親水性」とは水に密着しやすい性質という意味で、汚れが付着しても水が接着面に入り込んで汚れを落としてくれます。
たとえば、空気中の塵やホコリといった汚染物質などが外壁の塗膜表面に付着しても、外壁の表面は親水性の高い塗膜でできているので、汚れを洗い流して綺麗な外壁を維持してくれるのです。
また、フッ素塗料は非粘着性でもあります。非粘着性であると汚れを弾き、美観を保つ効果が期待できます。
このようにフッ素塗料は汚れが落ちやすいため、「低汚染性」「耐汚染性」とも呼ばれることもあります。
耐熱性
塗料の「耐熱性」とは、紫外線や太陽熱から外壁などを守る性能のことをいいます。
フッ素系塗料は炭素とフッ素の強い結合によって構成され、紫外線や太陽の光に強いのが特徴です。ウレタンやシリコンといった他のグレードでも耐熱性を備えた塗料はありますが、その中でもフッ素塗料がもっとも耐熱性に優れます。
耐熱性が高い塗料であるため、紫外線や熱によるダメージから外壁を守る効果に優れています。塗料の成分が紫外線によって破壊されにくく、塗膜の色あせや劣化が進みにくいのです。
なお、耐熱性に似た性能に「遮熱性」や「断熱性」がありますが、「遮熱性」とは家の中に外の熱を通さない性能のことで、「断熱性」は家の中の暖かい空気を外に逃がさない性能をさします。
防かび・防藻性
フッ素塗料の塗膜は防藻性や防カビ性が高く、カビやコケが発生を抑える効果があります。
例えば、太陽の光があまりあたらない北側の壁や、水辺に位置するような住宅は藻やカビが発生しやすいですが、フッ素塗料を塗装することで、こういった条件下でもカビやコケの発生を防いでくれます。 カビや藻の付着により建物の外観の美しさを損なうことなく、メンテナンスも楽でしょう。
防水性
多くの外壁用塗料には防水性が備わっていますが、フッ素塗料にも高い防水性があります。防水性のある塗料を使うことで、外壁材を雨水などから守ることができるのです。
またメーカーによっては、ゴムのような弾性を備えているフッ素塗料もあります。弾性を備えた塗料を使えば、塗膜の表面に細かいひび割れが生じても、弾性の塗膜が伸びてひび割れを防ぎ、外壁内部への雨水の浸入を防いでくれるのです。
フッ素塗料の価格
フッ素塗料の価格は、3,800~4,800円ほどとされています。
フッ素塗料の耐久年数
フッ素塗料の耐用年数は12~15年です。
平均的な耐用年数と言えるでしょう。
メーカーが自社の塗料の耐久年数のテストをする場合は、促進耐候性試験と呼ばれ、室内で人口の強い太陽光を浴びせる試験をします。
ただし、室内の試験なので、塩害や凍害、雨などの劣化を早くする要素が含まれていません。あくまでもテスト上の耐久年数です。
フッ素塗料のメリット・デメリット
塗料を選ぶ際には、メリットとデメリットの両方を詳細に知っておく必要があります。
良いところと悪いところの両方を知った上で、理想の仕上がりや欲しい効果を比較しながら慎重に決めるためにも、フッ素塗料のメリット・デメリットを確認しておきましょう。
メリット
フッ素塗料のメリットとして、その耐久性やメンテナンス頻度の少なさなど、塗装後の扱いやすさや、安心性が挙げられます。
詳しいメリットについて確認していきましょう。
耐用年数が長い
前述した通り、フッ素塗料は他の塗料と比べて耐久性が高く劣化しにくいため、塗り替えまでの耐用年数が長いです。フッ素塗料は「高耐久性塗料」とも呼ばれています。
フッ素塗料は数ある塗料の種類の中でも耐用年数がもっとも長く、15〜20年は効果が持続するとされています。シリコン塗料の耐用年数は10〜15年なので、フッ素塗料は約1.5倍の耐久年数があるのです。
初期投資はややコストがかかりますが、耐久年数が長いことで長期的にみると何度も塗り替えるよりも費用を抑えられた、というケースは少なくありません。
メンテナンスの手間が少ない
耐久性だけではなく耐摩耗性、耐汚染性、防カビ性などに優れているため、傷や汚れに強く、メンテナンスの手間も少ないです。メンテナンスの回数が減れば、手間が省けるだけではなくそれだけ費用も抑えることができるため一石二鳥ですね!
信頼性が高い
フッ素塗料は公共事業にも多用されている塗料であり、耐用年数や劣化年数に対する実績が豊富で塗料の信頼性が高いです。
新しい塗料でフッ素塗料に劣らない機能性を備えたものもないわけではないのですが、新しいというだけあってまだ実績がなく、本当にその効果を得られるのか100%の保証はありません。その点、フッ素塗料は以前から用いられている塗料ということで安心してその効果を期待できます。
デメリット
次に、デメリットについて確認しておきましょう。
フッ素塗料はまだ住宅用としてはメジャーでないことや、価格が高いことなどがデメリットとして挙げられます。
価格が高い
フッ素塗料はグレードが高い塗料のため、一般家庭でよく使う「シリコン塗料」よりも1割以上も価格が高いです。他にも、アクリル塗料、ルレタン塗料、ラジカル塗料がありますが、これらのどれよりも高く、1回の施工費用が非常に高額になります。
個人住宅用の塗料としては主流ではない
日本の個人住宅の主流はコストパフォーマンスに優れたシリコン塗料です。そのため業者もシリコン塗料をすすめてくる可能性が高く、自分でフッ素塗料を希望しないと使ってくれない可能性もあります。
フッ素塗料が普及し始めた当初は高層ビルなどの寿命が長い建物のためによく使われていました。個人住宅用に使用されることを想定されていないため、フッ素塗料を使いたいと要求しても業者も戸惑ってしまう可能性があります。
また、個人住宅の外壁塗装の主流ではないためどうしても知識と経験を有する職人が少なくなってしまいます。一回でも施工ミスが発生してしまうと、高額な塗装工事ためどうしても事後処理が大変になってしまいます。
フッ素塗料での外壁塗装を依頼したいという際には、きちんと業者の質を見極めて、信頼できる塗装業者に施工を依頼しましょう。
ひび割れしやすい
フッ素塗料は乾くと硬くなる性質であり、また塗膜が硬いためひび割れしやすく補修するのが難しいです。例えば、大きな地震が発生すると、揺れに耐えられずひび割れができやすくなります。
ただし、弾性塗料を利用すれば問題はないと言えます。弾性塗料はゴムのような柔軟性と伸縮性を持つため、衝撃にも対応してくれます。
業者の技術によっては本来の効果が発揮されない
フッ素塗料は高価な塗料です。せっかくフッ素塗料を使用するのであれば、しっかりとその効果を発揮させたいですよね。しかし実際に扱う職人が洗浄や下地処理をいい加減に行ってしまうと、本来の耐用年数よりも早く劣化が始まることもあるのです。
それを避けるには、丁寧に下地処理を行い、塗料の使用方法をきちんと守ることが重要です。
たとえば下地の塗り方が雑だと、上に塗るフッ素塗料がしっかりと密着せず、ひびや剥がれの原因となります。また、洗浄をいい加減に行って古い塗料が残ったままだと、上からフッ素塗料を塗っても古い塗膜と一緒に剥がれ落ちてしまいます。
塗装が剥がれ落ちてしまえば塗り直しが必要になりますが、フッ素塗料は高額ですから何度も塗り直すのは避けたいところ。塗装を長持ちさせるにはフッ素塗料の施工経験が豊富で、正確な施工を行ってくれる業者に依頼するようにしましょう。
質の悪いフッ素塗料もある
実はフッ素塗料は、少しでもフッ素樹脂が混ざっていれば「フッ素塗料」と呼ぶことができてしまいます。そのため「フッ素塗料だから質が良い」と思い込むのは危険です。
悪質な業者の中には、ほんの少ししかフッ素樹脂が入っていない塗料で塗装をしておきながら、「フッ素塗料だから」と高額な塗料代を請求することがあります。しかし、わずかしかフッ素樹脂が混ざっていなければ、本来のフッ素塗料の品質を期待することはできません。
もちろん、素人にフッ素塗料の質の良し悪しを見抜くことは至難の技。施工して数年経った後に「実は質の悪いフッ素塗料だったんだ…」と気づいても後の祭りです。
そういった危険を避けるには、ある程度知名度のある国内メーカーのフッ素塗料を使うのが安全です。取り扱い数や実績などをチェックすることで、信用できる塗料であるかを判断することができるでしょう。
他の塗料との比較
フッ素塗料を他の塗料(アクリル塗料、ウレタン塗料、シリコン塗料、ラジカル塗料、光触媒塗料、無機塗料)と比較すると、7種類の中で価格・耐用年数共に中間に位置します。
実績の少なさでは不安になってしまいますが、バランスに優れ、作業性も高い点で他の塗料よりも優れています。
外壁塗料の正しい選び方3STEP|種類や特徴を理解して最良な外壁塗装を!
残念ながら本当です。 塗料によっては高度な塗装技術が必要だったり、特定の業者にしか取り扱いを認めていない塗料も存在するのです。つまり、塗料が決まっても業者さんが塗ることができなかったら意味がないのです。
そこで外壁塗装ほっとらいんでは、経験豊富なスタッフがお客様にぴったりの塗料・業者選びをサポートいたします。 「自宅の外壁にどんな塗料が最適なのかわからない。」 「おすすめの塗料を提案してほしい!」 といったお悩みの方もぜひお気軽にご相談ください!もちろん費用はかかりません。
オススメのフッ素塗料商品一覧!
高性能なフッ素塗料には、多くの種類があります。
今回は、外壁用を2点、屋根用を2点の合計5点をおすすめ塗料として紹介していきます。
ファイン4Fセラミック
ポイント | ファイン4Fセラミック |
メーカー | 日本ペイント |
分類 | ターペン可溶2液超低汚染形4フッ化フッ素セラミック変性樹脂塗料(外壁用) |
対応建材 | セメント素地(コンクリート・モルタル)、金属(鉄面・ステンレス・アルミ)硬質塩ビ、FRPなど |
機能性 | 耐汚染性・透湿性、防カビ・防藻性 |
価格 | 3,070円~5,630円/㎡ |
艶タイプ | つや有り、7分つや有り、5分つや有り、3分つや有り |
アレスアクアセラフッ素
ポイント | アレスアクアセラフッ素 |
メーカー | 関西ペイント |
分類 | 高耐候弾性超低汚染2液形水性フッ素樹脂塗料(外壁用) |
対応建材 | コンクリート、モルタル、スレート板 |
機能性 | 超低汚染、高弾性塗膜、高耐候性、防カビ・防藻性 |
価格 | 4,300円/㎡ |
艶タイプ | つや有り、7分つや有り、5分つや有り、3分つや有り |
サーモアイ4F
ポイント | サーモアイ4F |
メーカー | 日本ペイント |
分類 | 太陽熱高反射4フッ化フッ素樹脂屋根用塗料(屋根用遮熱塗料) |
対応建材 | スレート・波形スレート屋根、金属屋根・トタン、住宅用化粧スレート屋根 |
機能性 | 耐候性、光沢保持性、遮熱機能 |
価格 | 5,010円~5,040円/㎡ |
艶タイプ | つや有り |
クールタイトF
ポイント | クールタイトF |
メーカー | エスケー化研 |
分類 | 低汚染・超耐久型ふっ素樹脂系屋根用遮熱塗料(屋根用) |
対応建材 | 薄型塗装瓦、トタン屋根、スレート屋根 |
機能性 | 遮熱性能、低汚染機能、耐薬品性、耐候性、耐久性、防カビ・防藻性 |
価格 | 4,300円~4,350円/㎡ |
艶タイプ | つや有り、3分つや、つや消し |
クールタイトFについての詳しい記事があるので、こちらも是非参考になさってください。
屋根用塗料【クールタイトF】の価格と評判!特徴やメリット・デメリットも紹介
①水性と油性って?
同じグレードの塗料でも水性か油性かの違いがあります。水性は水で希釈しますが油性はシンナーで希釈します。油性のほうが耐久性良いものの、臭いはきつい傾向が。一方水性塗料は耐久性では油性では劣るものの、きつい臭いがしません。
②1液性と2液性って?
1液タイプは缶を空ければそのまま使用できるタイプで、2液タイプは主剤と硬化剤の2種類の材料を混ぜるタイプの塗料です。
1液タイプよりも2液タイプの方が耐久性が高く、価格も高価な傾向があります。1液タイプの方が施工しやすいものの、2液タイプの方が仕上がりも良く、塗装できる素材も豊富です。
フッ素塗料はどんな人におすすめ?
フッ素塗料は、その耐久性の高さから、寿命が長い塗料を使いたい人に向いています。また、汚れづらいという面もあるため、メンテナンスの手間を省きたい人や、美観を長く維持したい人にもおすすめです。
フッ素塗料は高価な塗料なので、外壁や屋根に大きく使うのがちょっと…と思う方には、雨樋などの劣化が激しい付帯部に高性能のフッ素塗料を使うのも、おすすめできる使い方です。
フッ素塗料で塗装する際の注意点
フッ素塗料で塗装を行う際には、いくつか注意点があります。ここからは、この注意点についてご紹介しますので、フッ素塗料の使用を検討している方はぜひ参考にしてください。
業者選びでフッ素塗料の寿命は変わる
いくらフッ素塗料がグレードの高く、質も良い優秀な塗料だからといって職人を選ばないと考えていたら大間違いです。塗料の性能と同じくらい業者の技術力が重要とされています。
フッ素塗料が個人住宅で使用されるようになってまだそんなに経っていないため、フッ素塗料のノウハウがない業者も実はいます。
フッ素塗料を使っても業者が未熟だったり、手抜き工事をしたりすると数年で剥がれてしまい、せっかくのメンテナンスが楽というメリットが生かされなくなってしまいます。
屋根塗装なら遮熱機能を重視
フッ素塗料にも種類はいくつか存在し、中には遮熱性能を持った「遮熱塗料」があります。夏場の室温を下げる効果が期待できる塗料のため、冷房費用を節約したい人におすすめです。
アフターケアも万全な業者を選ぶ
残念ながら、どれほど優れた業者でも塗装後に剥がれる可能性はゼロではありません。やはり少し扱いにくい塗料であるため、失敗はつきものだと考えましょう。
塗料のメーカー保証など、アフターケアが充実している業者塗料を選ぶことをおすすめします。
フッ素塗料は高性能な塗料!
フッ素塗料は、高い塗料ですが、その分性能に優れ、メリットの多い塗料です。お手入れが簡単であったり、遮熱性能のように節約に繋がる性能があったりと、長期的に見ればあまり高くない塗料と言えます。
そんなフッ素塗料について、改めて確認しておきましょう。
「フッ素塗料」はどこの塗装に適していますか?
フッ素塗料は屋根や外壁の塗装に向いています。また、耐久性が高いため、劣化が激しい箇所にピンポイントで使うのにも適しています。
「フッ素塗料」の平均価格はいくらですか?
単価は3,800~4,800円ほどで、7種類ある塗料の中でも高い方に位置しています。その分、性能の高い塗料です。
「フッ素塗料」の長所と短所はなんですか?
メリットは耐候性がとても高く劣化しづらい点です。また、光沢が長持ちし、汚れをはじく効果がある点も、メリットと言えるでしょう。デメリットとしては、高価であることと、次回の塗り替えが難しいことが挙げられます。
「フッ素塗料」の耐久年数は何年ですか?
12~15年です。美観が長期にわたってキープされるため、手入れもラクな塗料と言えるでしょう。
「フッ素塗料」はどんな人におすすめですか?
フッ素塗料が向いているのは、メンテナンス頻度を下げたい人や、美しさを長く保ちたい人、劣化が激しい箇所に耐久性の高い塗料を使いたい方です。
塗料の種類とその特質をしっかりと確認し、理想の塗装が行えることを願っています。
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