今回の記事では、外壁の凍害とはどのような現象なのか、また凍害を放置しておくとどのようなことが起こるのか、といったことについてお伝えしていきます。
「凍害が起こった時の対処法は?」また「凍害の予防策は?」という疑問にもお答えしますので外壁の凍害について興味がある方は、ぜひご一読ください。
- 凍害とは?
- 凍害の種類、起こりやすい条件とは?
- 凍害を放置するとどうなるか
- 凍害が発生したときの対処方や費用、予防
そもそも「凍害」とは・・・?
凍害とは、水分を含んだ外壁で水分が凍ることで起こるトラブルで、外壁がひび割れたり膨張したりして耐久性が落ちることを指します。外壁が水分を含んでしまう主な原因は、雨や雪によるものです。
雨や雪の水分が外壁に入り込むことで、外壁内部の水分が凍って膨らみます。外壁のコンクリートなどを押しのけてひび割れを起こし表面が劣化してしまうことがありますが、外壁内で膨らんだ水分が原因です。
外壁のひび割れた部分からはさらに水分が入り込みます。昼夜の寒暖差でその水分が凍ったり溶けたりを繰り返すことにより、さらに凍害箇所が拡大していきます。
- 凍害とは外壁内の水分が凍結と融解を繰り返して劣化がすすむ現象のこと
凍害の種類
凍害にはいくつかの種類があります。ここでは、凍害の種類によった見た目の違いや、凍害が起こる原因についてみていきます。
ポップアウト
ポップアウトとは、コンクリートの表面にある薄い粒子に水分が混ざり膨張することで起こる凍害です。円錐のような形でコンクリートの表面が剥がれていきます。外壁の表面上で起こる凍害がポップアウトです。
ひび割れ(微細凍害)
ひび割れ(微細凍害)は、外壁にひび割れが起こることです。外壁内部で水分が凍ったり溶けたりすることで、コンクリートが変形しひび割れが起こります。
スケーリング
スケーリングは何度も繰り返す凍結や融解が原因で、外壁が剥がれてしまう凍害です。ポップアウトやひび割れがさらに進行した凍害と言えます。
- ポップアウトはコンクリート表面に起こる凍害
- ひび割れは外壁にひび割れが起こる凍害
- スケーリングは外壁が剥がれる凍害で、ポップアウトやひび割れが進行した形
凍害が起こりやすい条件
凍害が起こるときは、いくつか条件があります。凍害はどのようなときに起きやすくなるのでしょうか。ここでは、凍害が起こりやすい状況や条件についてお伝えしていきます。
①地域性
外壁内の水分が凍ることによって起こる凍害は、気温が低い地域で起こりやすい現象と言えます。特に起こりやすいのが北陸や東北、北海道にかけた地域です。
九州や沖縄といった平均気温が高い地域では、凍害のリスクは少ないでしょう。ただし、気温が極度に下がるといったことがあると凍害が起こることもあるので、「絶対に凍害が起こらない」とは断言はできません。
②気候条件
外壁の内部が水分が凍るほどの気温は0度を下回るときです。冬の気温が0度を下回る地域や環境では、凍害が起こりやすいと言えます。特に昼夜の気温差が大きい地域や環境にある外壁は、凍害の発生率が高くなります。
③外壁(建造物)の種類
外壁の種類によっても凍害の起こりやすさに違いが出てきます。素材が薄いサイディングは、特に凍害が起こりやすい外壁材です。
また、サイディングはボード同士をつなぐときに、シーリング剤というゴムが主原料の建材を使用します。このシーリング剤が劣化すると、細くなって隙間から水分が入りやすくなり水分による劣化や凍害も起こりやすくなるのです。
シーリング剤自体も気温差によって伸縮し、劣化していきます。
④建物の中でも起こりやすい箇所
凍害が起こるのは外壁だけではありません。凍害は水分の凍結と融解を繰り返すことで起こる現象なので、家の中の水回りにも起こりやすい現象です。
例えば傷んだ外壁から侵入した水分のほか、お風呂やキッチンなどの湿気が外壁内部に水分をためることがあります。水分をためやすい場所周辺では、より凍害が起こりやすくなるので注意が必要です。
- 凍害は昼と夜の寒暖差が大きい地域や、外気温が0度以下になる寒い地域で起こりやすい
- 外壁素材をサイディングにしている外壁で特に起こりやすい
- 建物内部でも水分がたまりやすい、風呂や台所など水回りの周辺で起こりやすい
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凍害を放置すると?
凍害による外壁の劣化を放置すると、どうなるのでしょうか。ここでは、凍害を放置したときに起こりうることをご紹介していきます。
外壁の見た目が悪くなる
凍害の初期は小さなひび割れや、局所的な表面の剥がれ程度ですが、凍害が進行していくと外壁自体が剥がれ落ちてしまいます。外壁の剥がれがひどくなると、耐久性だけでなく見た目も悪くなってしまうので建物の美観を大きく損ねてしまうでしょう。
補修工事が大掛かりになる
凍害により外壁が劣化すると、外壁から内部に水分が入ってくるようになります。劣化が少ないうちに対処しておけば良いのですが、放置してしまうとより大きな劣化につながります。
外壁から建物内部へ水分が入り込み、雨漏りなども起こるようになってくると大規模な修繕が必要になることも。柱や基礎にまでダメージが広がっていくと、建て替えといった事態にまで陥ってしまう可能性もあります。
たかが凍害と放置しておくと、最終的に外壁だけの処置では済まないこともあるため注意が必要です。
凍害による有害性
凍害により外壁が損傷すると、建物自体の耐久性や快適性が損なわれます。外壁に水分が溜まりやすく、内部にも入り込みやすくなることから、建物自体に湿気が溜まり不快指数が高い建物になることも。
また、雨漏りや湿気で木材が腐ってカビが発生し、人体に悪影響を与えることも考えられます。カビは咳や鼻水、頭痛なども起こす可能性があるので注意が必要です。
湿った木材はシロアリの大好物なので、シロアリの発生にもつながってしまう可能性も否定できません。
- 凍害を放置すると外壁の見た目が損なわれる
- 凍害が進み内部まで劣化が進むと修理規模も大きくなる
- 凍害の程度がひどくなるとカビの発生や、シロアリなどの被害も起こる可能性がある
凍害が発生してしまったら?
外壁に凍害が発生してしまった場合は、どのように対処すれば良いのでしょうか。ここでは、凍害が発生した場合にどのように対処すれば良いかについてお伝えしていきます。
効果的な対処法は外壁材の張り替え+塗装
凍害に対して一番効果的なのは、外壁材を張り替えて塗装することです。新しい外壁材は耐久性も高く、風雨や紫外線などから家を守る機能も高いのでしばらくは安心できます。
また、防水性が高いタイプの外壁材を選んで張り替えると、さらに外壁の耐久性が高くなり効果的です。大規模に外壁を修繕するのが難しい場合は、凍害が起こった場所のみ張り替えを行う方法もあります。
外壁の一部だけを張り替えた場合は、塗装を全体的に塗り直すだけでも凍害の進行を効果的に防ぐことができます。
塗り替えをする
凍害の被害が外壁の表面だけにとどまっている場合は、塗装を塗り替えるだけでも凍害の進行を防ぐ効果が期待できます。
塗装を塗り替えることで、凍害だけでなく雨風や日光の紫外線からも外壁を保護できるでしょう。軽いひび割れが起こっている場合は、きちんと下地補修をしてから塗り替えをすることが大切です。
パテによる部分補修
凍害が起こっているのがかなり局所的な場合は、DIYによる補修も可能です。ホームセンターなどで販売されているパテを使って、ひび割れ部分を修復します。
DIYでの補修は、自分で補修するので業者に依頼するよりも費用がかかりません。ごく軽い症状のときはDIYでも補修できますが、ひび割れの範囲が広いなどの場合は業者に依頼した方が安心です。
シーリング材を埋める
寒暖差が激しく凍害が起こるような環境下では、シーリング剤も劣化してしまいます。シーリングが劣化すると隙間から水分が入り込むため要注意です。
シーリング剤を補修するときは、今までのシーリング剤の上から新しいシーリング剤を足していく「増し打ち」という方法と、今までのシーリング剤を撤去して新しいシーリング剤を埋める「打ち替え」という方法があります。
どちらの方法で補修するかは、シーリングの劣化状況などから判断します。シーリングを補修することで、サイディングだけでなく窓やサッシの目地部分からの浸水を防ぐことが可能です。
- 凍害に最も効果的な対処方法は外壁の張り替えと塗装の塗り替え
- サイディングの隙間を埋めているシーリングの補修も効果的な補修方法
- 劣化した塗装の塗り替えも効果的な対処方法
凍害の補修方法と費用
凍害の補修にはどのような方法があり、また費用はどれぐらい必要なのでしょうか。ここでは、凍害の補修方法やその費用の目安についてお伝えしていきます。
①外壁の張り替え、重ね張り
凍害が発生するのは、外壁材が劣化しているのが主な原因です。そのため外壁材を張り替えたり、重ね張りしたりすることで、凍害の被害を抑えることができます。
既存の外壁の上から新しい外壁材を張る「重ね張り」は、古い外壁の撤去費用が必要ないぶん張り替えよりも費用は安いです。ただし2回目以降の外壁工事では重ね張りできず、古い外壁材も一緒に撤去するため撤去費用が高くなります。
外壁の張り替え工事や重ね張り工事の費用は、家の大きさや外壁材の原価などによって異なりますが、一般的な家の規模では張り替えで150万円から250万円前後、重ね張りは150万円前後が相場です。
②塗り替え
塗装の塗り替えは、凍害の程度が比較的軽度だったり塗装が劣化したりしている場合に取られる方法です。凍害が起こっている箇所や劣化している箇所を滑らかにして、凍害が広がるのを防ぎます。
新しく外壁に塗装をする費用は面積や塗料の価格によっても異なりますが、一般的な規模の家では、100万円前後が平均的な価格です。
③部分的な塗り替え
凍害の初期の段階で、表面的な症状のみしかないなら部分的に塗り替えを行うことで対処することも可能です。パテで凍害の起こった傷を埋め込み、表面を滑らかに整え、上から塗装を施していきます。
外壁の高い場所を塗装する場合は足場が必要ですが、1階部分など低い場所を塗装する場合は足場を設置する必要がありません。そのため足場の費用がいらないので、足場代のぶんだけ工事費用が安くなります。
工事費用は、補修範囲に応じて異なりますが、概ね10万円前後が相場です。塗装する場所が少ない場合は、DIYでの塗装で対処できることも。ただし処置が不完全だと再び凍害が起こる可能性もあるので、あまりおすすめできません。
局所的な修復であっても、プロに任せておいた方が安心です。
④シーリング材
「凍害が広がらないように…」という応急処置的な方法として、シーリング材を打つ補修方法があります。補修費用は、窓枠や目地などにシーリング剤を補填する場合で、5万円から30万円が目安です。また、シーリング剤を打ち替える場合は、20万円から40万円近くかかることもあります。
シーリング剤を打ち替えずに、増し打ちという方法でシーリング剤を補填する場合は5万円から20万円程度に費用を抑えられます。どの修繕方法にしても、補修範囲や劣化状況によって費用が異なるので業者に確認することが大切です。
- 外壁工事は張り替えで150万円から250万円前後、重ね張りは150万円前後が相場
- 塗装の部分的な塗り替えは概ね10万円前後が相場
- シーリング剤を打ち替える場合は、20万円から40万円近く、補填する場合は、5万円から30万円が目安
凍害を予防するには?
凍害が起こると補修しなくてはいけないので、予防できるものならしておきたいものです。凍害を予防するには、どのようなことを良いのでしょうか。
ここでは、凍害を予防するための方法をいくつかご紹介していきます。
定期点検で初期のひび割れを見つける
凍害が起こっているかどうかは、外壁を目視などでチェックして見つけていきます。普段から外壁をチェックすることで、凍害が軽いうちに対処することが可能です。
少しでもひび割れが起こっているようなら、適切なメンテナンスをその都度施していくようにしてください。ひび割れの初期のころは「これぐらいならいいのでは…」と思いがちですが、ひび割れがある場合はすでに外壁の中に水分が吸収されやすくなっている状態です。
小さなひび割れであっても早めに補修することで、大きな凍害を防ぐことができます。例え凍害が起こっていない状態であっても、1年に1度は外壁まわりを点検するようにしましょう。
適切な時期に外壁塗装して水を入れない
汚れが付着していたり、塗装が劣化していたりする外壁は、水分が吸収されやすい傾向があります。外壁に水分が吸収されていると、凍害が起こりやすくなるので注意が必要です。
適切な時期に塗装を塗り直すことで、水分が外壁素材内部に浸透することを防ぐことができます。外壁素材(モルタルやサイディングなど)や塗料によっても適切な塗り替えの時期は異なりますが、一般的には10年前後を目安に塗装を塗り直しを行ってください。
通気工法にリフォームする
外壁材を外壁に直接貼り付ける直貼り工法は、かつて多く使用されていた工法ですが、外壁との間に隙間がなく湿気が溜まりやすく凍害も起こりやすい工法でした。
そこで外壁と外壁材との間に隙間を開けて、湿気が溜まらないようにしたのが通気工法です。通気工法は2000年頃から普及しはじめた工法で、「防湿」「防水」の効果が期待でき、凍害の被害も起こりにくくなります。
2000年以前に工事された外壁の中には、直貼り工法で外壁が貼られている外壁もあり、凍害を引き起こしている可能性もあります。直貼り工法によって凍害が起こりやすくなっている外壁は、通気工法でリフォームすることにより凍害の予防効果を期待できるでしょう。
- 定期点検でひび割れなどの劣化症状をチェックする
- 適切な時期に塗り替えなどのメンテナンスを行う
- 湿気が外壁にたまらない通気工法で外壁を張り替える
外壁の凍害は見つけたら放置せず修理
外壁にひび割れなどが起こる凍害は、気温が低くなって外壁内部の水分が凍結したり融解したりすることで起こります。外壁が凍害を起こすと、外壁の中にある建材部分にも水分が浸入して、建物自体の耐久性を低下させてしまうので注意が必要です。
ひび割れなど凍害の兆候を見つけたら、小さなものでも早めに対処する必要があります。凍害の被害が軽度な場合はDIYでも補修可能ですが、補修が不完全だと再び凍害が起こってしまうことも。
凍害が起こった場所を修繕するときは、プロに依頼した方が確実に修繕できて安心です。信頼できる業者に依頼して、凍害の起こらない外壁にしていきましょう。
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