ケイカル板は軒天によく使用される素材ですが、ケイカル板を使うのにはどのようなメリットや理由があるのでしょうか?
この記事では、ケイカル板の特徴やメリット・デメリット、ケイカル板のメンテナンス法などについてまとめました。ご家庭で軒下のケイカル板を塗装する方法もご紹介しますので、DIYでの塗装を考えている方は必見です。
- ケイカル板とは? メリット・デメリットは?
- ケイカル板と他の素材との違いは?
- ケイカル板のメンテナンス法は? DIYで塗装できる?
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目次
軒天にも使われるケイカル板とは?
軒天の素材にもっともよく使われるケイカル板ですが、普段の生活の中ではあまり馴染みのない言葉ですよね。
人気があるみたいだけど、よく分からない素材だから使うのに躊躇する…、という方も多いのではないでしょうか。
この章ではまず、ケイカル板とはどのような建材なのかをまとめてみました。
そもそも軒天とは?
「軒天(のきてん)」とは、外壁から外側に出ている屋根の裏側部分のことです。「軒裏(のきうら)」「軒天井(のきてんじょう)」「上げ裏(あげうら)」と呼ばれることも。屋根だけでなく、ベランダやバルコニー床の裏側も「軒天」です。
一見目立たない軒天ですが、雨よけや日差しの調整、外壁の保護、火事の際の延焼を防ぐ、屋根裏の内部結露を防ぐ、などたくさんの役割があります。
ちなみに、軒天は「付帯部分」という分類に属すため、塗装の際は屋根や外壁とは別の部所として区別されています。
軒天の必要性や塗装方法について詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事も参考にしてください。
軒天で最もメジャーな「ケイカル板」
「ケイカル板」とはケイ酸カルシウム板のことで、外壁や内壁に使われる耐火断熱材です。
ケイカル板は、主原料である水酸化カルシウムと砂を板状に成形したもので、不燃建材であるのが大きな特徴。他にも珪藻土(けいそうど)や、アスベストが含まれていないノンアスベスト材などが使われることもあります。
軒天だけでなく、耐水性に優れているため室内の水回りや、半外部空間で使用されることも多いようです。
ケイカル板の特徴とは?
ケイカル板には、軒天の建材として利用しやすいいくつかの特徴があります。主な性質・特徴は以下の通り。
- 耐水性に優れ、湿気などによる変形が起こりにくい
- 腐食しない
- 丈夫
- 耐火性が高く、燃えにくい
耐水性で雨や湿気に強く、耐火性が高い丈夫な建材となれば軒天に最適ですね。
- 「軒天」とは、外壁外側に出ている屋根の裏側面のこと
- ケイカル板は軒天の素材として人気
- 耐水性・耐火性が高く、湿気や腐食に強いのが特徴
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軒天にケイカル板を用いるメリット・デメリット
ケイカル板は軒天によく使用される素材ですが、メリットやデメリットも存在します。
この章では、ケイカル板を軒天に用いるメリット・デメリットを見ていきましょう。
軒天にケイカル板を用いるメリット
ケイカル板は不燃建材、つまり燃えない建材です。そのため、火事になった際の延焼を防げるのが最大のメリット。
さらに、湿気などで変形したり腐ることがないため、雨が当たる場所でも安心して使用することができます。
軒天にケイカル板を用いるデメリット
ケイカル板には、汚れが目立ちやすいというデメリットがあります。またひび割れしやすく、やや重量がある点もケイカル板のウィークポイントと言えるでしょう。
- 耐火性が強く丈夫なので、火事の際は延焼を防げる
- 湿気による変形や腐食がしにくいため、雨が当たる場所でも使用可能
- デメリットは汚れが目立ちやすく、ひび割れしやすいこと
ケイカル板と他の素材を比較してみよう!
ケイカル板以外にも、軒天に使用される素材があります。
この章では、ケイカル板以外の素材の種類や特徴について見てみましょう。
木材(合板、ベニヤ板)
木材とは、ベニヤや合板のように木を原料とする板のことです。
「ベニヤ板」とは、木の丸太をかつら剥きのように剥いた薄い板のこと。積層していない単層のものを指します。
そして、このベニヤ板を接着剤で積層した板が「合板」です。
木材のメリットは安価で軽量であることですが、耐久性や耐火性はケイカル板に劣るため、最近では木材の軒天は減ってきているようです。
スラグ石膏板(エクセルボード)
「スラグ石膏板」は鉱物に石膏を混ぜて作られた板材で、耐火性・断熱性に優れた不燃素材です。ケイカル板と同じく、軒天の材料としてよく使用されています。
扱いやすく施工しやすい上に、価格が安いというメリットがある一方で、水に弱いデメリットも。そのため、水回りにおいてはスラグ石膏板よりもケイカル板の方が適していると言えるでしょう。
フレキシブルボード
「フレキシブルボード」は、セメントと補強繊維を主原料とした板状の建材です。ケイカル材と同じく不燃材でありながら、ケイカル板よりも耐久性が高いのがメリット。寸法変化率が非常に低いため反りなどが少なく、品質が安定しているのも人気の理由でしょう。
他の素材と比べてやや重い素材ですが、軒天の他にも天井材やビルトインガレージの壁などにもよく使用されています。
金属板
金属板は、ガルバリウム鋼板やアルミスパンドレルなどを加工した建材のこと。軽量で不燃材であるというメリットがありますが、他の素材と比べてサビが発生しやすいのがデメリットです。
軒天に使用する場合は、屋根から直接軒天を覆うように施工される場合もあります。
それぞれの素材のメリット・デメリットをまとめると以下の通りです。
素材 | メリット | デメリット |
木材 | 安価で軽量 | 耐久性や耐火性は△ |
スラグ石膏板 | 安価 | 水に弱い |
フレキシブルボード | 耐久性が高い | 素材が重い |
金属板 | 軽量で耐火性がある | サビが発生しやすい |
軒天ケイカル板のメンテナンス法は?
耐火性・耐水性に優れたケイカル板でも、長い間の使用や環境によって劣化することもあります。
劣化が現れるようになれば、メンテナンスは必須です。軒天のメンテナンス法には、「塗装」と「張り替え」の2種類があります。
この章ではケイカル板の劣化原因や、メンテナンス方法について詳しくご紹介します。
ケイカル板が劣化する原因は?
ケイカル板の劣化症状は主に色あせやシミです。それぞれの原因について見てみましょう。
・色あせ:軒天という場所柄、紫外線が当たりにくい場所ではありますが、それでも照り返しなどによって年々色あせてしまいます。
・シミ:ケイカル板にシミが現れた場合は、雨もりの可能性が考えられます。屋根から伝ってきた水が軒天部分にたまれば、ケイカル板に染み込んでシミとなるでしょう。
・剥がれ:ケイカル板が剥がれることはほぼありません。しかし寒冷地の冬は、昼は雪が溶けて水となり、夜はそれが再び凍結します。昼間に溶けた水が破風から軒裏に伝わり、ケイカル板に染み込んで融解と凍結を繰り返すことで、塗装が剥がれたり腐食して剥がれることもあるようです。
次の項目からは、実際のメンテナンス方法と費用についてご紹介します。
塗装
軒天のケイカル板は、10年を目安に塗り替えが必要です。
軒天部分に目地があるか、目地をつなぐ金属棒があるかなどで工程が変わることもありますが、主な塗り替えの手順は以下のようになります。
- サンドペーパーなどで、ケイカル板表面の汚れを落とす
- 皮スキで剥がれを取り去り、平らにならす
- 「目荒らし」を行う(「目荒らし」で表面に故意に細かい傷をつけることで、塗料の付きをよくするのが目的)
- 下塗り材を塗る
- ④が乾いたら、上塗り塗料を2回塗る
塗装にかかる費用は、30坪の住宅で15〜30万円が相場です。
張り替え
軒天のケイカル板の劣化が激しく、塗装ではカバーできない場合はケイカル板自体を交換する必要があります。
一般的な手順は以下の通りです。
- 足場の設置をする
- 既存の軒天材を剥がす
- ケイカル板を適正サイズに1つ1つカットする
- 釘などで張りつけていく
軒天の一部だけが劣化している場合、劣化している部分だけ替えると劣化のスピードが異なり、メンテナンス頻度が高くなるでしょう。そのため、一部だけ劣化している場合でも、すべての軒天を取り替える方が良いようです。
ケイカル板本体の価格は1㎡あたり5,000〜8,000円。そして、張り替え作業にかかる費用は30坪で30〜50万円が目安となります。足場代は別にかかるので、外壁塗装や屋根塗装など別の工事のついでに行うと良いでしょう。
軒天の修理法や費用については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてください。
- 主な劣化原因は、色あせとシミ。寒冷地では、雪のため剥がれやすくなることも
- メンテナンス法には、「塗装」と「張り替え」がある
- 部分的に劣化している場合でも、メンテナンスのタイミングを考えればすべての軒天を取り替えた方が良い
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軒天のケイカル板は自分でメンテナンスできる?
軒天のケイカル板のメンテナンスはDIYでも可能でしょうか? 「張り替え」「塗装」とメンテナンス方法別に検証してみましょう。
さらに塗装をDIYで行う際と、業者に依頼する場合の相場費用についても比較します。
「張り替え」はできない
結論から言うと、軒天の張り替えは業者に任せましょう。
軒天のサイズに合うようにケイカル板を加工したり、撤去した軒天の解体など、素人には難しい作業が多いためです。また、素人が手を出してしまって、下地材や外壁などにダメージを与えることも考えられます。
DIYで張り替えしようとしても途中で手に負えなくなったり失敗すれば、結局は業者に依頼することになります。また、仮にメンテナンスができたとしても、出来栄えが悪かったり耐久性などの性能が劣ることも。メンテナンスを失敗した場合は、はじめから業者に依頼するよりも高額な補修費用がかかることもあります。
軒天の張り替え作業は、素人が想像するよりもかなり本格的な作業です。そのため、知識も技術も豊富なプロに任せた方が安心ですね。
「塗装」はできる
軒天の張り替えは難しいものの、平屋や1階部分の軒天のケイカル板の塗装ならば、素人でも塗装が可能です。DIYで行えば、費用を安く抑えることができるでしょう。
しかし、2階部分の軒天など高所の作業になる場合は足場の設置が必要です。脚立やハシゴだけを使って軒天を塗装しようとすると、落下の危険性があります。
また、雨上がりなどで地面や足場が滑りやすくなっている時は、足元に十分注意して作業するようにしましょう。
軒天のケイカル板の塗装費用は?
DIYで塗装した場合と、業者に依頼した場合での費用にはどのぐらいの違いがあるのか気になりますね。
塗装の際にかかる費用の目安は以下のようになります。
・自分で塗装した場合 300〜700円/㎡
・業者に塗装してもらった場合 900〜1,100円/㎡
これに、必要に応じて足場費用などが追加されます。
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塗装を自分で行う方法は?
ここでは実際にDIYで塗装を行う方法を解説します。
間違った手順で行うと外壁の劣化が早まるなど、さまざまな問題の原因となることも。適切な道具を使用し、正しい手順で作業しましょう。
準備するもの
軒天のケイカル板の塗装をDIYで行う場合、必要なものは主に以下の通りです。
多くの道具はホームセンターやネットなどで入手が可能です。
これだけの道具を揃えるのが難しい場合は、業者に依頼することを検討しましょう。
軒天ケイカル板の塗装手順
軒天のケイカル板の塗装は、DIYでもプロの業者でも手順は同じです。「メンテナンス法」でご紹介した通りですが、DIYで行う場合は足場の設置やご自分で養生が必要になります。
- 2階部分の軒天を作業する場合は、足場を設置。素人が設置するのは危険なので、必ず業者に依頼する
- 足場が必要ない場合や足場を設置した後は、養生を行う。シートで地面を覆ったり、余分な部分に塗料がつかないようにマスカーやマスキングテープを貼る
- 既存の塗装で剥がれかけている箇所や汚れがあれば、皮スキなどで落とす
- サンドペーパーを使って細かい傷をつけ、塗料が付着しやすくする
- 下塗り材を塗る。下塗り材を塗ることによって塗料の密着性が変わるため、丁寧に行うのがポイント
- ⑤が乾いたら、仕上げ塗料を2回塗布する
- 塗料が綺麗に塗れているのを確認したら、養生を剥がして足場を解体する
軒天のケイカル板のメンテナンスは業者に依頼するのが確実!
ケイカル板は耐火性に優れ、湿気による変形がしにくい軒天に適した素材です。しかし強く丈夫なケイカル板でも、必要に応じてメンテナンスは欠かせません。
ご紹介したように塗装はご家庭でも可能ですが、DIYに必要な道具の準備や足場の設置など、素人では対応しきれないことも少なくありません。また、外から見ると意外にも軒天は目につくものです。綺麗に塗られた軒天に仕上げるためには、業者に依頼した方が確実でしょう。
ご自分で塗装しても失敗すれば、症状を悪化させることもあります。その際は、はじめから業者に依頼した場合よりも高額の費用がかかることもあるようです。
このように見ていくと、軒天のメンテナンスは手間やリスクが多いもの。はじめから業者に依頼した方が安心かもしれませんね。信頼できる業者に依頼して、綺麗な軒天のある外観を維持しましょう。
外壁塗装の費用について気になる方は、以下の記事もぜひチェックしてみてください。
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