軒天(軒下)の修理方法や費用の相場は?塗装方法・DIYも解説!

「軒天」とは何かご存じですか?聞きなれない言葉という方も多いのではないでしょうか。

軒天は屋根付近のパーツですが、家の寿命を長持ちさせるためにとても重要なパーツ。そして重要である一方、お家のなかでも劣化しやすいパーツでもあります。

今回はこの軒天に焦点を当て、その必要性などの基本的な知識から修理方法・その費用まで、必要な情報をわかりやすく解説します!

この記事でわかること
  • そもそも軒天とは?その必要性や種類
  • 軒天の劣化症状とその修理方法

軒天(軒下天井)ってそもそも何?


軒(のき)という単語は知っているけど、建物のどこなのか正確に知らない人も多いのではないでしょうか。

軒は、外壁から飛び出した屋根の部分にあたります。2階建ての床下から伸びて外壁から飛び出している部分も軒になるので知っておくと良いでしょう。

軒天とは、軒の内側の天井のことです。「軒天」と言うのは「軒裏天井」「軒下天井」の略で、他にも「上げ裏」「軒天ボード」と呼ばれることもありますが、軒天で覚えておけば問題ないでしょう。

軒天の役割①建物を守る傘

軒天を設置することで、雨風から軒天内部の屋根裏に水が浸入するのを防いでくれます。特に外壁と屋根の結合部は傷みやすい箇所です。

水が浸入すると屋根や外壁に浸透し深刻なダメージを与えてしまう恐れがあるため、軒天は建物の劣化を抑制し耐久性を維持するというとても重要な役割があります。

軒天の役割②火災時の被害を軽減

軒天はベニヤ板などを除くと基本的に「不燃系の燃えない素材」で作られているため、火災が発生した際は火が屋根へ燃え移るのを抑制してくれます。その結果、建物全体に燃え広がる速度を軽減してくれるのです。

また、隣家の火災時にも軒天が不燃系のモノであれば延焼を防止する効果があるので、隣家の炎が燃え移るリスクも低減します。

軒天の役割③お家をより美しく

軒天は光の反射によって外壁を美しく魅せることができます。逆に軒天がないと、屋根裏の部材(野地板・垂木など)がむき出しになってしまうため、外壁や屋根がいくら綺麗でもせっかくの外観を損ねてしまいます。

軒天材にも様々なデザインがありますので、建物に合った軒天材を選べば、より美しいお家になるでしょう。

まとめると…
  • 軒天は雨風が屋根裏に侵入するのを防いでくれる
  • 不燃性の材質なので火災時に燃え移るスピードを抑えてくれる
  • 軒天があることで屋根裏が隠れるため、見た目も美しくなる

軒天の材質と種類

軒天の役割がわかったところで、ここからは軒天に使われる材質について、その特徴をご紹介します。

ケイカル板


不燃系の軒天材になります。安価でさらに性能もよく、現在最も主流なのがケイカル板です。消石灰、珪藻土、石綿、水で作られており正式名称を「ケイ酸カルシウム板」といいます。

耐火性・耐熱性・防湿性・耐久性に優れ、加工がしやすくデザインも豊富。軒天の他にも洗面所、台所、暖炉などお家の様々なところで使われています。特に耐火性については、燃えない材料として法定不燃材にも認定されています

以前はケイカル板の製造にアスベスト(石綿)が使われていましたが、現在はアスベストが含まれているケイカル板の製造が禁止されているのでご安心ください。

スラグ石膏板

ケイカル板と同じく不燃系の軒天材です。石膏はイメージしやすいと思うので「スラグ」について説明しましょう。

スラグ(鉱滓)とは製鉄所で金属や鉱石を製錬した際の副産物で、鉄などの主要な原料と別に分離される物質のことを言います。

シンプルに言えばリサイクル型のエコな鉱物のことです。さらに石膏も再利用された二水石膏というものが使われており、二つを混ぜ合わせて固めた板がスラグ石膏板になります。したがって環境に配慮された地球にやさしい軒天材なのです

機能面では水や湿気に強く、燃えることもないのでケイカル板と同じく法定不燃材に認定されており、加工もしやすく軒天及び内装などに使われています。「エクセルボード」といわれることもあります。

フレキシブルボード

主原料にセメントと補強繊維を使った不燃ボードで、「スレート」または「スレートボード」と呼ばれることもあります。

耐火性はもちろん、耐衝撃性に優れており、高い強度を誇ります。防湿性・耐水性・耐久性もあるため、水まわりの壁にも使用されます。

ただし、非常に優れた性能がある一方で、重量が重く、値段も他に比べて高価というデメリットがあります。

金属系

金属と聞くと「重い」という印象があるかもしれませんが、その逆で金属製の軒天材は軽量で耐火性も高く、非常に錆びにくい特徴があります。耐候性があり劣化もしにくいため、耐用年数が長いのが利点です。

アルミ素材をベースに使った「アルミスパンドレル」やアルミ、亜鉛、シリコンから成るアルミ亜鉛合金メッキ鋼板の「ガルバリウム鋼板」などがあります。

金属のため外の熱(夏の暑さや冬の寒さ)が伝わりやすく断熱性に劣るため、屋根や外壁に使う際は断熱材を使うなどの断熱措置が必要です。

ベニヤ板

薄い木の板を重ね合わせた「合板」と一枚の板の「ベニヤ板」がありますが、どちらも「合板」と呼ばれることがある木材の軒天材です。非常に軽いため施工もしやすく、建物に負担がかからないため耐震性に優れています

軒天材の中では一番安価なことから以前は軒天に使用されることが多かったのですが、木材のため他の軒天材と比べると防湿性・耐水性・耐火性・耐久性が低いという不安要素があります。

選択される際はしっかり欠点を把握して慎重に選ぶようにしましょう。

まとめると…
  • 軒天にはさまざまな材質があるが、現在は不燃性のものが主流
  • 軽さ・耐火性・防湿性・価格などさまざまな観点で材質を選ぼう!

軒天の劣化症状とは?

どんなに耐久性が高い材質でも時間が経てば必ず劣化してしまうもの。耐用年数はあくまで目安ですので、劣化症状が現れればその都度補修を行う必要があります

軒天が劣化した時に見られる主な症状を、軽度のものから順にご紹介します。

色褪せ

経年劣化の症状の一つで、直射日光は当たらずとも、紫外線の照り返しを受けて次第に表面が色褪せていきます。

色あせている程度であれば緊急性が高い劣化症状ではなく塗装修理を行う必要はありません。見た目が気になる方や劣化を予防したい方は塗り替え塗装するとよいでしょう。

また外壁の塗り替えをおこなう場合も一緒に塗装しておくのがおすすめです。

チョーキング

軒天に触れた時に指が白くなる、チョークのような白い粉が付いたら、それは「チョーキング現象」といって、塗膜が劣化しているサイン。

塗装表面の保護機能が低下している状態なので、放っておくとさらに劣化が進み、塗装の剥がれや軒天以外の劣化にも繋がるのでなるべく早く塗り替えなどの修理をする必要があります。

汚れ・シミ

軒天にシミがある場合は要注意です。軒天の塗膜が劣化し耐水性が低下しシミとなっている場合と、屋根やベランダの床下や雨樋などを伝って水が軒天内部に侵入しているケースがあります。

外観から原因を特定するのが難しく、軒天補修だけでは解決できない場合があるため、シミが見つかった時は専門の業者に見てもらうことが大切です。

カビ・コケ

日が当たりづらい北側部分は湿気がこもりやすくカビやコケが発生しやすい場所です。塗膜の劣化により防水性が低下したために発生している場合がほとんどですが、劣化が進行しカビが軒天内部にも発生している場合は軒天材の張り替えが必要になります。

カビが見つかった時も早めに専門の業者に見てもらいましょう。通気を良くし湿気がこもらないようにする、有孔板や軒天換気口の取り付けも検討するとよいでしょう。

塗装・化粧板(シート・プリント)部分の剥がれ

塗膜や化粧板のシート・プリント部が剥がれている場合は、かなり劣化が進んでしまっている状態です。すぐに塗り替えなど補修をおこなわなければいけません。

軒天自体の剥がれ・割れ・破損

軒天自体が剥がれ・割れ・破損している場合は、軒天が腐蝕している可能性が高いです。

様々な要因が考えられますが建物自体が深刻なダメージを負っていることも考えられるため、早急に専門の業者に見てもらい、修理する必要があります。

ご自宅の軒天に異常がないか、一度確認してみると良いでしょう。

いずれも放置しておくと軒天だけでなく外壁・内壁・躯体などの劣化・腐蝕の原因になります。安心・安全に住める建物を維持するためにも劣化症状が確認できた時は早めの修理が必要です。

まとめると…
  • 塗装が色あせているだけならまだ修理は不要
  • 塗装の劣化がみられる場合は早めの塗装を
  • 軒天材が劣化している場合には内部まで被害が及んでいる可能性も…

軒天の修理方法や費用

ここまでにご紹介したような劣化症状がみられた場合、いったいどのような修理を行えばよいのでしょうか?

つづいては、軒天の具体的な修理方法やそれにかかる費用について解説していきます。

再塗装

チョーキングなど軒天材そのものまで劣化が進んでいない比較的軽度な状態であれば、再塗装のみで修理が可能です。

既存塗膜の不具合のある箇所を取り除いて、釘など、鉄の部品に錆止めをおこなって下地を整えます。それから下塗り、中塗り、上塗りと塗料を塗っていきます。

使う塗料によって費用は変わりますが、カバー工法や張り替えと比べると、修理費用はかなり安く済みます

かかる費用は以下の通りです。

目安 ¥800円~¥1,500円/㎡
別途足場代 ¥30,000円~¥150,000円
例(30㎡の場合 塗装¥2,4000円~¥45,000円 + 足場代)

張り替え

既存の軒天材を取り外し新しい軒天材に張り替える修理方法です。軒天の劣化が激しい場合に必要になります。

撤去作業に加えて新しい軒天材に合わせた建材の加工が必要になるため、修理費用は一番高額になります

目安 ¥6,000円~¥8,000円/㎡
例(30㎡の場合 ¥180,000円~¥240,000円 + 足場代)

重ね張り(カバー工法)

既存の軒天の上に新たに軒天材を重ねて張るのがカバー工法です。

張り替えと違い撤去作業がなくなるので、施工期間も早く、修理費用も安く抑えられ、耐久性・耐火性なども向上し、見た目も良くなるのでオススメです。

ただし、軒天の表面だけでなく内部構造から劣化している場合は既存の軒天を取り払わなければならないため、カバー工法を適用することができません。

目安 ¥4,000円~¥6,000円/㎡
例(30㎡の場合 ¥120,000円~¥180,000円 + 足場代)

DIYで軒天の塗装はできる?

軒天材が木材系の場合、劣化度合によっては塗料がしっかりのらずに剥がれてしまうことがあるため、DIYで再塗装をするときは下地の状態を把握する必要があります。

また軒天は狭く常に上を見ながらの作業になります。慣れていないと大変難しく危険を伴うため、軒天をDIYで修理するのはオススメできません

軒天と外壁塗装はどっちが優先?

外壁は断熱・防風・防水・遮熱・遮音など多くの役割を担っているので、どちらかの修理を優先するなら外壁でしょう。ただし、軒天のメンテナンスを怠ってしまうと、劣化が進み結果的に外壁も傷めてしまいます。

軒天と外壁は直結しているため、外壁塗装工事の際に軒天も同時に補修するのが望ましく、足場設置費用も都度必要になります。

建物の寿命も延びコスト面でも抑えることができるので、同時に補修するのが最善です

内部結露にご注意を!

内部結露とは外壁内部・屋根内部の通気層に結露が発生すること。軒天はこの内部結露が発生しやすいので注意が必要です。

最後に、この内部結露について対処法とともにご紹介します。

外観からは気づきにくい!

内部結露の主な原因は、外壁や屋根内部の通気層の換気が出来ておらず、空気が滞っていることです。

結露が発生すると通気層内部が多湿状態になり、これを放置すると水分が周囲の構造部材に染みこんでしまいます。

水が染み込んだ軒天は耐久性が損なわれて家の寿命が縮んでしまうだけでなく、内部でカビや腐蝕が進み、健康を害する要因にも

内部結露は特に外観から確認することが難しい劣化症状です。施工時に結露対策をしていても想定通りに換気が出来ていない事もあるので、専門家に点検をしてもらいましょう。

内部結露の対策は?


内部結露を防止するには「有孔板」「軒裏換気口」の2種類がメジャーな対策となります。

一つ目の有孔板は、上の画像のように軒天ボードに穴が空いているものです。屋根に通気口がある場合に有孔板を使用することにより、通気性が高まり、内部結露を防いでくれます。

もう一方の軒裏換気口は、軒天内部の湿気や熱気を排出するための換気口です。軒裏換気に有効な場所に2ヶ所以上の換気口を設けて、空気が流れることで内部結露を抑制します。

屋根の頂部に取り付ける棟換気と併用することで、より効果の高い換気がおこなえます。

有孔板も換気口も軒天修理の際に取り付けることができるので、修理を考えている方は、結露対策も含めて検討するとよいでしょう

まとめると…
  • 屋根内部の換気が十分機能していないと内部に結露が生じる
  • 内部結露は耐久性ダウン、カビや腐食の原因に
  • 内部結露は「有孔板」か「軒下換気口」の設置で防止できる!

軒天は定期的な点検で早めの修理を!

軒天は普段目に留まることの少ない部分ですが、大事なマイホームを守るうえで非常に重要な役割を担っています。

内部まで劣化するとその修理は大掛かりになってしまいますので、日ごろから軒天の状態をチェックして、劣化症状が現れたら早めの修理を心がけましょう!

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