自然な風合いと高級感が和の雰囲気を醸し出す漆喰の外壁。シックハウスなど健康に悪影響を及ぼす心配もないことから、お住いの壁材に漆喰を選ぶ方も多いようです。
施工直後は美しくても、長い年月が経てば漆喰も汚れが目立ち、劣化も進む一方。そうなるとマメな補修やメンテナンスが必要不可欠になります。
この記事では、漆喰補修の基本的な知識についてまとめました。これから漆喰のメンテナンスをお考えの方は、ぜひご覧ください!
- 漆喰補修が必要なタイミングは?
- 漆喰の劣化を放置するとどうなる?
- 漆喰補修の手順や費用は?
- DIYでも漆喰の補修はできる?
目次
漆喰の基礎知識
漆喰の補修についてご紹介する前に、まずは漆喰の基礎知識について見てみましょう。
そもそも漆喰とは?
「漆喰」とは、外壁の塗装や屋根の目地埋めなどで使用する建築材で、白い色をしています。
耐用年数は、相応に経験のある職人が施工すれば100年は持つと言われるほど、漆喰は寿命の長い建築素材なのです。とは言え、経年により汚れやひび割れなどが発生することもありますので、10年に1度程度の頻度で補修を行うのが理想とされています。
漆喰のメリット
漆喰のメリットは、何と言っても白く高級感のある仕上がりになることです。昔のお城や武家屋敷の外壁には漆喰が使用されていますが、どれも品のある美しい外観を保っていますね。和風はもちろん、着色やデザインによって洋風にもマッチするのも魅力の一つと言えるでしょう。
また、調湿効果に優れているため、雨や湿気の多い気候には特におすすめの外壁材です。石材と同じ程度の防火性があり、他の建築材と比較すると防音性にも優れています。さらに、耐用年数が長いこと、メンテナンスは10年に一度程度で済むこともメリットの一つですね。
漆喰のデメリット
一方のデメリットは、漆喰の表面には引っかき傷がつきやすいこと。さらに、地震などで強い衝撃を受けた際には、ひび割れが発生しやすくなります。
また、他の外壁素材と違い、漆喰は乾燥させるのに時間がかかることから施工期間が長くなる傾向があります。仕上げ作業には熟練の技術が必要となるため、施工価格が高くなるのもデメリットと言えるでしょう。
- 耐用年数は100年だが、10年に1度はメンテナンスが必要
- 和風・洋風問わずマッチする多様性と、調湿性・防火性・防音性など高い機能性がメリット
- デメリットは、傷がつきやすく、ひび割れしやすい。また施工期間が長く費用も高め
漆喰の補修が必要な場合とは?
いくら漆喰の耐用年数が長くても、定期的な補修やメンテナンスは欠かせません。もちろんそれ以外にも、外観に劣化や傷みが現れればその都度補修する必要があります。
では漆喰の外壁に補修が必要な時とは、一体どのような場合でしょうか? 具体的な症状を見てみましょう。
ひび割れ
漆喰は経年とともに硬さが増していきます。そのため、地震などの強い衝撃を受けたり、漆喰が劣化するとひび割れが起こりやすくなるのです。
穴
施行中に漆喰の塗り方が厚すぎたり、スムーズに塗れていなかったりした場合は、乾いた後の漆喰の表面に小さな穴が生じることがあります。
施工する職人の熟練度が低いと、このような穴が生まれることも珍しくないようです。
汚れ
漆喰は水を弾かない性質を持っています。そのため濃い色の液体をこぼしてしまうと、漆喰に浸透してシミになることも。白い壁だと、やはり汚れが目立ってしまうでしょう。
屋根の漆喰の劣化
漆喰は外壁だけでなく、屋根に使用されることも。一般的には瓦と瓦の隙間を埋める役割として使われたり、目地を埋めるのに漆喰が使用されています。
経年劣化でひびや剥がれが生じるとそこから雨水が浸入しやすくなり、雨漏りの原因となるため埋め直しが欠かせません。
- 劣化や衝撃を受けるとひびが入りやすくなる
- 施工不良で微細な穴があくことも
- 水を弾かないため、汚れた水が漆喰に浸透するとシミになりやすい
- 屋根の瓦や目地の漆喰が劣化すると、雨水が浸透するため埋め直しが必要
漆喰の劣化を放置すると…?
では、劣化した漆喰をそのまま放置するとどのような現象が起こるのでしょうか?
次のような劣化症状を見つけたら、早めに補修を行うようにしましょう。
雨漏り
漆喰の壁や屋根にひび割れが起きると、そこから雨水が浸入し雨漏りの原因になります。さらにそれを放置したままにしておくと、内部に水分や湿気がたまり建物自体の劣化を引き起こすことも。ひび割れ程度と軽く考えず、早めの処置を施すようにしましょう。
外観が悪くなる
真っ白で上品なイメージの強い漆喰の外壁。塗って間もない間は美しくても、白い壁はどうしても汚れが目立ちやすくなる傾向が。せっかく高級感のある仕上がりなのに、ところどころ汚れやシミを放置しておくと、みすぼらしく荒れた印象を与えてしまいます。
外壁や屋根の保護性能が低下する
外壁や屋根は、常に雨風や紫外線にさらされています。漆喰の外壁や、漆喰を使用した屋根を劣化したまま放置してしまえば、自然環境からお住いを守る保護性能自体の低下にも繋がります。
- 壁や屋根にひびが入ると、雨漏りが起こる原因に
- 漆喰の白壁は汚れが目立ちやすく、放置すると荒れた印象を与えることも
- 雨風や紫外線などから家を守る保護性能が低下する
漆喰の補修方法を症状別に解説!
それでは、漆喰の劣化が始まったらどのように対処すればいいのでしょうか? 対応が早ければ早いほど、軽いレベルの補修で済みます。
ここでは、具体的な補修方法をご紹介します。
ひび割れ
漆喰のひび割れが深い場合は、ひび部分を削って穴埋め補修をするのが一般的。ひび割れが小さかったり浅ければ、漆喰の塗り重ねだけで対応する場合もあります。
穴
漆喰の塗装は経験の浅い業者にとっても難しいものです。業者の経験不足によって施工不良になることも。
その症状の一つが、乾いた漆喰の表面に細かい穴があくこと。微細なものなら漆喰の塗り重ねで対処が可能です。
汚れ
漆喰の壁は細かい傷や汚れがつきやすいものです。また、漆喰には撥水機能がないため水分を吸収しやすく、一度水が染み込むと洗い流すことはできません。真っ白い壁に泥水や濃い色の水が染み込むと、汚れはますます目立ってしまいますね。
外壁に付いた汚れは、漆喰を薄く塗り重ねるだけでカバーできることも。汚れやシミが濃くて隠れない場合は、ヤスリやナイフなどで軽く削ってから漆喰を塗ればOKです。
屋根
瓦の隙間や目地のつなぎ部分の漆喰が劣化している場合は、既存の漆喰を剥がしてから下処理をして漆喰で埋め直します。
- 軽いひび割れや微細な穴なら、漆喰の塗り重ねだけで可能
- 汚れやシミも基本的には漆喰を塗り重ねで補修。それだけでは不十分な場合は、ヤスリやナイフで軽く削ってから漆喰を塗り重ねる
- 瓦の隙間や目地部分の漆喰の劣化は、既存の漆喰を剥がしてから埋め直す
漆喰の補修にかかる費用とは?
漆喰の補修方法を理解いただいたところで、次は補修に必要な費用について見てみましょう。
漆喰の補修を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
壁の場合
漆喰の外壁にかかる費用は、全面的な補修作業で50〜120万円、部分的なメンテナンスなら4,000〜8,000円/mが目安です。
屋根の場合
漆喰を使用した屋根の補修費用は、全面補修で40〜80万円、部分修理なら4,000〜8,000円/mが一般的です。
以下に、外壁と屋根の補修費用についてまとめました。
全面補修 | 部分補修 | |
外壁 | 50〜120万円 | 4,000〜8,000円/m |
屋根 | 40〜80万円 | 4,000〜8,000円/m |
漆喰の補修を依頼する業者の選び方
実際に漆喰の補修を始める場合、依頼する業者はどのような点に注意して選べばいいのでしょうか?
補修業者選びのポイントをまとめました。
現在の屋根や壁を施工した業者に依頼する
現在のお住いを施工した業者であれば、前回の工事の記録を元に使用した素材や工事の状況、住宅の特性などを知ることもできます。そのため、スムーズに工事を行うことができるでしょう。
施工業者が分かっている場合は、まずは同じ業者に連絡してみることをおすすめします。
リフォーム会社に相談
施工業者で補修が行えない場合は、リフォーム会社に頼るのも一つの方法です。
漆喰の補修ができるリフォーム会社を探して、作業工程や日程、費用などを相談してみましょう。
訪問業者は避ける
いくら業者探しに難航しても、住宅地で訪問営業している業者は避けた方が無難です。そもそも、優良な業者は訪問営業などしなくても仕事に不自由はしていません。家に突然訪問してくる業者は悪徳業者か、仕事の出来が悪くお客様が来ない業者である可能性が高いでしょう。
「無料で見積もりだけでもさせて欲しい」としつこく迫ったり、「漆喰が剥がれているから早くメンテナンスしないと家が危ない」などと不安を煽るような業者には絶対に依頼しないようにしましょう。
漆喰の施工実績が豊富な業者を選ぶ
漆喰を美しく仕上げるには、相当の経験が必要です。実績が多い業者や職人ほど施工に関する知識も豊富で、安心して仕事を任せることができるでしょう。
- まずは施工した会社に問い合わせてみる。もしできないようならリフォーム会社に依頼する
- 業者を選ぶ際には、漆喰補修の実績数も重視
- 訪問業者は絶対にNG!
漆喰の補修はDIYでも可能?
漆喰の外壁を補修したくても、わざわざ業者を探したり、下見や見積もりに時間がかかって面倒…という方もいらっしゃるでしょう。プロの業者に依頼するとなると、時間や手間だけでなく費用もかかります。
その点、DIYで補修が可能なら、時間も費用も節約できますね。漆喰の補修は、どの程度ならDIYが可能なのでしょうか?
軽度なものなら漆喰の補修は可能
結論から言うと、軽度な破損やひび割れなら漆喰をDIYで補修するのは可能です。ホームセンターなどで必要な道具を揃えれば、プロに依頼するより費用もかかりませんね。ただしこれは、外壁補修の場合に限ります。
屋根の上での作業はどうしても足元が悪くなるため、落下の危険性がありおすすめできません。また、漆喰の破片や瓦が落ちることも。屋根の漆喰の補修には足場を組んだりシートなどで養生が必要なので、専門業者に依頼した方が安全ですね。
準備するもの
では、外壁の漆喰を補修する際に必要なものを見てみましょう。屋根のDIYは危険なため、ここでは除外します。
- コテやバケツなどの左官道具
- 補修用の材料
- ヘルメット
- 汚れてもよい服
- サンドペーパー
- コーキング
- マスキングテープやビニルシートといった養生道具
- かわすき
漆喰などの材料費は必要ですが、業者の工賃はすべて浮くので総額はぐっと安くなります。その他の道具もホームセンターや身近なところで手に入るものばかりなので、手頃な価格で揃えられるでしょう。
DIYで漆喰を補修する手順
次に、漆喰補修の手順をまとめました。屋根上での作業は危険なため、DIYでの補修は避けましょう。ここでは、外壁の場合のみの手順をご紹介します。
- 業者に依頼し、足場を設置する
- 既存の外壁で下地の剥がれやすい部分を落としたり、削って排除しておく
- マスキングテープやビニルシートなどで漆喰を塗らない部分の養生をする
- 2で漆喰を落とした部分に下塗りをする
- 4の漆喰が完全に乾くのを待って、仕上げ塗りをする
- 養生を外し、足場を解体する
漆喰は、プロの職人でも相当な経験を積まないと綺麗に仕上げることは至難の技です。そのためDIYでやれば完成度は下がりますが、破損の程度や箇所によってはDIYでも十分なケースも。コストパフォーマンスと完成度の高さを検討して、DIYかプロかを選んでください。
また、ひび割れが深かったり破損の程度がひどい場合は、DIYでは補修しきれない場合もあります。このような場合は、最初から専門業者に依頼するようにしましょう。
- 軽度の破損ならDIYでも可能
- DIYで直すのは外壁に限り、屋根の補修は危険なので業者に依頼する
- DIYはコストパフォーマンスは良いが、完成度は低くなる
漆喰を美しく保つには適度なメンテナンスが不可欠
漆喰に限らず、どんな外壁材でも長い年月の間に劣化は免れません。漆喰のメリットである白く高級感のある仕上がりを保つには、メンテナンスは不可欠です。
漆喰はDIYしやすい外壁材でもあるので、軽い破損ならばご自身での補修も可能。また、信頼できる補修業者を探すのも必須です。DIYとうまく使い分け、美しい漆喰外壁を保ってくださいね。
しかし、外壁塗装の「価格相場」というのはとても複雑。外壁の状態や使用する塗料によって金額が大きく変動するため、素人がその適正価格を見極めるのはとても難しいのです。
中にはその複雑さに付け込み、不当な価格を要求したり手抜き工事をする悪質な業者も…
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