今回は、断熱機能を高める施工法の中で最も一般に普及している、「発泡ウレタン」について、徹底解説していきます。
目次
断熱材「発砲ウレタン」とは?
そもそも発泡ウレタンとはどういった断熱材なのでしょうか。その特徴についてまとめてみました。
発砲ウレタンの特徴
発泡ウレタンとは、ウレタン樹脂にガスを加えて発泡させた断熱材のことです。
断熱材としてのほかに、防音材としても利用されることがあり、広く普及している断熱材です。
発泡ウレタンは、ウレタン内部に小さな粒状の空気やガスを封じ込め、それによって断熱しています。
断熱材「発砲ウレタン」の種類
発泡ウレタンには、大きく分けて2種類あります。その違いを説明していきます。
充填式発砲ウレタン
充填式の発泡ウレタンにも、細かく分けると2タイプあります。
【1液タイプ】このタイプは、スプレー缶タイプの発泡ウレタンがもっとも多くなっています。扱いやすく、プロでなくとも利用できる吹付けタイプです。比較的小さい範囲に利用する発泡ウレタンです。
【2液タイプ】大型の缶に入った2種類のウレタンを混ぜ合わせることで発泡させるウレタンのことを指します。業者が使う種類で、使うには専門の資格が必要です。大規模な施工時に使う発泡ウレタンで、1液タイプよりも断熱性が上であることがポイントです。
板状発砲ウレタン
板状発泡ウレタンとは、板状の発泡スチロールに似た断熱材のことです。建物の断熱材として使われることが多いですが、基本的にプロ以外は利用しません。FP板とも呼ばれることがあります。
- 充填式1液タイプは、スプレー缶による発泡ウレタン。小規模な範囲に利用する
- 充填式2液タイプは、専門の資格が必要。1液タイプよりも断熱性が高い
- 板状発泡ウレタンは、板状の断熱材。基本的に一般人は使用することがない
断熱材「発砲ウレタン」の施工の流れ
ここでは、充填式ウレタンと板状発泡ウレタンのそれぞれの施工方法について、まとめてみました。
充填式発砲ウレタンの場合
これは、先ほど説明した、【2液タイプ】の一例です。
- 施工場所で吹き付けできるか確認し、邪魔なものは埋め込んだり撤去したりする
- 周りに飛散しないよう、養生する
- 施工箇所に実際に吹き付けていく
- 養生を撤去する
- 厚みが問題ないか、検査する
板状発砲ウレタンの場合
今度は板状発泡ウレタンの場合ですが、こちらはとても簡単です。
- 断熱したい場所の隙間に発泡ウレタンを設置していく
なんとこれだけなんです。充填式と比べると、すでに板状になっているので、設置するだけで良いというのがメリットですね。
板状ウレタンを設置した後、隙間を埋めるために吹付けの発泡ウレタンを併用するケースもあります。
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断熱材「発砲ウレタン」のメリット
発泡ウレタンで断熱機能を得ることには、他の断熱材に比べて、どんなメリットがあるのでしょうか?まとめてみました。
熱伝導率が低い
まず何と言っても発泡ウレタン一番のメリットは、熱伝導率が低いことです。
他の断熱材に比べて、薄くても高い断熱性能があります。
防音性能が高い
発泡ウレタンには、断熱性に加えて、防音性能もあります。音を通しにくい性質を持っているからです。
そのため、防音材としても使用されるケースが多くあります。
家の外部からの音も通しにくいので、静かな住宅を目指す方にはうってつけの素材と言えます。
自己密着性が高い
発泡ウレタンのメリットその3は、自己密着性が高いことです。
これは特に充填式の発泡ウレタンに言えることではありますが、下地への密着性が非常に高く剥がれにくいことが、発泡ウレタンの最大の特徴であり、メリットの一つなのです。
住宅の断熱性は、断熱材と住宅自体の隙間の量によって決まります。隙間が少なければ少ないほど、断熱効果があるとされるのです。
発泡ウレタンの開発によって、従来の断熱材では難しかった、隙間をゼロに近づけることが可能になりました。
水分に強い
従来の断熱材では、湿気や水分などに弱いものが多く、特にグラスウールなどは一度雨漏りや湿気などの水分にやられてしまうと乾燥させても再使用できないといったデメリットがありました。
そこで開発された発泡ウレタンは、水分に強いので、多少水分との接触があっても断熱効果が下がることがありません。
結露しにくい
発泡ウレタンのメリット、最後は結露しにくいことです。
発泡ウレタンは結露が起こりにくい素材です。まったく結露しないわけではありませんが、結露が発生しにくいものに分類されています。
- 熱伝導率が低い
- 防音性能が高い
- 自己密着性が高い
- 水分に強い
- 結露しにくい
断熱材「発砲ウレタン」のデメリット
今度は、発泡ウレタンで断熱性能を得ることに対するデメリットを紹介していきます。
価格が高い
デメリットその1は、価格が高いことです。
価格は、壁に吹き付ける場合で1,900~2,700円/㎡程度、天井に吹き付ける場合で3,000〜4,000円/㎡程度とかなり高めになっています。
同じく断熱素材であるグラスウールに比べて2倍以上の高価格なので、きちんと効果が得られるものを選ぶ必要があります。
施工すると外すのが難しい
発泡ウレタンは、一度施工すると外すのが難しい断熱材です。
特に吹き付けタイプは密着性が高い一方ではがすのが困難なので、注意しましょう。
品質が一定ではない
発泡ウレタンのデメリットその3は、品質が一定ではないことです。
断熱性能は、その品質が職人の腕によって左右される性能のため、腕が悪い業者に依頼すると効果が薄くなることがあります。
必ずしも断熱性能が高いとは限らない
必ずしも断熱性能が高いわけではないことも発泡ウレタンのデメリットです。
もともと、発泡ウレタンはグラスウールと比べて断熱性能は同じくらいか低いと言われています。
これは吹き付けによって隙間が生まれるためで、先ほどの職人による技術力も関係してきます。
板状発泡ウレタンであれば技術力は関係ないのでは?と思われる方もいらっしゃるかと思うのですが、板状の場合、かなり精密にサイズを切り取る必要性があります。
隙間ができてしまうと機密性が損なわれるので、板状発泡ウレタンでも職人の技術力が大きく関係してくるのです。
耐火性能が低い
発泡ウレタン最大のデメリットは、耐火性能の低さです。
発泡ウレタンは、ガスを加えて発泡させているので、燃えやすい素材であることが多いです。
さらに、発泡ウレタンは、燃えると有毒ガスである「シアン化水素」を発生します。
万が一、住宅が火災にあった際に、一酸化炭素中毒で逃げ遅れてしまう可能性が上がってしまうことを忘れないようにしましょう。
- 価格が高い
- 一度施工すると外すのが難しい
- 品質が一定ではない
- 必ずしも断熱性能が高いとは限らない
- 耐火性能が低い
発砲ウレタンと他の断熱材を徹底比較!
発泡ウレタンと他の断熱材を比較してみました。それぞれのメリット・デメリットを踏まえた上で、断熱材を選ぶ際の目安になります。
グラスウール
グラスウールは、発泡ウレタンと比べると、グラスウールの方が流通量が多く、価格が安いのがメリットの一つです。
また、耐火性能も高く、火事になった際に燃え広がりにくいという性質があります。
その一方で、グラスウールは発泡ウレタンに比べると断熱性が低いのがデメリットと言えます。
グラスウールはガラスの細い繊維を集め、綿状にしたものなので、湿気にかなり弱い素材のため、湿気や水分によって断熱性能が下がってしまうのです。
ロックウール
ロックウールとは、その名の通り、岩を原材料にした鉱物繊維です。
岩からできた素材のため、耐火性能が非常に高いのがポイントです。
さらに、ロックウールは価格も安いです。
その代わり、グラスウールと同じく湿気に弱いので、断熱性能は発泡ウレタンに比べて下がってしまいます。
羊毛断熱材
羊毛断熱材とは、その名の通り、原材料に羊毛が使用されたウール素材です。
洋服に使われることも多いウール素材なので、なんとなく想像しやすいかと思いますが、ウール素材は断熱性能が高いです。
さらに、羊の毛には調湿機能がついており、外気温や内気温、湿度などに合わせて調湿することができます。
難燃性の素材のため、耐火性能も通常程度にあると言えます。
また、動物系素材のため、アレルギーが少ないのもメリットの一つです。
ですが、価格がやや高めになっています。
発泡ウレタン | グラスウール | ロックウール | 羊毛断熱材 | |
素材 | ウレタン樹脂 | リサイクルガラス | 岩 | 羊毛 |
価格 | 非常に高い | 安い | 安い | やや高い |
耐火性能 | 低い(有毒ガスが発生する) | 高い | 非常に高い | 通常程度 |
断熱性能 | 職人次第 | 低い | 低い | 高い |
ポイント | 防音性能もある | 湿気に弱い | 湿気に弱い | 調湿する |
断熱材「発砲ウレタン」の施工にかかる費用とは?
発泡ウレタンは厚みが50mm〜75mmが一般的な厚みとされています。
その厚みで換算すると、壁に吹き付ける場合で1,900~2,700円/㎡程度、天井に吹き付ける場合で3,000〜4,000円/㎡程度がおよその価格とされています。
発泡ウレタンは、職人による技術力によって、性能にかなり差の出る断熱材のため、業者によって施工料にも差が出てきます。
安いからといって安易に業者を選ぶと、技術力が低く、断熱性能もかなり下がってしまうことになるので注意しましょう。
断熱材は発泡ウレタンがマスト!ただし火災には注意
断熱材「発泡ウレタン」のメリットやデメリットについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
発泡ウレタンは、開発されてからかなり一般に普及している断熱材です。
少々価格は高いですが、従来にはなかった断熱性能の高さや、水分への強さで近年頻繁に使われるようになりました。
高機能である一方、耐火性能が低いという点は注意が必要です。
また、職人の技術力によって大きく性能差が出る断熱材でもありますので、業者を選ぶ際には十分な調査と比較が大切です。
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外壁塗装の口コミ・評判を活用しよう!失敗しない塗装業者の選び方
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