瓦屋根は耐久性に優れた屋根材です。他の屋根材と比べて初期費用が高めですが、メンテナンス頻度が低く、かつ1回の補修工事にかかる費用が安いので、コストパフォーマンスに優れた屋根材であるといえるでしょう。
この記事では、瓦屋根の修理のタイミングや方法、費用の相場など、瓦屋根のメンテナンスについてまとめました。
瓦屋根の補修を検討中の方はぜひ参考にしてください。
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目次
知っておきたい瓦屋根の基礎知識
そもそも、瓦屋根とはどのような屋根材なのでしょうか? 瓦の特徴や、瓦を使用した屋根の構造をご存知ですか?
瓦屋根の修理についてご説明する前に、まずは瓦屋根の基礎的な知識についてまとめました。
瓦屋根とは
「瓦屋根」とは瓦を使用した屋根の総称です。一口に「瓦」といっても陶器瓦・粘土瓦・セメント瓦・コンクリート瓦などいくつかのタイプがあります。
以前と比べてデザインやカラーバリエーションが豊富で、和風だけでなく洋風の家にもマッチ。近年人気の古民家はもちろん、モダンな建築やデザイナー物件などでも人気の高い屋根材です。
瓦屋根の特徴
瓦屋根の特徴のひとつに耐久性が高いことがあります。最近ではセメントやコンクリートを原料にした瓦も普及していますが、特に陶器瓦や粘土瓦は丈夫で破損しにくいのがメリット。1枚1枚が重いため、強風でも屋根が吹き飛びにくい屋根材です。
紫外線や風雨に強く、塗膜が色あせしたりサビることがほとんどないためメンテナンス頻度が少なくてすむ上、他の屋根材と比べて修理費用も安いためコストパフォーマンスにも優れています。
耐久性以外にも、遮音性・遮熱性が高いのも特徴です。
瓦屋根の構造
瓦屋根は、「野地板」と呼ばれる屋根の下地となる木材部分によって支えられています。野地板は木材なので、雨が降ったら雨水が浸入し雨漏りや腐食の原因に。そのため、野地板の上に「ルーフィング」という防水シートを引いてコーティングすることが重要です。
ルーフィングは、水の浸入を遮断するだけでなく瓦の下地の役割も備えています。この下地の上に瓦を並べ、棟部分に漆喰で接着させれば完成です。
かつては防水シートの上に瓦を乗せるだけでしたが、最近では地震や台風などによるズレを防ぐため、クギ止めすることが一般的です。
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【症状別】瓦屋根の修理方法と費用
丈夫な瓦屋根ですが、経年劣化や、強風などの災害で破損してしまうことはよくあります。瓦屋根は、症状が悪化する前に補修することが大切です。
塗装の剥がれ
瓦屋根は紫外線に強いので、塗膜の色あせや剥がれは起こりにくい屋根材です。しかし塗装が剥がれることがあれば、屋根の美観を損なうことに。
急いで対処する必要はありませんが、せっかくの見た目が悪くなるため再塗装した方が良いでしょう。
瓦の割れやズレ・漆喰の破損
瓦屋根の部分補修工事が必要です。
数枚程度の簡単な交換であれば、総額数万円程度と比較的安く済みますが、交換枚数が増えたり、足場の設置が必要になると数十万円になります。
工事内容 | 費用の目安 |
瓦の交換 | 瓦自体の費用は1枚あたり300円から1,000円 工事全体の費用は1枚の交換で5,000円から |
瓦のズレの直し | 1㎡あたり5,000円から1万円ほど |
漆喰の補修 | 1㎡あたり1万円程度 |
屋根の破損
台風で飛来物が当たったり、地震で強い衝撃を受けた場合は瓦屋根が破損することがあります。また、屋根に大きなダメージを受け、瓦だけでなく野地板や防水シートも破損した場合は早急な対応が必要です。
放置しておくと雨漏りだけでなく、屋根や建物自体の寿命にも影響を与える原因となります。応急処置を施したら、早めに修理業者に相談するようにしましょう。
破損がひどい場合は葺き替え工事になります。工事にかかる費用は30坪ほどの住宅で、180万円から260万円ほどです。なお、瓦の交換で対応できる程度の破損でも、生産中止となり市場に無いメーカー独自のデザインや寸法の瓦は交換ができず葺き替えになることもあります。
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瓦屋根を修理せずに放置すると…
この章では、破損した瓦屋根を放置したらどのような事態が引き起こされるかについてまとめました。
雨漏り
ヒビ割れやズレを放置しておくと、隙間から雨水が浸入し防水シートや野地板を傷める原因となります。それらの下地が傷むと家の内部に雨水が浸入し、雨漏りの原因に。また腐食も進めば家の骨組みも傷み、家全体の強度が衰えてしまいます。
修理を怠ると室内の雨漏りだけでなく建物の寿命にも関わってきますから、症状が軽いうちにメンテナンスをするようにしましょう。
屋根からの雨漏りについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
塗装などの保護がなくなるため瓦が破損しやすくなる
瓦屋根は丈夫な屋根材ですが、経年によって塗装が剥がれてまうことも。塗装が薄くなり保護する力が弱まれば、瓦は破損しやすくなります。
そうなると瓦の耐久性が低下し、寿命が本来より短くなる可能性もあるでしょう。
補修費用が増える
破損した瓦屋根を放置しておくと、放置期間が長いほど屋根の悪化も進みます。問題が深刻になってからメンテナンスしようとしても、修理に膨大な費用と長い時間ががかかってしまいます。
瓦屋根の破損は、症状が軽い間に修理をすることが非常に重要なのです。
修理費用は火災保険でまかなえることも
災害による破損の場合は火災保険が適用できて工事費が全額補償される可能性があります。ここでは、火災保険で費用をまかなえる条件をお伝えしていますので、ご確認ください。
風災に適応している保険に加入しているか
災害で瓦屋根が破損した場合、火災保険で修理費を補償されることがあります。
火災保険の中には「風災」という補償があり、災害による破損が風災として認められれば、それに応じた保険金を火災保険会社から受け取ることができるのです。
一般的な火災保険ならば「風災」は条件に入っているケースがほとんどですが、念のために確認しておくことをおすすめします。
屋根の破損が強風などによるものか
火災保険で修理費をまかないたいと思っても、保険金は風災による破損であると認定された場合に限り支払われます。
「風災」とは、台風・大雪・雹(ひょう)といった自然災害のこと。これらの影響により雨漏りや瓦屋根のズレ・割れ、漆喰の崩れなどが起こった場合は、風災として適用されることが多いようです。
瓦屋根の破損の原因は、自然災害だけではなく長い期間の使用による劣化も考えられます。しかし、経年劣化で破損した場合は火災保険の適用外となるので気をつけましょう。
保険会社に連絡する前に工事業者に相談
瓦屋根修理で火災保険が使えれば、費用を安くできて大きなメリットがありますね。
火災保険の保険金は、工事前の屋根修理の見積額に対して判断されます。つまり、工事後に保険会社に費用を請求するのではなく、実際に屋根修理を行う前に申請が必要なのです。
そのため自然災害で瓦屋根が破損した時には、保険会社ではなくまず最初に修理業者に相談することになります。その際、火災保険を使用した工事の実績が豊富な業者ならば、スムーズに適切な処置を行ってくれるでしょう。
修理業者を選ぶ時には火災保険の適用実績を確認し、適切に保険金を利用できる業者を選ぶようにしましょう。
なお、外壁塗装に適用できる火災保険については以下の記事にもまとめてあります。あわせてご覧ください。
定期的なメンテナンスが肝心!
補修が増えると、手間も費用がかさみます。ですが、適切な時期にメンテナンスをすることで、大掛かりな補修を防ぎ節約、外壁を長持ちさせることが可能です。
屋根塗装
屋根塗装は一般的に7年から10年に一度メンテナンスが必要です。メンテナンスに必要は費用は、総額で40万から70万円ほど。
塗料の単価相場については、以下の表にまとめましたので参考にしてください。
塗料の種類 | 単価相場 |
シリコン塗料 | 2,700〜4,100円/平方メートル |
フッ素塗料 | 3,700〜4,700円/平方メートル |
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屋根塗装のメリット
屋根塗装をする主なメリットについてまとめました。
他のメンテナンス方法より安い
葺き替えにくらべて費用が半額以下ですみます。
瓦の劣化を防ぐことができる
紫外線や雨風から瓦を保護できます。
見栄えが良くなる
美しい瓦を維持できます。
瓦らしくない色にできる
瓦本来の色とはかけ離れた色にできます。(鮮やかなピンクや黄色など)
屋根塗装の単価についてはこちらの記事を参考にしてください。
「屋根塗装の単価」費用・相場をくわしく解説!【屋根材別・坪別】
屋根塗装の適切な時期についてはこちらの記事を参考にしてください。
「屋根塗装の時期」ベストな季節は?耐用年数・塗り替えサインも解説
瓦屋根の修理・メンテナンス業者を選ぶポイント!
瓦屋根にはさまざまなメリットがありますが、修理する業者の技術しだいで瓦の性能が十分生かされなかったり、屋根や建物の寿命が短くなることもあるようです。
この章では、瓦屋根を正しく修理できる業者選びのポイントについて解説します。
複数の業者に見積もりを依頼する
メンテナンス業者選びの際は、1社だけでなく必ず複数の業者に「相見積もり」することが重要です。
「相見積もり」とは、同じ工事内容で複数の業者に見積もりを出してもらうこと。各社からの見積もりを比較することで、費用の相場や必要な修理の内容が判断できます。
相見積もりで1社だけ価格が高かったり、見積書の内容や記載が「一式」などと曖昧な業者は悪徳業者である可能性が高いでしょう。そのような業者はトラブルの元となる場合が多いので、避けるのが無難。逆に、相見積もりで素人にも分かりやすく丁寧に説明してくれる業者は、優良業者であることが多いようです。
このように、相見積もりは業者の質を判断するにも効果的な方法です。実際に契約をする前に、最低でも3社以上の業者に相見積もりを依頼しましょう。
自社施工している業者を選ぶ
メンテナンス業者の中には、依頼だけ受けて実際の工事は下請け業者にすべて丸投げするケースも少なくありません。下請け業者を使うと仲介料がかかるため、その分、修理工事の費用が高額になります。
同じ内容の工事なら、できるだけ工事費用を抑えたいですよね。自社施工の業者に依頼すれば仲介料が発生しないため、費用が安くすむでしょう。
訪問営業をする業者は危険
住宅地を訪問営業する業者は、悪徳業者が多いので注意が必要です。訪問業者の中には「このまま放置すると雨漏りが発生する」とお客様の不安を煽ったり、「今契約すれば見積もり無料」などとお得なアピールをするケースもありますが、絶対に契約しないようにしましょう。
そもそも優良業者は仕事がたくさんあるため、訪問営業などする必要がありません。訪問営業するのは悪徳業者か、仕事や対応が悪くお客様がいない業者であることが多いようです。
大切なお住いの修理なのですから、信用できない訪問業者に依頼するのは避けましょう。
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瓦屋根の修理はDIYでも可能?
瓦屋根の修理をする際、修理業者に依頼すればDIYより費用も時間も多くかかってしまいます。その点、ご自分で修理すれば節約できますね。
ここではDIYで気をつけるポイントや、修理に必要な道具について見ていきましょう。
応急処置ならDIYでも可能
結論からいうと、DIYを行うのは応急処置程度でとどめるのがベター。基本的には、些細な破損や問題でも専門業者に依頼することをおすすめします。
割れている瓦をテープで抑える程度ならば素人でも可能ですが、瓦の配置を大きく動かしたり下地の修理をするのはリスクが高いです。治したつもりでもしっかり補修されていなかったり、瓦の上を歩いたら知らないうちにズレてしまったりすれば、新たな問題を生むことになってしまいます。
瓦のひび割れをテープで抑える程度ならDIYでも可能ですが、応急処置をしたら早めに屋根業者に相談しましょう。
テープを使用する修理
割れている瓦の応急処置はテープが効果的です。
まず割れた瓦を取り除き、瓦をきれいに掃除したら防水テープを張ります。テープの張り付けが終わったら、元の位置に瓦を戻して完成です。
・補修用スプレー
・雑巾
・足場(ハシゴなど)
・滑らない手袋
・命綱
・ヘルメット
・安全靴
・ブルーシート
道具をすべて揃えると、1〜3万円ほど費用がかかるようです。
ズレた瓦を回収する
瓦が大きくズレていたら、落下の危険がある場合は回収した方が良いでしょう。問題の瓦が道路に面していたり、玄関や窓の真上にある場合は、誰かが歩いたり出入りしている最中に落下する危険性があります。
回収した瓦は保管しておいて、業者による工事の際に渡すようにしましょう。
瓦屋根の修理をDIYで行う際の注意点
DIYで屋根修理をする時の困難な点は、高所での作業であることと瓦の踏む位置に注意が必要なことです。
屋根の上は傾斜がありますから、ただでさえ歩くのが難しいもの。屋根から落下しないように命綱をつけ、必ず2人以上で作業するようにしましょう。雨の日や湿度が高い日は瓦が滑るので、絶対に屋根に登らないようにしてください。
一般的に瓦は波のような形になっていますが、踏む場所によっては割れてしまうため細心の注意が必要です。瓦の取り外しや取り付けで屋根の上を歩く時は、踏む箇所に気をつけてください。
まとめ
瓦屋根の修理が必要な症状は?
瓦のずれや割れ、漆喰・塗装の剥がれ、屋根自体の破損が見られるときには補修が必要です。詳しくはコチラ。
瓦屋根の修理方法は?
部分的に瓦や漆喰を直したり、塗装を施しますが、症状がひどい場合には葺き替えが必要になります。費用についてはコチラ。
修理せずに放置するとどうなる?
雨漏りが発生して室内にまで被害が及んだり、補修費用がかさむ原因になります。詳しくはコチラ。
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